独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

藤原英厩舎の芯の強さを実感した

文/木南友輔(日刊スポーツ)、写真/森鷹史


イチロー選手引退、内田裕也さん死去…、大きなニュースが相次いだ今年の高松宮記念ウィーク、競馬界では19日にキングヘイローが死亡したというニュースがあった。

柴田善騎手とのコンビでキングヘイローが豪快な差し切りを決めたのは00年の高松宮記念だった。このレースを振り返ると、②着ディヴァインライトは引退後、種牡馬として英1000ギニーを勝つナタゴラを出し、欧州でサンデーサイレンスの名声を高めた。③着アグネスワールドは前年のアベイユドロンシャン賞に続き、この年の夏に英国でジュライCを制している。ブラックホークマイネルマックスブロードアピールトロットスターダイタクヤマトマイネルラヴ…、そうそうたるメンバーだった。

キングヘイロー死亡の知らせを聞いて、柴田善騎手に電話したが、ひととおり話した後、「でも、俺は付録だよ。あくまでこの馬は祐一だから」と…。勝って脚光を浴びるのも競馬だし、負けて成長するのも競馬。その"キングヘイローの主戦"福永祐一騎手が騎乗したミスターメロディが見事に春のスプリント王に輝いた。

高松宮記念週に芝がBコースを使用することになった3年前、1分6秒7という猛烈なレコードで勝ったのが同じく福永騎手騎乗のビッグアーサーだった。前日の競馬からインの芝ははげ気味だが、前が止まらず、差しが決まらない馬場状態。レース後の共同会見で藤原英師は言った。

「枠順と並びを見て、騎手と同じイメージを持ってレースができた。少し違ったが、ほぼ理想的な展開だった」

スタートを決め、好位をロスなく立ち回る。今年の1分7秒3という高速決着を勝ったのは鞍上の好プレー、枠順、陣営の的確な読み…、そのすべてが積み重なった結果だろう。

モズスーパーフレアのスタートダッシュがもうひとつ。内から好位を確保したのが2年前の覇者セイウンコウセイラブカンプーも好スタートを決めた。外枠のダノンスマッシュはインに入ることができず、外に浮いた形の厳しい展開になった。3コーナーで不利を受けたのがナックビーナスアレスバローズロジクライは前がゴチャつくことで後方に下げざるをえない致命的な不利を受けた。インにこだわったレッツゴードンキは結果的にもう1列前で運べていたら…。

直前の中京10R岡崎特別(古馬1000万)はレースの前半通過が33秒6。対して、高松宮記念は33秒2。差はそれほど大きくないように思うが、ダッシュがつかなかったところで2ハロン目に10秒1を刻んだのだから、モズスーパーフレアにはまったく息が入らなかったのかもしれない。

好位で運んだセイウンコウセイ、内から差し切ったミスターメロディ、最内をスムーズに走ったショウナンアンセム。はっきりとイン有利の競馬になった。イン有利の極端な競馬でオッズ的には大波乱の結果に終わった。ここに何を見出すか。

藤原英厩舎は5度目の参戦で高松宮記念初制覇。G1を走るときはいつもレース直前に芝コースの状態を確認する師の姿を見ることができる。「馬場にはデリケート」と自ら認めるトレーナー。こういった積み重ね、レース前の研究する態度とレース後の反省が大一番で活きてくるのだと思う。

今回は②着が12番人気、③着が17番人気だったが、思えばストレイトガールがG1初制覇を果たした15年ヴィクトリアマイルは②着が12番人気ケイアイエレガント、③着が18番人気ミナレットで3連単2070万5810円。同じストレイトガールの同年秋のスプリンターズSは②着が11番人気サクラゴスペル、③着が9番人気ウキヨノカゼで3連単が10万6170円だった。

藤原英厩舎が勝つときは荒れる、というよりも、人気上位馬が沈む難解な状況下、波乱が起きたときにきっちりしとめてくるのが藤原英厩舎なのだろう。昨年、エポカドーロで制した皐月賞もそうだ。

表彰式を終えたミスターメロディのオーナー関係者にはさっそく海外の主催者がレースへの誘致に動いていた。確認できたのは7月、ニューマーケット競馬場のジュライコースで行われるジュライC。コースを歩いたことがあるが、芝が波打つ直線のタフな舞台だ。スキャットダディ産駒といえば、個人的には昨年の米3冠馬ジャスティファイよりもデットーリを背にアスコットの直線でぶっちぎりの走りを演じたレディオーレリアがまず浮かぶ。

「この血統だからね。アスコットでも走っているし、アメリカ、香港…、世界を視野に入れ、どこかに挑戦したい気持ちを持ってます」藤原英師。まだまだこれから強くなりそうな、藤原英厩舎が強い馬に育てていきそうなミスターメロディ。今年の高松宮記念の449万馬券にはミスターメロディ藤原英厩舎芯の強さを感じることができた。


TOPページに戻る