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速攻レースインプレッション

兄のダービー制覇時と重なる姿があった

文/編集部(M)、写真/川井博


確かに逃げ先行型が少なかったとは言え、誰もハナに立とうとしない展開になるとは、誰が予想できただろうか。2~5走前に逃げる競馬をしていたダノンキングダムは、前走で控えて差し切ったこともあってか、ハナには立たず、文字通り、押し出される形サラキアが先頭に立ってレースを引っ張った。

ソウルスターリングが取り消して13頭立てになり、牝馬サラキアだけだった。唯一の牝馬が逃げたことが影響したわけでもないのだろうが、他の牡馬たちは動かず、折り合い合戦の様相を呈した。まったくペースが上がらないまま、レースは淡々と推移した。

サラキア【穴ぐさ・A】だったこともあり、レース中は楽逃げできていたことに悪くない印象を持っていたが、道中であまりに誰も動かないので、雨が降って逃げ残れない馬場になっているのか?(それで誰も動かないのか?)と不安になってきてしまった。

結局、そんな思いは杞憂に終わり、2番手追走のレイエンダに交わされたものの、サラキアは3/4馬身差の②着に粘り込んだ。勝ち時計は1分49秒1(稍重)で、レースの上がり3Fは32秒9。出走馬13頭の上がりがすべて32~33秒台で、道中での位置取りが結果に大きく影響するレースとなった。

エプソムCは、同週のマーメイドSとは対照的に、上位人気馬がきっちり勝利するケースが多いレースだ。近10年(2009~2018年)の連対馬は1~6番人気で、優勝馬は1~5番人気だった。勝ち馬は前走成績や血統にも特徴があり、10頭は前走が芝OPで⑧着以内で、10頭中9頭は4~5歳で、同じく10頭中9頭は父か母父がサンデー系だった。

これを考えれば、ソーグリッタリングミッキースワローが良さそうに映ったが、ミッキースワローは道悪芝では[0.0.0.3]で、レース前から降り出したがマイナスに作用しそうだった。ソーグリッタリングも過去7勝が良馬場の芝で、が気にはなったが、父ステイゴールド×母父シンボリクリスエスという配合ならこなせそうに感じられた。

そのソーグリッタリングは4~5番手追走から上がり32秒8で前を追ったものの、レイエンダサラキアには及ばず、③着までだった。優勝したレイエンダは父キングカメハメハ×母父シンボリクリスエスという配合で、出走馬の中に2頭いた母父シンボリクリスエスの馬が①&③着に入る結果になった。

近10年のエプソムCではサンデー系が他系統と圧倒していたので、父ミスプロ系(キングカメハメハ産駒)が優勝したことには少々驚いた。父ミスプロ系の馬が優勝したのは、2005年のスズノマーチ以来で、藤沢和厩舎の馬の優勝も、同馬以来のことだった。

レイエンダは前走(メイS)が⑨着だったので、その点でも近年の優勝馬とはズレていたわけだが、それらを覆したのは、チークピーシズを装着しながら超スローペースでも2番手できちんと折り合えたことが一因として挙げられるだろう。

レース後のインタビューで、ルメール騎手チークピーシズの効果について言及していたが、あれだけのスローペースになると、逆効果になってしまう可能性もあったように思う。それでも折り合いを欠かず、接戦を制した姿は、兄のレイデオロダービーを制した時と重なる部分があった。

ダービーは2400m、エプソムCは1800mで、距離こそまったく違うが、レイデオロが優勝した2017年のダービーはレースの1000m通過が63秒2で、今回は63秒9だった。レイデオロはスローペースを嫌って道中で2番手まで押し上げ、上がり33秒8で戴冠を果たした。スローペースでも前に行って折り合いを欠かず、最後まで脚を使えるところは、全兄弟だから為せる業だったか、それとも管理する藤沢和厩舎の手腕か。いずれにしても、道中であの位置に付けてレースを進められたことが今回の一変につながったように感じられた。

スローの上がり勝負だっただけに、レース自体の評価としては高いものにはならないだろう。ただ、ここでひとつタイトルを獲得し、およそ1年ぶりで勝ち鞍を挙げられたことは、レイエンダにとって良いきっかけになるのではないか。馬が自信を付ける、そんなこともあり得そうだ。

近10年のエプソムC優勝馬は、そのうち7頭が次走で毎日王冠を走っている。同じ東京芝1800mという舞台であることも関係しているのだろうが、レイエンダは札幌や函館でも勝ったことがあるので、北海道シリーズという選択肢もあるのではないか。どの舞台であっても、今回のレースをきっかけにしてレースぶりが変わってくる可能性は十分にあるだろう。


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