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速攻レースインプレッション

マイル戦で連敗脱出、今後の活躍に期待が膨らむ

文/浅田知広、写真/川井博


過去23回のNHKマイルC出走馬のうち、前走で桜花賞に出走していた馬は[4.1.0.12]。このうち、桜花賞で③着以内だった馬は、05年の桜花賞馬ラインクラフト、同③着馬デアリングハートだけで、NHKマイルCはこの2頭によるワンツー決着だった。また、桜花賞で3番人気以内だったのは、ラインクラフトのほかにはメジャーエンブレム1頭だけ。こちらは16年の優勝馬だ。

一方、前走皐月賞組を見てみると、[1.4.5.38]と好走馬こそ多いものの1勝止まり。ただ、皐月賞1~2番人気馬は[1.1.1.0]皐月賞④着以内馬も[0.1.2.1]と、さすがに高確率で馬券圏内を確保している。

さらに。桜花賞組皐月賞組がともに3番人気以内に推された例は2回あり、05年はラインクラフト①着、ペールギュント④着。そして16年がメジャーエンブレム①着、ロードクエスト②着と、ともに桜花賞組が勝利を飾っていた。

さて、今年のNHKマイルC桜花賞からは2番人気で優勝したグランアレグリアと、⑥着のプールヴィル。そして皐月賞からは2番人気④着のアドマイヤマーズを筆頭に3頭が駒を進めてきた。先のデータからすれば、これは文句なしにグランアレグリアが有力だ。

しかし、そこにきて前日の大荒れの天気である。レース直前に雨が降り出した昨年末の朝日杯FSでは、2番人気のアドマイヤマーズが完勝し、断然人気のグランアレグリアは③着に敗退した。さて、この日は好天に恵まれたとはいえ、あの雨と雹がレースにどんな影響を及ぼすのか。

2頭とも先行型ということでその位置取りが注目されたが、なんとスタートは2頭揃って出遅れ。好発を切った馬との比較で1馬身から1馬身半程度と、さほど大きな遅れでこそなかったが、両陣営とも思い描いた展開と少し違う形になったのは確かだろう。

もっとも、スピードのあるグランアレグリアは早々に4番手まで進出。勢い余って、序盤はやや掛かり気味になる場面も見られた。一方のアドマイヤマーズはじんわりと中団まで上がり、そこからも徐々に前との差を詰める形。ただ、4枠7番グランアレグリアが内めを距離損なく運べたのに対し、8枠17番アドマイヤマーズはけっこうな距離損を喫していたように見受けられた。

しかし、この損得勘定は、直線に入って逆転することになる。中団の一番外がアドマイヤマーズ、その内に3番人気のダノンチェイサー、さらに内にグランアレグリアという並び。そしてグランアレグリアの目の前には先行していたトオヤリトセイトがいたのだ。

さて、グランアレグリアがどんな進路を取るのかと思えば。鞍上のルメール騎手は直線入り口でちらっと外の2頭を確認しており、これに馬体を併せようとしたのか、それとも「もう来たのか」と、少し慌てるところでもあったのか。その心中はわからないが、トオヤリトセイトの外へ出すことを選択し、その際にダノンチェイサーをはじき飛ばしてアドマイヤマーズと挟み込むような形になってしまったのだった。

そこから後は、挟まれたダノンチェイサーも含め3頭揃ってじりじりとした脚。前ではワイドファラオトオヤリトセイトが粘っていた上、後方の内からはカテドラル、大外からはケイデンスコールが鋭い脚を見せており、これは人気馬総崩れの大波乱か、という場面もあった。

しかし、坂を上がりきってから底力を発揮したのが2歳王者アドマイヤマーズだった。リアルタイムでは、隣のダノンチェイサーグランアレグリアが伸びあぐねており、そこからアドマイヤマーズだけが急に伸びたようにも見えたが、レースのラスト2ハロンは11秒3-12秒0。前が止まると同時に自身の脚も鈍ったダノンチェイサーグランアレグリアに対し、アドマイヤマーズは同じ脚を使い続けて2頭を突き放していった、ということになる。

そのまま、アドマイヤマーズは内外のカテドラルケイデンスコールの追い上げも封じて見事優勝。マイル戦5戦全勝3歳マイル王の座に就いた。父ダイワメジャーとの皐月賞父子制覇こそならなかったが、この時点で父を上回るG1・2勝。今後、安田記念マイルCSはもちろん、年齢を重ねれば、天皇賞(秋)の父子制覇という可能性ももちろんあるだろう。ここで連敗を脱し、今後の活躍がさらに楽しみになる勝利となった。

一方、4位入線のグランアレグリアは、ダノンチェイサーの走行を妨害したとされ⑤着に降着。人気2頭の明暗がくっきり分かれる結果となってしまった。外に出してからもさほど脚を使えなかったのは、前日の雨のせいか、それとも出遅れから序盤に脚を使ったせいか。前半3ハロンが桜花賞より1秒5も速かったことも影響したかもしれない。しかし、桜花賞のあの鮮やかな勝ちっぷりを見れば、いずれまた大きなチャンスが巡ってくるに違いない。


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