速攻レースインプレッション
破壊力抜群の末脚で鮮やかに差し切り、果たして次走は!?
文/浅田知広、写真/武田明彦

ところがこの関屋記念は、2015年からなんと4年連続で1番人気の単勝オッズが4倍台と、その数字だけを見ればハンデ戦なのかというような年が続いていた。
そして迎えた今年。メンバーを見渡すと、やっぱり難しいという印象で、日曜朝の段階ではケイデンスコールとミッキーグローリーが、ともに4倍どころか5倍台のオッズをつけていた。
ただ、そこから票を伸ばしたのがミッキーグローリーで、昼過ぎからは3.9~4.0倍のあたりを行ったり来たり。どうせなら5年連続4倍台になって欲しい、別にそれでなにか得をするわけでもないが、ヘンな期待を持ってオッズの動きを見守ることになった。
そのミッキーグローリーは、今春の復帰前に剥離骨折が見つかり、今回は昨秋のマイルCS⑤着以来。休み明けよりは2戦目のほうが良いタイプだ。一方のケイデンスコールはNHKマイルC②着からと、こちらは間隔こそ短いものの、同レースが14番人気の人気薄だったことに加え、今回が初の古馬相手。確かにどちらも、信頼して買えるというほどではない印象だった。
とはいえ、3番人気のロシュフォールは、七夕賞⑪着からマイルに距離を短縮し、新潟コース「なら」という期待込み。もし上位人気2頭を脅かすような人気になったら「過剰人気だ」という話であり、1番人気のオッズはさておき(最終的には3.8倍だった、残念!?)、やっぱり今年も混戦の関屋記念である。
この人気3頭はいずれも末脚を活かすタイプ。あえて言えば、1番人気のミッキーグローリーが条件馬時代はそこまで控えてなかった……と思ったら、ゲートを出てからがやや遅く後方から。対してケイデンスコールは、好発から控える形。そしてロシュフォールは、スタート直後こそミッキーグローリーより後ろだったものの、すぐに追い上げてケイデンスコールの前、10番手あたりにつける展開になった。
ハナを切ったマイネルアウラートは、じわりじわりと後続との差を開いていき、3~4コーナー中間で後続との差は4馬身ほど。しかし、最後は日本一の直線が待つ新潟の芝外回りコース。各馬とも積極的に前を追う動きは見せず、4コーナーを通過していった。
そして直線、3番手からまったく楽な手応えのまま先頭に躍り出たのは、4番人気のソーグリッタリングだった。しかし、その直後からミエノサクシードがこれに並びかけ、残り200mからは2頭の追い比べに。ミエノサクシードはこれまで重賞で③着3回。今回はこの形でも勝ち切れないのかな、それとも今度は……、という争いがゴールまで続くのかと思いきや、2頭の争いに目を奪われている間に、外から勢い良く突っ込んできた馬が1頭。1番人気のミッキーグローリーだ。
内の2頭の争いでは、ミエノサクシードがソーグリッタリングをなんとか競り落としたものの、それでも今度は②着まで。上がり3ハロンは③着のソーグリッタリングが33秒2、②着のミエノサクシードが32秒9。前でこれだけの脚を見せれば、そう簡単には差し切られないものだが、この2頭を一気に交わし去ったミッキーグローリーは32秒2。上位に絡んだ中では、1頭まったく違う脚を使っての差し切りだった(⑥着ロードクエストは31秒9)。
いったいミッキーグローリーはどこからきたのか、レース後、改めてVTRを見てみれば、残り400mではディメンシオン(④着)やサラキア(⑤着)の後ろでやや詰まり気味だった。ただ、この2頭の脚色も良かったためか、その後ろにつけたまま、まずは外のケイデンスコール(⑭着)を置き去りにし、残り200mでは内のロシュフォール(⑨着)も交わそうかという態勢。ここにきて、ようやくムチを抜いたルメール騎手がディメンシオンの外にミッキーグローリーを導くと、ラスト1ハロンで前の各馬を鮮やかに差し切ったのだった。
父は先日この世を去ったディープインパクト、そして母メリッサは2010年の北九州記念優勝馬。条件戦では1800mでも2勝を挙げており、中団より前でのレース運びも見せていたが、京成杯AHや今回の差し切り、そして大外から良く伸びたマイルCSの走りを見れば、マイル戦で末脚を活かす形がベストなのだろう。
先にも触れたように、これまで3戦全勝の休み明け2戦目のほうが良さそうな馬。果たして次はどこになるか。マイルCSではまた間隔が開いてしまうが、今回の走りで大丈夫とみるか、それとも1800mの毎日王冠あたりを挟むのか。開幕週の東京1800mでどんな末脚を使うのかも見てみたい気もするが、その選択、そして次のレースを楽しみに待ちたい。