独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

父譲りの成長曲線で、文句なしの重賞3連勝

文/編集部(T)、写真/森鷹史


先月末から一気に気温が上がり、この日の小倉は35度に迫ろうかという暑さに。現地に行かれた方は熱中症の危険もあって喜ばしいことでもないが、いかにも"夏の小倉感"を感じる。

そんな日曜の朝、「今日の小倉は上手い騎手が揃って面白いねえ」というメッセージが、SNSを通して友人から届いた。

外国人騎手はいないはずだが?と思って改めて確認してみると、確かにそう思うのも納得。小倉記念だけをとってみても、上位人気3頭が川田騎手武豊騎手福永騎手というトップジョッキー。さらに浜中騎手和田騎手松山騎手北村友騎手幸騎手といった関西の実力派の名前も。さらに20代の高倉騎手松若騎手も上位人気馬に乗っている。外国人騎手はいなくても、面白いレースが見られそうな予感がした。

馬の方も、面白いメンバーが揃った。目下4連勝、重賞2連勝中のメールドグラースはさすがの1番人気だが、今回は未経験のハンデ57.5kg。過去10年でも57.5kg以上の馬は[0.0.3.5]となっていて、これを軸にしていいのかどうか悩ましいところだ。

これに続くアイスストームも、芝1800mで連勝中ではあったが、芝2000mは2勝クラスだと⑬⑥③着ストーミングホーム産駒も芝2000m以上の3勝クラス以上で連対した馬がまだいない。3番人気アイスバブルは月曜に亡くなったディープインパクト産駒で、6戦連続で連対中。東京の芝2500m→小回りの芝2000mへの対応は楽ではないかもしれないが、「ディープインパクト追悼競走」ディープインパクト産駒が勝つならみんな納得の結果では、などとオカルトめいたことまで考えてしまう。

それぞれ上位人気馬には不安点もあったが、それを克服して勝利したのはメールドグラース。スタートを切られる瞬間、よそ見をしていた感じで若干出負けしたが、川田騎手は慌てず騒がず馬群で脚を溜めると、勝負所ではゴチャつく内を横目に大外へ。そこから上がり34秒9を使い、一気に差し切った。現在リーディングを走る川田騎手らしい、冷静な手綱捌きだった。

ちなみにその川田騎手、デビュー2年目の05年に小倉記念に初めて参戦し、17年まで13年連続で挑戦したが(昨年夏は英国遠征で不参戦)、②着3回はあるもののなかなか勝てず、これが初勝利となった。九州出身の同騎手にとって、ある意味"念願の"勝利だったのではないだろうか。

②着に食い下がったカデナは3戦連続の馬券圏内となり、ディープインパクト追悼競走で、同産駒が意地を見せる形になった。2歳時に芝2000m重賞を連勝した実力馬、完全とはいえないまでも、これで復活と考えていいだろう。

レース後のインタビューで、川田騎手「一戦ごとに力を付けて……」という言葉を何度か使った。初騎乗となった昨年12月の境港特別ではシルヴァンシャー(次走で3勝クラス勝ち)に競り負けたが、次走で馬体重を10kg増やすと、それから5連勝。3走前の斤量54kgから56kg57.5kgと増えても問題なかったところを見ても、確かに力を付けていることが窺える。

この成長曲線は、父ルーラーシップによく似ている。こちらは3歳12月の鳴尾記念斤量55kgでの重賞初制覇で、有馬記念(⑥着)を挟んだ次の日経新春杯56.5kgで勝利、ドバイシーマクラシック(⑥着)を挟んだ次の金鯱賞58kgを克服して勝利している。

ルーラーシップはそこで本格化を告げたかと思わせたが、続く宝塚記念⑤着、有馬記念④着と、なおもG1の壁に跳ね返され続けた。しかし、めげずにさらに力を付け、5歳春のクイーンエリザベス2世Cで悲願のG1初制覇を飾ることになる。

その子のメールドグラースはG3を3連勝としたことで、ハンデを考えても、さすがにもう夏のG3への出走はなさそう。いずれはG1に参戦していくのだろうが、ステップを使うとなると、夏に使うなら札幌記念、秋ならオールカマー毎日王冠京都大賞典あたりか。

そこで、いきなり結果を出せるかどうかは分からないが、父譲りの成長曲線がこの馬にも受け継がれているとしたら、一度や二度の敗戦で見限ってはいけない。芝2000mで見せた強さを考えると、初G1制覇が暮れの香港Cや、来年のクイーンエリザベス2世Cでの親子制覇になる可能性もありそうだ。血統的な面を考えても、中距離路線で楽しみな逸材が登場したことは間違いない。


TOPページに戻る