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速攻レースインプレッション

今後の走りが楽しみになる重賞初制覇

文/浅田知広、写真/森鷹史


4歳馬の活躍が目立っている、この夏競馬の重賞戦線。降級制度が廃止になり……と書き始めると長くなるのでそれはさておき、「CBC賞も4歳馬を狙っていくぞ!」と思ったら。なんと登録の段階から4歳馬はゼロ。今年のCBC賞は、さらに下の3歳牝馬2頭のほかは、5歳以上の古馬勢という争いになった。

その古馬勢の筆頭格は、なんといっても高松宮記念(2017年)の優勝馬セイウンコウセイでトップハンデの58kg。このハンデはシルクロードSで昨年が②着、そして今年は⑮着。前走・高松宮記念では12番人気ながら②着と改めて力を見せたが、もともと「高松宮記念①着」で背負ったハンデ58kgだけに、特に増量もなく58kgというのは妥当かな、という2番人気になった。

これに続く57.5kgを課されたのは、昨年の優勝馬アレスバローズ。当時は54kgだったが、2kg増になった続く北九州記念も連勝。今年のシルクロードSですでに57.5kgを背負っており、ここでは⑤着ながらもセイウンコウセイに先着を果たしている。こうして見れば、こちらも妥当……ではあるのだが。G1馬が58kgで、G3・2勝馬が57.5kgというのは、どうにも不利っぽい印象は否めない。そのせいか、ディフェンディングチャンピオンながらも、こちらは7番人気の評価となった。

そしてハンデ57~56.5kgは不在で、56kgには4頭。ショウナンアンセムビップライブリーも上位人気の一角を占めたが、そんな中で1番人気の支持を受けたのは、1600万条件(現3勝クラス)を勝ち上がったばかりのレッドアンシェルだった。ここ1年ほどはその1600万で③③②③①着だが、「降級」前、昨年の京都金杯では同じハンデ56kgで僅差③着。一見56kgはやや見込まれたようでも、やはり「妥当」だろうか。

こうして見ると、重ハンデを課された中では人気のないアレスバローズが、「不利っぽい」57.5kgを背負いながらも、実は「おいしい」んじゃないか、という気もしてくる。さて結果はいかに。

以前は逃げていたグランドボヌールが近走は控えており、さてなにが行くかと思えばセイウンコウセイだった。ブリンカーが効き過ぎたシルクロードSは逃げて大敗を喫したが、昨年の函館スプリントSは逃げ切り勝ち、そして昨年のシルクロードSは逃げて②着と、ほかに行く馬がいなければ、この作戦も「あり」だ。

1番人気のレッドアンシェルと、昨年の覇者アレスバローズはほぼ同じくらいのスタートから、いずれもじわじわと位置取りを下げ、レッドアンシェルは中団の外。アレスバローズは、3、4コーナーの通過順こそ昨年と同じ10-8になったが、昨年は18頭立て、今年は13頭立てということで後方からの競馬だ。

かなりの雨量で画面を通しても馬群がやや白くかすむ中、前半の600m通過は34秒9……といっても、雨が降り続く中で果たして速いのか遅いのか。後から見れば、後半の600mもまったく同じ34秒9で平均ペースの流れになった。セイウンコウセイは楽な手応えのまま、水しぶきを上げつつ4コーナーへ。レッドアンシェルは中団の外、そしてアレスバローズは外から差し切った昨年とは違い、内に入れて直線へと向かった。

残り300mを切ると、逃げるセイウンコウセイと、その内に潜り込んだアレスバローズの競り合いに。そこからじりじりとアレスバローズが脚を伸ばし、連覇もあるかという態勢を作った。

しかし、そこに外から襲いかかったのが、1番人気のレッドアンシェルだった。内でセイウンコウセイもよく粘っており、レッドアンシェルは③着なのか、②着なのか、それともアレスバローズまで交わしてアタマを取るのか、という残り200m。重ハンデ馬3頭の追い比べはそのままゴール手前まで続いたが、最後は外のレッドアンシェルがぐいっとひと伸び。アレスバローズ連覇の夢を打ち砕き、見事に初の重賞タイトルを手中にしたのだった。

先にも触れたように、1600万条件でここ1年ほどはなかなか勝ち切れなかったレッドアンシェル。重賞でも通用するには違いなかろうが、「単勝」で「1番人気」はどうなんだ、という疑問もあった。一方で前走、キャリア初の1200m戦となった彦根Sは2馬身半差の完勝劇。勝てなかったのは実は適距離ではなかったという可能性もあり、結果としてはこれが正解だった、ということになる。

今回の勝利で1200mは2戦2勝アレスバローズセイウンコウセイとは1.5~2kgのハンデ差があったが、同斤量になったからといって、簡単に逆転を許すほどの力差もなさそうだ。スプリント路線の新王者誕生となるのかどうか、今後の走りが楽しみになる重賞初制覇だ。


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