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速攻レースインプレッション

今の日本競馬を象徴するような勝利に改めて時代の「変化」を痛感した

文/山本武志(スポーツ報知)、写真/森鷹史


今年は牡馬も牝馬もクラシック戦線で時代の「変化」を感じていた。牡馬では昨年末のホープフルSまで圧勝続きで「大器」の評判が高いサートゥルナーリアが早々と皐月賞直行を表明。昨年の朝日杯FSを勝ったアドマイヤマーズ、さらにその2歳王者に初めて土をつけたダノンキングリー共同通信杯から皐月賞へ向かうローテーションを選択した。

以前なら有力馬はトライアルをひと叩きして、本番へと向かっていたはず。しかし、今年はトライアル組で本番でも主役候補と言えそうなのは若駒Sを勝ったヴェロックスぐらいか。実質、2月中旬で固まってしまった勢力分布図に、各馬の仕上がりを見極めながら、私たちは来週の予想をすることになる。

牝馬も似たような状況と言える。2歳女王ダノンファンタジーこそチューリップ賞から始動する 「王道」を歩んできたが、阪神JFで②③着のクロノジェネシスビーチサンバクイーンCから約2ヵ月、間隔を空けての出走。グランアレグリアは昨年末の朝日杯FS以来、これが年明け初戦。今年の桜花賞は各馬が「常識」にとらわれない臨戦過程で、大一番へ臨んできた印象を受けた。

レースは前半600mが35秒4と過去10年で3番目に遅いペース。とはいえ、ルメール騎手グランアレグリアが4角手前で早々と外から先頭に立った時は驚いた。しかし、直線でもダノンファンタジーなど後続に迫られるどころか、逆に楽々と突き放した。熾烈な②着争いを尻目に、涼しい顔で2馬身半差をつけたゴール板。勝ち時計の1分32秒7は昨年のアーモンドアイより0秒4速い桜花賞レコード。上位拮抗の混戦ムードもどこへやら、1頭の強さだけが際立つレースになった。

年明け初戦だった馬の桜花賞制覇は史上初。そんな記録に目を通していると、ふと思い出したのは、まだファンの時代に見ていたスティンガーだ。同じ藤沢和厩舎赤松賞から連闘で臨んだ98年の阪神3歳牝馬Sを制覇。その後、翌年の桜花賞に直行した。結果は着だったが、異色のローテを歩み続けるサンデーサイレンス産駒の動向は常に気になっていた。あれから、ちょうど20年。朝日杯FSへの参戦、桜花賞への直行など先輩のように独自の道を歩いてきたグランアレグリアの姿が、あの名牝に重なった。

さて、話を冒頭の話題に戻す。クラシック戦線の臨戦過程が大きく変わってきた最大の要因は、トレセン近郊にある調教施設、いわゆる外厩の発達ということに尽きる。先日、16年2月に引退した橋口弘次郎元調教師と食事をしている時、こんなことを言われた。「今の時代、3ヵ月や4ヵ月の間隔を空けて、休み明けとか久々とか聞いたり、書いたりするのは時代遅れ。放牧先の施設、スタッフは以前とまったく違う。トレセンの近くに、もうひとつトレセンがあるような感覚だよ」

昔は放牧といえば、牧場に調教施設も少なく、完全に「休む」ための場所だったという。当然、戻ってきた時の馬体は緩いことが多かった。しかし、今は坂路やコースがしっかりある放牧先の牧場スタッフと密に連絡を取り、目標のレースへ向けた調教メニューを決定。ある程度、「できた」状態でトレセンに戻ってくる。間隔が空いたとしても、故障絡みでなければ、一から作り直していく作業はまったく必要ない。

グランアレグリアは2戦目以降、その前走から4ヵ月、2ヵ月、3ヵ月半空けての出走。常に間隔を取りながら、使われてきることで結果を出してきた。藤沢和調教師は放牧先のノーザンファーム天栄とうまく連携しながら、この馬にとっての「ベスト」の調整法、臨戦過程を見極めた上、今年初戦の馬が桜花賞を勝つという前例がなかったとはいえ、直行を決断したのだろう。

正直、今回は初の敗戦でタフな競馬を強いられた朝日杯FSの影響が残っていないのか、すごく気になっていた。しかし、パドックでは前回とまったく違う落ち着き払った様子。間隔を空けたことでいいリフレッシュができていたと思う。もちろん、その勝ちっぷりから能力が一枚上であったことは間違いない。ただ、今回は今の日本競馬を象徴的に物語っているような勝利だなと思いつつ、改めて時代の「変化」を痛感した。

さて、来週は皐月賞。主役は同じく今年初戦となるサートゥルナーリアだろうが、果たして…。また、週末は頭を悩ませることになりそうだ。


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