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速攻レースインプレッション

今年の結果は来年以降にも活かせそう

文/出川塁、写真/川井博


フィリーズレビューは、残念ながら「本番」にはあまり直結しないことで知られる重賞である。過去10年、ここから桜花賞に臨んだ馬の成績は[1.0.2.53]。17年にレーヌミノルが勝った例はあるが、全体の好走率としてはかなり低い。なにより勝ち馬が[0.0.1.9]とまったく振るわない。

これは、両レースで求められる適性がまったく異なるからだ。端的にいえば、阪神外回りの桜花賞では不可欠な瞬発力が、内回りで行なわれるフィリーズレビューではほとんどいらない。それを物語るのがノーザンファームの生産馬に関するデータで、過去10年、桜花賞[5.5.2.32]に対して、フィリーズレビューでは[1.2.0.25]と大苦戦している。

興味深いのが社台ファームの成績で、フィリーズレビューでは[4.2.1.12]と勝ち切れるのに、桜花賞[2.3.5.23]と詰めが甘くなる。要するに、本番ではチューリップ賞に出走していたノーザンファーム生産馬の瞬発力に屈してしまう構図である。

フィリーズレビューの特性を特徴づけるもうひとつの理由がメンバー構成だ。例年フルゲート(18頭。14年までは16頭)の活況を呈しているのも、マイルでは距離が長い牝馬にとってはここが春の最大目標になるから。本当は1400mでも長いような馬も出てくるからペースが速くなり、そのぶん上がりはかかる。じっくり溜めて瞬発力を活かしたいタイプの馬には、どうにも分が悪いレースといえる。

今年も18頭のフルゲート。1番人気のアウィルアウェイは好スタートを決めてハナに行くぐらいの勢いで飛び出すが、2番枠のアスタールビーに譲って2番手につけた。そのほかの人気どころは揃って中団以降を追走する構えだ。前半600mの通過は34秒9。過去2年の33秒台に比べると遅いものの、稍重の馬場を考慮すればそれなりに流れている。

馬群は一団のまま最後の直線へ。残り1Fを切るところまで明確に抜け出した馬はおらず、坂をのぼりきってからの勝負に。粘り込みを図るイベリスジュランビルをめがけて内からノーワン、外からプールヴィルが差してきて、この2頭が並んだところでゴールイン。その結果は、重賞では9年ぶりの①着同着ということになった。

ノーワンプールヴィルは道中いずれもラチ沿いを進んで、馬群を割ったかたち。両馬ともに割って出てくるところでは他馬と接触する場面があったが、特にノーワンは十分な間隔がないところを追い抜いたため鞍上の坂井瑠星騎手は2日間の騎乗停止処分を受けることとなった。これが重賞初制覇なのだが、同着で嬉しさ半分、制裁でさらに半分といったところだろうか。

もう1頭の勝ち馬となったプールヴィルは、フィリーズレビューに強い社台ファームの生産馬。これで1400mでは[3.1.0.0]とオール連対をキープしたのに対して、過去2回の馬券圏外はいずれも1600mと、ここで買ってくださいといわんばかりのプロフィールの持ち主だった。

中央競馬の重賞で同着になったのは、前回が牝馬限定の10年オークスで、その前が阪神芝1400mの07年阪急杯。そして今回は、牝馬限定かつ阪神芝1400mのフィリーズレビューとなったのは、偶然にしてもよくできているなあと思う。

1番人気ながら⑦着に終わったアウィルアウェイは好スタートがかえって裏目に出た印象だ。過去3戦とは違う先行策となったが、気負った走りになって末脚を失った。ただ、前走の京王杯2歳Sでは自身32秒8の上がりを使って②着に入っているが、そこまで速い上がりを使う展開にはならないのがフィリーズレビューというレースでもある。

この結果は来年以降にも活かせそうだ。すなわち、人気のノーザンファームを嫌って、社台ファームを信頼する。あるいは、ノーワンのような日高生産の穴馬を狙う。個人的には、アウィルアウェイの血統はむしろフィリーズレビューに向いていると思うのだが、そこは「氏より育ち」ということなのだろう。同じような血統でも、育成したのがノーザンファームかそれ以外かでデビュー後の走りがまったく違う。これが最近の実情である。


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