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速攻レースインプレッション

「中山記念がG2の世界」でも大仕事を期待

文/浅田知広、写真/武田明彦


春前半の古馬・中距離G2といえば、中山記念金鯱賞。と書いても、どうもまだピンと来ないもので、グレード制導入後は長いこと、中山記念大阪杯だった。その大阪杯が17年にG1へと昇格。これには、宝塚記念と似た条件でG1をもうひとつやるのはどうなんだ、中山記念のほうが良かったんじゃないか、という疑問の声も聞かれた。

条件面ではそう思えるところもあり、しかしレースレイティングが一定基準を満たさないことにはG1を名乗れないという事情もあり。もしかしたら、なにかちょっとしたことで中山記念がG1になり、大阪杯がG2のままだった、という世界もあったんじゃないかと思ったりもする。

と、勝手に「どちらかひとつ」しかG1にならないと思い込んでいたのだが。今年の中山記念には、なんとG1馬が5頭も集結。こんなメンバー構成が何年か続けば、「両方ともG1」という世界になったりするのだろうか(多すぎだろ、という話はさておき)。

そのG1馬5頭から、1番人気に推されたのは5歳牝馬ディアドラ(秋華賞馬)で、頭ひとつ抜けた2.6倍の支持。続いて前走・マイルCSを制したステルヴィオ、皐月賞馬エポカドーロという「強い4歳世代」が2、3番人気。そして4番人気は、昨年制した金鯱賞ではなくこちらに出てきたスワーヴリチャード。さらに、G1未勝利でもディフェンディングチャンピオンのウインブライトを挟み、一昨年の2歳女王ラッキーライラックという順になった。

そのラッキーライラックの単勝8.6倍から大きく離れて、7番人気は51.1倍。普通に考えれば上位6頭の勝負なのだが、その7番人気が昨年の③着馬、クセ者マルターズアポジーというのは、ほんとに6頭の絡みで決まるのかと、ちょっと悩むところでもあった。

もちろん、レースを作ったのはそのマルターズアポジーだ。後続との差をじわじわと広げ、向正面に入ると大逃げの体勢に。注目のラップタイムは、1000m58秒2。あれ、見た目ほど速くない?

そもそも中山記念自体が例年、それほど速くはならないレースで、今年の600m通過・35秒0は手元ですぐに調べられる1986年以降では最速。ただ、1000mの58秒2は5番目と、一応ハロン11秒台は刻んでいたものの、マルターズアポジーもそこまでかっ飛ばしていったわけではなかった。

そんな展開の中、真っ先に追撃態勢に入ったのは、2番手につけていたラッキーライラックだった。自身の戦績的にも、そろそろ「流れを変えたい」一戦での積極策。他の有力馬の動向など関係ないとばかりに、4コーナー手前で早くもマルターズアポジーを捕らえようかという体勢だ。

さらに、3番手から追ったのはエポカドーロだったが、こちらは4角手前でいったん追撃の手を緩め、少し後続を待ってからのスパート。ここに内からスワーヴリチャード、外からウインブライトステルヴィオと迫って3番手グループを形成。道中7番手だった1番人気のディアドラは、ここからさらに3馬身ほど後ろと、この時点でちょっと苦しい体勢だった。

直線に向くとすぐに、ラッキーライラックが先頭へ。エポカドーロもいったんは迫りかけたものの、こちらは4角手前で小休止を入れたのがかえって良くなかったか、坂にかかると逆に後ろのライバルに捕らえられる形になってしまった。

特に勢いが目立ったのはウインブライトステルヴィオで、エポカドーロを交わすと、一気に前のラッキーライラックにまで襲いかかった。それでもラッキーライラックが粘り込むかという場面もあったが、ゴール板前で3頭の馬体が並び、最後にクビだけ前に出たのは昨年の覇者ウインブライトだった。

ラスト1ハロンは、中山の急坂がありながら11秒9。ラッキーライラック石橋脩騎手も、これは文句なしの好騎乗だったはず。ラッキーライラックにとっては昨春のチューリップ賞以来となる復活の勝利も目前だったが、それを阻んだウインブライトは、鞍上・松岡正海騎手が骨折休養からの復活の勝利となった。このウインブライトによる中山金杯に続く、今年2勝目がまた重賞の中山記念だ。

結果としては、上位人気の中で唯一のG1未勝利馬ウインブライトが勝ち、G1馬の中でもっとも人気がなかったラッキーライラックが②着。「目標はひとつ先」のグループが③着以下、ということになった。しかし、前哨戦だろうがなんだろうが、この強いメンバーで勝った、②着になったことが悪かろうはずがない。特にウインブライト中山記念がG1の世界だったら」とはならず、中山記念がG2の世界」でも、G1で大仕事をやってのけるシーンをぜひ見せてもらいたいものだ。


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