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速攻レースインプレッション

「降級制度廃止」の影響を感じつつも、4歳馬サラスの今後の活躍に期待

文/浅田知広、写真/瀬戸口翔


今年の夏競馬での新しい要素といえば「降級制度の廃止」。昨年以前の同時期と比較すれば、500万条件の在籍馬が減り、オープン馬が増えることになる……、なっているはずなのだが。

今年のマーメイドSは、なんと出走16頭中13頭を前走条件戦出走馬、そして同11頭を格上挑戦馬が占めていた。過去10年のマーメイドSでは、前走条件戦出走馬は144頭中65頭(45.1%)。G3とはいえ牝馬限定、もともと「条件戦組」が多かったレースだとはいえ、今年の16頭中13頭というのはいかにも多い。その中には前走勝ちでオープン入りを果たしたセンテリュオモーヴサファイアスカーレットカラーもいたものの、クラス分けのルールが変わったわりに多いなあ、という印象だ。

もっとも「条件戦組」だからといってレベルが低いかといえばそうでもない、というのが今年のメンバーである。1番人気に推されたセンテリュオ、2番人気に推されたモーヴサファイアはともに、ここ2戦で牡馬相手の3勝クラス(旧1600万)を②①着。特にセンテリュオ[4.4.0.1]という安定ぶりだ。

そしてこのレースは、なにせ「波乱のハンデ戦」。前走成績だけ見れば、福島牝馬S1番人気②着のフローレスマジックが圧倒的。トップハンデとはいえ55キロと決して厳しくはなかったが、さまざまな思惑が交錯して6番人気止まり。9番人気クィーンズベストでも単勝16.4倍と、今年も多くの馬にチャンスがありそうな一戦となった。

そんなレースで先手を奪ったのは、前走1000万条件を逃げて②着だった4歳馬アドラータ。昨年までなら500万条件に降級していたはずの馬である。後続はやや離れ、3番人気のランドネや、2番人気のモーヴサファイアが好位~中団。1番人気のセンテリュオは後方追走となった。

前半の1000m通過は59秒8でやや速め。しかし先頭のアドラータが4~5馬身離しており、好位グループの馬にとっては悪くない流れかと思われた。3コーナー過ぎには、福島牝馬Sと同じように好位からフローレスマジックがじわじわと接近。いや、今回のほうが余力はありそうな雰囲気だ。その後ろにモーヴサファイアも迫って4コーナーを通過した。

直線に向くとすぐに、フローレスマジックが先頭へ。しかし、4コーナーまでの手応えとは一転、どうにも反応が悪く、ここから前走のような渋太さを見せられる態勢ではない。これにモーヴサファイアが襲いかかったものの、こちらも鋭い脚は見せられない。結局、4コーナーで動いた組は仕掛けのタイミングが早かった。

これらを外から一気に交わしていったのは、フローレスマジックモーヴサファイアの後から動いたレッドランディーニ。さらに、直線前半では前が詰まっていたスカーレットカラーが内に入れて進出。残り150mではこの2頭が馬体を離した争いとなり、それがゴールまで続くかに見えたのも、また一瞬だった。さらに後方の大外から、道中ほぼ最後方待機のサラスが突っ込んできたのだ。

前の争いからはレッドランディーニが抜け出したものの、その外からサラスが急襲。ゴール板を通過する瞬間にきっちりとレッドランディーニを捕らえ、直線一気の差し切り勝ちを決めたのだ。終わってみれば、④着センテリュオ、⑤着ウインクルサルーテまで含め、掲示板を占めた馬はいずれも3コーナー10番手以下という、完全な追い込み決着となった。

そして、①~④着はいずれも4歳馬で、中でも勝ったサラスと、②着のレッドランディーニは、昨年までなら1000万条件に降級していたはずの馬である。「降級制度の廃止」がなにがしかの影響を及ぼすことになりそうだとは思ったものの、まさかこんな決着になろうとは(でもありそうと言えばありそう)、という今年のマーメイドSだった。

勝ったサラス「降級制度廃止」後の今年でも、3勝クラスからの格上挑戦馬。ただ、前走のパールSはほぼ最後方の大外から抜群の末脚を繰り出し、上がり3ハロンはメンバー中最速を記録していた。また、同レース①②着のスカーレットカラークィーンズベストがそれぞれ2、3キロ減だったのに対し、サラスは今回4キロ減の51キロと、斤量面では有利になっていた。

さらに、阪神コース[1.1.1.0]という好相性、そして今度は前崩れの展開も味方につけての差し切り勝ちとなった。ただ、今回にかぎって言えば恵まれた面も多かったのは確かだが、ここ2走の末脚を見れば、まだまだ伸びしろがありそうな4歳馬である。

このところ、このレースを足がかりに活躍を見せる馬はあまり出ていないが、ハンデ戦になった06年以降、4歳馬の優勝はわずか3頭目。1頭はここが結果的に引退レースとなったグルヴェイグ、そしてもう1頭は後に府中牝馬Sを制し、エリザベス女王杯でも③着になったディアデラマドレだ。サラスにも、これからさらに末脚に磨をかけ、ディアデラマドレのような活躍を見せてくれることを期待したい。


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