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速攻レースインプレッション

今年の青葉賞組が皐月賞組に対抗するには!?

文/出川塁、写真/小金井邦祥


1994年に重賞となった青葉賞は、その年の勝ち馬エアダブリンダービーでもナリタブライアンの②着に好走。しかし、その後もシンボリクリスエスゼンノロブロイアドマイヤメインウインバリアシオンフェノーメノと②着馬は出るものの勝つには至らず、17年にはアドミラブルが1番人気に推されたが③着まで。フェノーメノがハナ差まで迫ったときは青葉賞からダービー馬が出る日も近いかとも思ったが、むしろ近年は遠ざかった印象もある。

よくいわれるのは3歳春に中3週で2400mを2回走ることの厳しさで、実際それも大きいのだろう。ただ、もっと間隔が短い中2週の京都新聞杯からはキズナダービーを制しているし、調教技術の進歩した現在、中3週のローテ自体はそこまで不利ではなくなっているようにも思える。

青葉賞組ダービーを勝てないのは、レースの質が違うことが大きいのではないか。端的にいえば上がり3Fのタイムが違う。過去5年はいずれも良馬場で行なわれ、青葉賞のレース上がりが平均34秒9だったのに対し、ダービー平均34秒3と0秒6速い。つまり、青葉賞組は本番だと切れ負けしてしまうのである。

ちなみに、戴冠にもっとも近づいた青葉賞馬であるフェノーメノの12年ダービーはレース上がり36秒1。緩みなく逃げたゼロストーセンホマレボシが追いかけ、最終的に勝つディープブリランテも早めに仕掛けていったことで上がりを要した。あるいは道悪などでもいいだろうが、こういう展開になることが青葉賞組によるダービー制覇の条件なのかもしれない。

ではなぜ、青葉賞で上がりがかかるのか。それは過去5年に③着以内に好走した馬の戦歴が見事に物語っている。該当する15頭のうち、前走が2200m以上だった馬が実に13頭を数える。これはスタミナによさがあると同時に、皐月賞へと向かう2000mまでの路線ではスピードが足りず、力を発揮しづらい馬ということでもある。世代初の2400m重賞となる青葉賞ではスタミナを活かして好走できるが、皐月賞組が中心となるダービーではスピードや上がりの速さに苦しむ、という構図がある。

少々長くなったが、こんなことを念頭に置きながら観戦した今年の青葉賞は、小雨がぱらつく天気となって稍重での開催。馬場はさほど悪化していないようではあったが、かといって速い上がりが出るとも考えづらく、例年と同じく前走で2200m以上の距離を使っていた馬に有利とみるのが自然だろう。

そこで人気を見ると、1番人気のランフォザローゼスは過去3戦がすべて2000m、2番人気のウーリリは過去2戦がいずれも1800m、3番人気のピースワンパラディは過去2戦がともに1600mと、ひとつの距離をつかってきた馬が上位を占めるという面白い構図。しかし、狙い目はその下、前走2200mの特別戦を勝ってきた4番人気のアドマイヤスコールと5番人気のリオンリオンだ。

すると、1枠に同居したこの2頭がレースでも先頭と2番手を進む展開となり、リオンリオン横山典弘騎手絶妙のペース配分を見せる。先行争いがひと段落した400~1200mまでは綺麗に12秒前後のラップを並べ、向こう正面の終わりから3~4コーナーにかけての1200~1800mでわずかにペースを落として息を入れる。そして、4コーナーから直線にかけての残り600~200mで11秒6-11秒8に加速してリードを築くと、最後はランフォザローゼスの追い上げを一杯にしのいでダービー切符を手に入れた。

ただ、レース上がりは36秒3。これはそのまま逃げたリオンリオンの数字でもあり、これでは本番に向けて物足りない印象は否めない。それはハナ差の②着に迫ったランフォザローゼスにしても同じで、自身の上がりはこのレースを含めて3戦続けて35秒台にとどまる。皐月賞組に対抗するためには展開や馬場の助けが必要になってきそうだ。

2馬身離れた③着にピースワンパラディ。惜しくもダービー行きはならなかったが、800mの距離延長に対応してみせた。ラチ沿いをロスなく走っての結果だけに、本質的にはマイルから2000mぐらいが適性という印象も受けたが、将来が楽しみな好素材には違いない。

一方、同じく3戦目で距離延長となったウーリリは⑫着に大敗。若さを露呈した感も、むしろこのほうが普通かもしれない。また、2番手を進んだアドマイヤスコールも直線では失速して⑨着に沈んだ。前半から折り合いを欠いた場面も見られ、これはむしろ不本意な先行策だったのかもしれない。


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