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速攻レースインプレッション

多頭数の混戦を断った、石川騎手の好判断が光る

文/編集部(T)、写真/小金井邦祥


近年はフルゲート割れが多かったスプリングSだが、今年は6年ぶりとなる16頭立てになった。頭数の多さもさることながら、メンバーを見渡してまず思ったのは、「どの馬を軸にしていいのか全然分からない……」だった。

実績面での最右翼は朝日杯FS②着のクリノガウディーなのだろうが、その前走が9番人気での激走で、どこまで信用していいものやら。唯一の重賞勝ち馬ファンタジストは重賞勝ちが芝1200~1400mでのもので、前走の朝日杯FSは1600mで④着。さらに200m距離が延びるここでは余計クエスチョンマークがつく。

そういうメンバーなので、前走が500万から来た馬にもチャンスが十分ありそうなイメージ。未知の魅力があるヒシイグアスロジャーバローズが2番人気、3番人気に推されたのは自然なのかもしれない。

結局、1番人気に推されたファンタジストの単勝オッズは4.8倍。90年以降のスプリングSで1番人気馬が4倍を超えたのは過去1回だけで、それだけ珍しいケースになる。

実際、混戦模様の前評判に違わぬ波乱の決着となった。ゲートが開いて好スタートを切ったクリノガウディーが先頭を窺うが、外から他馬も殺到して横一線の先行争いに。結局クリノガウディーが行き切ったが、前半から脚を使って息が入らなかった分か、直線での粘りが利かない。代わって先団を見る位置に控えた10番人気エメラルファイトが勝負所で外から進出してこれを交わし、さらに外から差を詰めてきたファンタジストを振り切って初重賞のゴールを切った。

鞍上の石川騎手は3戦ぶりの騎乗で、コンビを組んだ3戦は4角3番手以内で①③着、出遅れた札幌2歳S9番手で④着。今回も先行する競馬を考えていた可能性がありそうで、実際に五分のスタートを切って序盤は先行争いに加わったが、そこで他馬が内外から殺到してきたのを見てスッと控える。結果的に自分より前で運んだ馬はすべて競り落とし、①~③着が同タイムだったところを見ると、この好判断が結果に及ぼした影響は大きそうだ。

勝ち時計の1分47秒8(良)も、阪神開催のオルフェーヴル(1分46秒4)には及ばないものの、近年の中山開催ではロゴタイプと並ぶ好タイム。3歳牡馬路線にはトライアルに参戦しなかったサートゥルナーリア、サトノキングリー、アドマイヤマーズなどがいるが、スプリングS(②着)から皐月賞を制した昨年のエポカドーロの再現が見られても不思議はないのではないか。

裏付けもある。今回のメンバー、悪く言えば"どんぐりの背比べ"といったような状況だったが、ここで好走しても今後に繋がらない…というのは早計。16頭立て以上で行われたスプリングSを制した馬の中には、阪神開催だった11年のオルフェーヴル(この時が単勝4.7倍の1番人気)をはじめ、メイショウサムソン、アンライバルド、ロゴタイプといった後のG1馬がいる。多頭数で行われるG1では、多頭数の重賞を勝ち切った経験はプラス材料になるということだろう。

エメラルファイトクロフネ産駒で、本番に向けては距離延長がポイントか。実際、同産駒は芝1800mの重賞を勝った馬はアエロリット、ホエールキャプチャ、フサイチリシャールなどがいるが、芝2000m以上の重賞制覇は皆無。この名前を見ると、むしろマイルG1でこそ?という気もしてくるが、そこは母父スペシャルウィークの力を借りたいところか。

何より石川騎手はまだ23歳。平成最後の皐月賞で、未来を担う若者の躍動する姿を見たい……というのは、自分だけではないのでは。


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