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速攻レースインプレッション

出世レースを制覇、父の優秀さを証明してみせた

文/出川塁、写真/小金井邦祥


今週の中央競馬は、禁止薬物を含む飼料添加物を摂取した可能性のある156頭もの馬が競走除外となる問題で大揺れに揺れた。このユニコーンSでもサトノギャロスロードグラディオの2頭が除外となった。当欄はこの問題を追及する場ではないかもしれないが、展開などレースへの影響が皆無とは言えないはずだ。

例えば、1200mの前2走をいずれも圧勝していたサトノギャロスは、400m延長のここではスピードを活かしてハナを切っていた可能性もある。実際、同じヘニーヒューズ産駒ワイドファラオが逃げ切って勝つことになるのだから、この馬が除外となった影響は小さくはなかった。

除外になったもう1頭のロードグラディオにしても、過去に出走したレースがすべて芝1600mで、今回が初ダートというのはワイドファラオと同じ。勝負事にタラレバは禁物とはいえ、今回の事態には陣営の落ち度がないだけに、予定通りに出走できていればと思ってしまうのは無理からぬことだろう。

このようにレース前から興を削がれてしまった印象は拭えないユニコーンSだが、救いとなったのはレース自体が白熱したものになったことだ。残り200mを切ってからのワイドファラオデュープロセスの叩き合いは見どころ十分。坂を駆け上がったところの脚色では完全にデュープロセスが差し切る勢いだったが、ワイドファラオが見事な二枚腰を披露し、馬体を合わせたままゴール板へとなだれ込む。最後は内のワイドファラオがアタマ差でしのいでいた。

レースの趨勢を大きく分けたのはスタートと馬場だった。1番枠のワイドファラオはゲートを決めてすんなり前に行く。初ダートの1番枠というと砂をかぶって力を発揮できないリスクもあるが、芝のマイル重賞を逃げ切った実績を持つこの馬であれば、芝スタートの東京ダート1600mはむしろ絶好枠だったのかもしれない。

加えて、前日の雨が残ってスピード優先の湿った馬場になったこともワイドファラオには味方した。同じことはダイワメジャー産駒デュープロセスにも言える。条件戦ではダートもこなすダイワメジャーだが、中央のダート重賞はいまだに勝ち鞍がない。③着馬と⑤着馬がともにルーラーシップ産駒、④着馬がキンシャサノキセキ産駒という結果を見ても、芝でも走れるような軽いスピードが求められるレースになったのは間違いないところだ。

こういうレースになると苦しいのが1番人気のデアフルーグだ。中山ダート1800mを使ってデビュー3連勝を飾ったあと、前走の青竜Sデュープロセスの②着に敗れて初黒星。そして前走と同条件のここでは掲示板を確保することもできなかった。芝の部分でダッシュがつかずに後ろからの競馬となり、前も止まらない馬場と展開ではジリジリと⑦着まで差を詰めるのが精一杯だった。いかにも長丁場のダートグレード競走には適性が高そうタイプなので、焦らずじっくり力をつけて出番が来るのを待ちたい。

勝ったワイドファラオに話を戻すと、父のヘニーヒューズ優秀さに触れないわけにはいかない。輸入前からアジアエクスプレスモーニンなどの外国産馬が実績を残していたが、内国産も負けずによく勝っている。国内繋養としての同期にあたるのがロードカナロアで、産駒の勝ち上がり率は40.6%。一方、ヘニーヒューズも内国産の勝ち上がり率は40.2%ほぼ互角の数字を残しているのだ。

これまで芝8勝に対してダート113勝とほぼダート専門で、距離も短距離中心だが、それでも種付け料は初年度の180万円から今年度は400万円と2倍強まで上がった。出世レースとして知られるユニコーンSを制したワイドファラオの今後の活躍次第では、さらなる人気上昇も見込めそうだ。

興味深いことに繋養先の優駿SSには、すでに産駒デビュー済のサウンドボルケーノのほか、アジアエクスプレスヘニーハウンドと後継種牡馬が3頭もスタンバイしている。それだけヘニーヒューズを高く評価していることの裏返しにほかならないだけに、今後も得意のダート短距離では活躍馬が続出することだろう。


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