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速攻レースインプレッション

得意距離で重賞初制覇、果たして1F延長では!?

文/浅田知広、写真/小金井邦祥


台風(崩れの熱帯低気圧)による雨の影響が心配された今週の新潟競馬だったが、フタをあけてみれば雨もなく、土日の全レースが良馬場。気温も上がり「夏の新潟」らしい開幕週となった。

その一方で、ひと波乱あったのが、1番人気が予想されたライオンボスの鞍上だった。当初は、この馬を新潟1000m戦2連勝に導いた鮫島克駿騎手が手綱をとる予定だったが、前日の落馬負傷のため乗り替わり。鮫島騎手はここが重賞初制覇の大チャンスだっただけに、なんとも悔しい結果だ。まずはしっかりとケガを治し、そして次のチャンスをぜひ掴んで欲しい。

そのライオンボスは6枠11番というまずまずの枠を引き、単勝は1.9倍の断然人気。鞍上は「空いていたのか」という騎乗停止明け・田辺裕信騎手となった。

これに続いたのが連覇を狙うダイメイプリンセスだったが、近走の不振に加え、内の1枠2番を引いたこともあって、6.7倍とやや差が開いた。そして3番人気はもう10倍台に乗り、前走の韋駄天Sライオンボスに食い下がったカッパツハッチ。こちらも2枠3番とあまり良い枠ではなかったが、このアイビスSDにかぎれば、2枠は過去10年[2.1.2.12]複勝率29.4%。1、3枠の計34頭が全滅している中、果たして「2枠だけ良い」というデータを信頼して良いものやら、と悩むところだ。

スタートは、さすがにこの条件を選んだ馬だけあるということか、18頭ほぼ横並び。ダッシュが目立ったのは、内では軽く気合いをつけた程度で抜け出てきたカッパツハッチ。そして外では、押していってすぐに外から2頭めの位置を取ったライオンボス韋駄天Sではこの2頭、カッパツハッチが14番、ライオンボスが15番で馬体を併せて競る形だったが、今度は間にレジーナフォルテも挟み、内外離れた先行争いとなった。

400mほど進んだところで、ライオンボスは外ラチ沿いへ。しかし、韋駄天Sではかなり余裕のある逃げだったのに対し、今回は残り500mあたりで田辺騎手の手が激しく動きはじめていた。一方、カッパツハッチはまだ楽な手応えで、丸山騎手が追い始めたのはもう少しあと。韋駄天Sとの比較で、カッパツハッチは2キロ増、しかしライオンボスは3キロ増ということもあり、これは逆転劇が見られるのか、という直線半ばでの攻防だった。

しかし、大外を進んだライオンボスと、外から4頭めあたりになったカッパツハッチとでは、やはり外が有利ということなのか、あるいは単純にライオンボスが強いのか。田辺騎手の左ムチに応え、ライオンボスがクビ、半馬身と、徐々にカッパツハッチとの差を開いていったゴール前。最後は韋駄天Sとまったく同じ4分の3馬身差をつけ、ライオンボスがこのコース無傷の3連勝で初の重賞タイトルを手中にした。

人気も背負って、決して楽な競馬ではなかった、と語ったのはレース後の田辺騎手。重賞の断然人気馬を急遽依頼されるというだけで胃が痛くなりそうなものだが、確かにレース自体も、1分に満たない中でやることが多かったなあ、という印象だ。テン乗り、そして直線コースの参考VTRは2レースしかなく、しかもひとつは5馬身差圧勝の1000万条件では「参考」になるか怪しいところ。それでも、最後までしっかりと脚を使い切っての逃げ切り勝ちを演じるのだから、さすがに一流ジョッキーだ。

そしてライオンボスは、果たして1ハロン延びる1200mはどうなのか、もう2ヵ月後に迫ったスプリンターズSへ向けては気になるところだ。芝はこれまで4戦だけで、うち3戦は1000m戦。残る1戦は1月の知立特別(中京芝1200m)⑯着だが、このときは休養明けに加えて初芝だった。ただ、ダートでの2勝も1000mということを考えると、コーナーは大丈夫でも距離には不安が残る。セントウルSあたりでもう一戦見られるのかどうか、そのレース選択にも注目したい。

一方、ライオンボスには2連敗となったカッパツハッチは、これで芝1200m以下[2.2.2.1]という堅実派で、こちらは1200mでも勝利がある。今回は1キロ有利になった斤量を活かせなかったが、1200mになればまた逆転のチャンスもあるだろう。

そしてこの2頭はともに、今夏の重賞で活躍が目立つ4歳馬だ。昨年までなら1600万条件に降級していたライオンボスと、現行ルールでも格上挑戦だったカッパツハッチ。札幌のクイーンSも4歳馬のワンツーで、②着スカーレットカラーは昨年なら1600万条件馬だけに、今後もしばらくはこういったパターンの馬には最大限の注意を払いたい。


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