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速攻レースインプレッション

変わり身の要因は素直に「成長した」と受け取ればいいのかも

文/浅田知広、写真/森鷹史


あるときを境に、これまでとはまったく違う姿を見せる馬はたまに見かけるものだ。たとえば。先週の目黒記念をレコードタイムで制したルックトゥワイスも、そんな1頭に数えてもいいだろうか。3勝クラス(旧1600万)に昇級してから昨年秋まで②着4回、③着2回の着外なし。安定こそしているものの、なかなか勝ち星には手が届かなかった。

しかし、アルゼンチン共和国杯に格上挑戦して⑧着に敗れると、続く自己条件・グレイトフルSは3馬身差の圧勝劇。いったいこれまでの②③着続きはなんだったんだ、という勝ちっぷりだった。その後はさすがに相手も強く②⑥④着と馬券圏外が増えたが、目黒記念をモノにして「勝てる」タイプになってきている。

そんな変わり身を見せた馬が、今週の鳴尾記念にも1頭。1番人気に推されたメールドグラースだ。デビューから昨年末まで、良馬場にかぎれば[2.2.4.0]。複勝率は100%ながら勝率は25%止まりだった。

ところが、今年に入って2勝クラス(旧1000万)、3勝クラス(旧1600万)、そして前走の新潟大賞典3連勝。さて、いったいなにがどう変わったのか。ここ3走は476kg以上、それ以前は最高でも4走前の472kgで、シンプルに「成長した」と考えるのが妥当か。そんな勢いに乗って重賞連覇をかけての出走となった。

そしてもう1頭、やはり変わり身を見せていた「っぽい」のが、離れた5番人気のブラックスピネルだった。一昨年に東京新聞杯を制してからは、8戦連続で馬券圏外。以前は重賞で何度も掲示板に載っていたのに、その後はオープン特別でも掲示板外が増えていた。

しかし、ブリンカーを装着した3走前の白富士Sを逃げ切り勝ち。続く小倉大賞典は⑦着、新潟大賞典も⑤着で、見た目上は「効いたのは1戦だけ」ながら、いずれもハンデ57キロを背負って0秒3~0秒4差に踏みとどまっていた。それぞれのレースで先着を許したタニノフランケル(小倉大賞典②着)やメールドグラース(新潟大賞典①着)のハンデは当時54キロ止まり。それが今回は3頭揃って56キロなら、おもしろい勝負になりそうだった。

さて、そのブラックスピネルが行くのか、それともタニノフランケル(3番人気)が行くのか。まず先行争いが注目されたが、ハナを切ったのは外からブラックスピネルのほう。タニノフランケルは2番手につけ、メールドグラースは後方から。そして、2番人気のギベオンは出遅れを喫してその後ろという展開になった。

前半の1000m通過は60秒4で、ブラックスピネルのマイペース。流れが速くなったのは残り600mを切ってからで、そこからメールドグラースは外を回して進出を開始した。ペースが上がったところで距離損のあるコース取り、末脚を失いかねないタイミングでの仕掛けにも思われた。

しかし、そこは連勝中の勢いか、それとも鞍上レーン騎手、ということか。ブラックスピネルもいったんは後続を突き放しかけたが、最後の坂にかかったところでやや失速。それを逃さずメールドグラースは大外から力強い末脚を繰り出し、ゴール100m手前でブラックスピネルを交わして先頭。そのまま1馬身半の差をつけ、見事に重賞連覇、そして父子制覇(父ルーラーシップは2010年の優勝馬)を成し遂げたのだった。

レース後のレーン騎手のコメントは「少し仕掛けが早かった」ものの、そこからは「馬が強かった」とのこと。変わり身の要因は、やはり素直に「成長した」と受け取ればいいのかもしれない。

ともあれ、これで年明け無傷の4連勝。勢いに乗って中2週で宝塚記念……という期待もしたくなるところだが、さて、どうなるだろうか。父ルーラーシップもその産駒も、早くからそれなりの力を見せつつ、古馬になってもうひと伸びというタイプ。ここでひと息入るにしても、秋の天皇賞や来年の大阪杯で、さらに力をつけた姿を見せてくれることを期待したい。

一方、敗れたブラックスピネルは、これでG3・3戦連続で0秒2~0秒4差と安定した走りを見せている。ただ「安定」してこの差だと、ハンデ戦では間に何頭か入りやすく、次の別定G3・2000mは暮れの鳴尾記念まで待たねばならない。2017年の京都金杯②着、東京新聞杯①着があるだけに、ブリンカーを装着したマイル戦での走りも一度見てみたいところ。2000mならハンデを背負っても勝ち切るなり、札幌記念のような強敵相手にも通用するなり、もうひと押しが欲しいところだ。


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