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速攻レースインプレッション

三冠達成へ向けて期待が膨らむ一歩になった

文/後藤正俊(ターフライター)、写真/小金井邦祥


牡馬三冠・第一弾の皐月賞。先週の桜花賞グランアレグリア朝日杯FS以来という異例のローテーションながら圧倒的な強さを見せ、アーモンドアイに続いて世界へ羽ばたく期待を抱かせてくれただけに、3歳牡馬からも世界を意識させるようなスターの登場が嘱望されている。

ローテーションが多様化したことで有力馬同士が未対戦というケースも増えてきた。今年はサートゥルナーリアダノンキングリーがともに無敗で皐月賞本番を迎え、一層の盛り上がりを見せていた。特にサートゥルナーリアは新馬、萩SホープフルSといずれも馬なりのまま圧勝しており、しかも母シーザリオ、兄にエピファネイアリオンディーズがいる血統だけに、単勝1.7倍というオッズにファンの期待の大きさが示されていた。

そのサートゥルナーリアは、ホープフルSでは直線で前が詰まるシーンもあっただけに、初めて手綱を取ったルメール騎手は安全第一の騎乗を心掛けた。6枠12番という枠順を活かして、距離ロスは覚悟しながら大外を回って中団6~7番手に待機。4角も大外から早めに仕掛ける横綱相撲を見せようとした。だが、さすがに小回り中山2000mでこれだけのレースをしてあっさり抜け出すのは難しい。先に抜けたヴェロックスをゴール寸前で捕らえ、内を突いたダノンキングリーを辛くも抑え、アタマ、ハナ差で何とかこのデッドヒートを制した。

3強のゴール前の激闘は見応えがあるものではあったが、圧勝が期待されていたサートゥルナーリア苦しさは、レース後の審議ランプにも表れていた。ヴェロックスを交わした瞬間に内にもたれ、ヴェロックスと接触。ルメール騎手はすぐにステッキを右に持ち替えて態勢を立て直しており、しかもアタマ程度は差していたこと、先に馬体を外に寄せてきたのはヴェロックスだったことから問題はないように見えたものの、審議の結果が出るまでには約10分間を要した。

これまでの審議ランプ点灯の前例から考えると、やや違和感のある長時間の審議でファンもやや戸惑ったことだと思うが、初めてステッキの入ったサートゥルナーリアがかなり苦しんだことは確かだった。

それでも、大外を回っても上がり3ハロンは最速の34秒1。かなり荒れた馬場でタイムはコースレコード、レースレコードの1分57秒8に0秒3差まで迫る1分58秒1。無敗での皐月賞制覇はディープインパクト以来14年ぶり。中106日での皐月賞制覇は史上最長のブランクを克服したのだから、歴史に残る皐月賞馬だった。

発馬地点ではややイレ込みを見せていたものの、普段は至っておとなしい性格で、兄エピファネイアリオンディーズのような扱い方の難しさもない。レースでもそれほど掛かるところは見せておらず、ロードカナロア産駒であっても距離延長はあまり問題がないように思える。エピファネイア(②着)、リオンディーズ(4位入線、⑤着)が手の届かなかった牡馬三冠・第一弾を制したことは、平成から令和へと時代をまたいだ三冠達成へ向けて、期待が膨らむ一歩になったことは間違いない。

敗れたとはいえヴェロックスも正攻法の強い競馬を見せた。時計の速かった東京スポーツ杯2歳Sで④着敗退しており、速い決着には不安があるかと思われていたが、長く脚を使える特徴を川田騎手が最大限に引き出した。ジャスタウェイの初年度産駒で、兄3頭は目立った活躍をしていない血統だが、セレクトセールで金子真人氏が4800万円で落札。自ら所有していたディープインパクトキングカメハメハの産駒でもないのに、この馬を発掘してしまうオーナーの相馬眼の確かさには驚くばかりだ。

ジャスタウェイ産駒の距離特性はまだ未知数だが、母系はタフなドイツ血統で、母の父モンズーンは産駒にオークス②着ピュアブリーゼ、ブルードメアサイアーとしてはオークス馬ソウルスターリングを出している。ダービーでは再びサートゥルナーリアと激闘を演じるに違いない。

ダノンキングリー共同通信杯と同様に内を突いた。かなりきつい進路の取り方をしていたので反動がやや心配ではあるが、包まれずに一瞬に抜けた脚は、さすがはディープインパクト産駒と思えるものだった。ディープインパクト×ストームキャットの黄金配合で、高速馬場、直線の長いコースにもっとも向いている。2400mの距離に不安がないわけではないが、ダービーが高速馬場になれば大外から飛んでくる姿を想像したくなる。

2番人気に推されたアドマイヤマーズロスのない競馬で3頭から2馬身遅れの④着。一部で不安視されていたように2000mは若干長かったようだ。NHKマイルCに出走してくれば、再びグランアレグリアとの対決が楽しみになってくる。


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