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速攻レースインプレッション

インディチャンプの将来を期待せずにはいられない

文/木南友輔(日刊スポーツ)、写真/川井博


先週のダービーの入場人員は前年比92.7%の11万7538人。酷暑の影響も大きかったが、それにしても大きく減った。一方で、安田記念は前年比120.9%。やや暑さの和らいだ曇り空。昨年の安田記念当日も雨ではなく、晴れた競馬日和だったのではないか。比較すると、いかにファンが今年の安田記念を楽しみにしていたかがわかる。スターホースの存在、注目の対戦…、やはり競馬の主役は馬なのだとあらためて思い知らされた。

アーモンドアイダノンプレミアム。戦前に評価された2強が外の14、15番枠に入った。先週からCコースになった東京の芝。土曜の競馬から今週も高速決着になることは十分に予想できたし、「外々をまわらされる形、外を追い込んでくる形になると厳しくなる。2頭は先行する」。そんな見立てだったのだが…。

5R、6Rに組まれた安田記念と同じ芝1600mの新馬戦はいずれもシルクレーシングの馬が制した。5Rはルメールが騎乗したレイデオロの弟アブソルティスモが逃げる形。そのまま悠々と押し切るシーンが想像できたのだが、後方からすさまじい脚で上昇してきたサリオスが差し切った。6Rの牝馬限定戦は同じような形で、今度はルメール騎乗のモーベットが最後方から大外一気を決めた。差し切りが決まったのははっきりと力差があったから。速い時計が出る馬場であり、速い上がりを使える馬に有利な馬場だった。

ヴィクトリアマイルで驚異的なレコードを演出したアエロリットがこの日も逃げた。ヴィクトリアマイルは前半800m通過が44秒8、1000m通過が56秒1だったのに対し、安田記念は800m通過が1秒遅い45秒8、1000m通過が57秒0。⑤着に粘った前走より楽なペースだった。負担重量(56キロ)は1キロ増えていたが、プレッシャーを受けずに運べたことで昨年の②着馬が再び好走した。昨年は1分31秒3の時計だったが、今年はそれをわずかに上回る1分30秒9で走破。この馬は米国遠征から帰国2戦目。見事な2年連続②着だったと思う。

レース中はアーモンドアイダノンプレミアムのポジションが後方過ぎることを不可解に思ったが、レースが終わり、パトロールビデオを見て、各陣営のコメントを聞けば納得。スタート直後に大外ロジクライが内へ斜行したことで、アーモンドアイダノンプレミアムペルシアンナイトは想定外の位置からの競馬になってしまった。

パドックからテンションが高く、馬場入場時も興奮していたダノンプレミアムはさばきも硬く、本来の調子になかったか。一方で、アーモンドアイはいつもと変わらず、堂々と歩けていた。ペルシアンナイトは週中の陣営の言葉にもあったように素晴らしい仕上がりだった。痛すぎる不利だったと思う。

インディチャンプの勝ちタイムは1分30秒9。12年ストロングリターン、昨年モズアスコットがマークした1分31秒3を上回った。東京の5週連続G1はヴィクトリアマイルからオークスダービー4週連続でレースレコードが更新されたことになる。

内枠、時計の速い馬場になると、福永騎手は強い。直線半ばまで前の2頭が気持ちよく走っていたが、あわてずに前に壁を作り、しっかりとスペースを見つけ、きっちりと差し切った。東京新聞杯のレース後は抜け出して気を抜く面を課題に挙げていたが、G1で強い相手に勝ち切ったことであらためて福永騎手「馬の能力を把握する力」、その手綱さばきに感服させられた。

インディチャンプは祖母がトキオリアリティーであり、母の半弟が11年の覇者リアルインパクト、17年のクイーンエリザベス2世C覇者ネオリアリズムリアルインパクトは7歳でシドニーのジョージライダーSを制している。東京の高速馬場における活躍だけでなく、オーストラリア、香港など海外の環境で飛躍する可能性も大いに感じられる血統だ。

世界中が注目していたアーモンドアイの今年国内初戦。上がり3ハロンは32秒4というとてつもない数字。誰が見ても強い競馬をした。それでも勝つことはできず、連対すら逃した。今年の安田記念、当初見込まれていたビューティージェネレーションの参戦はなかったが、日本の競馬の層の厚さを証明し、競馬の難しさを証明するレースになった。そして、インディチャンプの名前は世界に広まった。この秋にどこの競馬場で走っているのか、来年の今頃はどこで走っているのか、その将来を期待せずにはいられない。


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