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速攻レースインプレッション

もっとも大人びたレースでぶり樫の女王を戴冠した

文/後藤正俊(ターフライター)、写真/川井博


桜花賞を圧勝したグランアレグリアNHKマイルCに回ったため、確たる主役が不在となった第80回オークス。1番人気は桜花賞不出走で3戦全勝のラヴズオンリーユーが4.0倍、2番人気は桜花賞③着馬クロノジェネシスが4.1倍でほぼ並び、3番人気コントラチェック5.1倍、4番人気ダノンファンタジー6.4倍と、10倍以下の4頭に人気が割れた。

東京競馬場は、先週のヴィクトリアマイルでは1分30秒5驚異的な日本レコードが出たほどの超高速馬場が続いている。この上位人気4頭のうち3頭は高速馬場が得意なディープインパクト産駒、もう1頭はその日本レコードを樹立したノームコアの半妹クロノジェネシスで、ファンも各馬が初体験となる2400mの距離よりも、スピード能力を重視した予想をしているように見えた。

スタンド前の発馬で、シゲルピンクダイヤがややイレ込んでゲート入りを嫌がり、ラヴズオンリーユーも鞍の下に発汗が目立っていたが、大きなトラブルはなく各馬がゲートイン。その発馬でフライング気味に見えるほどの抜群のスタートを決めたのが1番枠を引き当てたジョディーだった。菜の花賞フラワーCと逃げて連勝を決めてきたコントラチェックも持ち前の天才的なスタートセンスを見せたが、ジョディーの強烈なスタートと主張には無理に競り掛けることはせず、2番手追走となった。

5ハロン通過は59秒1。かなりのハイペースに見えたが、レース後に全体の走破タイムが判明すると、むしろ平均ペースだったことが判る。コントラチェックには理想的なペースだったはずだ。直線に向いてそのコントラチェックジョディーに並び掛けて先頭に立ったが、サフラン賞の時がそうだったように、この馬は逃げていないと伸び脚を欠く傾向が見られる。まだ気性的な若さがあるのかもしれない。直線半ばでズルズルと後退し⑨着に敗れた。

先行していたジョディーコントラチェックエールヴォアが後退する中、4番手追走していたカレンブーケドールが抜け出しを図る。それを見事に内からすくったのが最短の経済コースを通っていたクロノジェネシスで、そのまま突き抜けるのかと思われたが、こちらもゴール前で止まって③着。これまで敗れた2戦の阪神JF②着、桜花賞③着はともにレース中の不利が影響したものだと思われていたが、理想的なレースをしたオークスでも③着に敗れたのは、G1には一歩届かない勝負弱さがあるのか、母の父クロフネでやはり2400mは高速馬場でもやや長かったのかもしれない。

クロノジェネシスを競り落として単独で先頭に立ったカレンブーケドールを、ゴール前できっちり首だけ差し切ったのが1番人気ラヴズオンリーユーだった。中団追走から直線は外に持ち出して、王道の追い込み勝ち。ほぼ馬なりで圧勝した忘れな草賞の内容からも大物だとは思っていたが、オークスがデビュー4戦目で重賞初挑戦。無敗のオークス馬は過去4頭だけで、2006年カワカミプリンセス以降は出ていなかったというデータから、キャリア不足を不安視する声もあった。だが、発走前に発汗があったにも関わらずレースではきっちりと折り合い、直線で34秒5の末脚を爆発させた。デムーロ騎手の指示通りに、もっとも大人びたレースを見せて、樫の女王を戴冠した。

勝ちタイムの2分22秒8は2012年ジェンティルドンナの2分23秒6を0秒8更新するオークスレコードで、昨年のアーモンドアイの勝ち時計を1秒上回った。時計は馬場状態、ペースに左右される部分もあり単純比較はできないが、この両名牝ですら達成できなかった無敗のオークス制覇を成し遂げたのだから、その前途は洋々だ。

全兄リアルスティールは牡馬三冠が②④②着とあと一歩だったが、海外遠征したドバイターフでG1制覇。今春から社台スタリオンSで種牡馬入りし、ディープインパクトの後継として大きな期待が掛けられている。同じく全兄のプロディガルサンは重賞勝ちこそまだないが、6歳の今年もオープンで活躍しており、脚元に不安がないことが大きな特徴になっている。タフで丈夫な血統背景はじつに心強い。また1頭、歴史的名牝候補が誕生したと言えるだろう。

鞍上のデムーロ騎手は、NHKマイルCアドマイヤマーズに続いて今年G1・2勝目を挙げて完全に復調。オークス初制覇でクラシック完全制覇を達成した。騎乗停止中のルメール騎手が復帰すれば、再びデム・ルメがG1の中心になっていくに違いない。馬主のDMMドリームクラブは2016年セレクトセールで高額馬を次々に落札する衝撃的なデビューを果たしたが、その2世代目の所有馬で早くもクラシック制覇を果たした。これまでにない形のクラブ馬主として、さらにその存在価値を増していくことだろう。

②着カレンブーケドールもじつに強いレースをした。一旦は交わされかかったクロノジェネシスに逆に2馬身半差をつけ、先行策で最後までラヴズオンリーユーを苦しめた。スイートピーSのレベルがやや疑問視されていたことで12番人気に甘んじていたが、やはりディープインパクト産駒は高速馬場に強いことを、オークス①②着独占で改めて知らしめた。ダノンファンタジーシェーングランツもいたので、判ってはいてもここまで馬券の手を広げられなかったファンもいたことだろうが、来週の日本ダービーでも気を付けなければならない血統データとなった。


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