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速攻レースインプレッション

見た目以上に、この勝利は価値が高い

文/編集部(T)、写真/小金井邦祥


今年のダービー卿CTは出走16頭のうち、重賞勝ちの実績がある馬が実に8頭を数えるメンバー構成。安田記念を見据える時期とはいえ、ハンデG3にしては豪華メンバーのはずだが、不思議なことにそういう声があまり聞こえてこない。

実際、単勝1番人気となったドーヴァー5.2倍というオッズで、2番人気フィアーノロマーノとともに重賞未勝利馬。単勝20倍以内に11頭がひしめく大混戦模様となり、重賞3勝馬で実績的には最右翼のはずのヤングマンパワーがシンガリ人気になってしまうのだから、そりゃあ豪華メンバーとは言いづらい。

このオッズを見て感じたのは、「さすがにファンは分かっているなあ」だった。というのもダービー卿CTはハンデ戦ということもあって、近4年の勝ち馬はいずれも重賞未勝利馬。あのモーリスもここで重賞初制覇を飾っている。重賞勝ちの実績はむしろ邪魔でさえあって、実際、ヒーズインラブは昨年がハンデ55kgで①着、今年は56.5kgで⑧着に敗れてしまった。

レースは大方の予想通りマルターズアポジーがハナへ。ジョーストリクトリもこれに続き、1枠2番で包まれたくないフィアーノロマーノも少し仕掛けて前に出て、さらに外から仕掛けてエイシンティンクルも先行争いに加わる。前半600mは33秒9で、これは過去10年だとトウケイヘイローが逃げ切った13年の34秒3を上回り、近年最速のペースとなった。

そんなペースの中、4コーナーまで馬群を牽引したマルターズアポジーエイシンティンクルが交わし、さらにその外からフィアーノロマーノが先頭に立ったところで後続も殺到。さすがに坂を上がったところでフィアーノロマーノの脚色が鈍ったが、内を捌いて差し込んできたマイスタイル、外から伸びてきたプリモシーンの追撃を振り切り、フィアーノロマーノ初重賞制覇のゴールを切った。

着差はあまりつかなかったが、ハイペースで差し馬が台頭する流れの中、フィアーノロマーノは唯一好位から進めて押し切った。3ヵ月ぶりで今年緒戦だったことを考えても、このレースぶりは見た目以上に内容が濃いものと言えるだろう。

勝ち時計は1分31秒7で、15年モーリス、18年ヒーズインラブがマークした1分32秒2を0秒5上回るレースレコードダービー卿CTを速いタイムで制した馬はモーリスをはじめとしてダイワメジャー(05年、1分32秒3)などがいる。パンパン馬場で行われる秋の中山に比べて、今の時期は内を空けて走る馬が多いことからも分かるように、馬場がかなり荒れてきている。そんな中で出したこのタイムは価値があるだろう。

また、前述したようにフィアーノロマーノは今回が休み明けだったが、ダービー卿CTの勝ち馬で、休み明けだった馬はダイワメジャーしかいない。好条件とは言えない中でこの勝ちっぷりということで、今後の活躍に期待が高まる勝利だったといえそうだ。

現在のマイル路線はステルヴィオ、モズアスコットなどのG1馬が健在だが、マイラーズCに回ったダノンプレミアムがこの路線に殴り込みをかけてきて、多士済々の混戦模様フィアーノロマーノにとっては過去3戦して⑩⑤⑱着の左回りは課題だが、南半球産の5歳馬で伸びしろもまだありそうなだけに、決して侮れないのではないだろうか。

最後に個人的な反省点を。①着フィアーノロマーノが父ファストネットロック、②着プリモシーンの母父がファストネットロックで、デインヒル系の血を持つ2頭がワンツーを飾る形に。そして、父か母父にデインヒル系を持つ馬のワンツー豪州産馬の連対も、これで3年連続となった。

今年の③着マイスタイルも母母父がダンチヒ(デインヒルの父でもある)で、この血はダービー卿CTを得意としているのだろう。こういうことは、いち早く気づいた人が強いとレース後に痛感したが……この傾向は来年まで覚えておきたい。


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