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速攻レースインプレッション

ウーマンズハートは色々と目を離せない存在となりそう

文/出川塁、写真/小金井邦祥


最近の新潟2歳Sで印象に残っているのは、やはり2013年だ。①着ハープスター、②着イスラボニータというのちのクラシックホースによるワンツー決着だけでも凄まじいが、実は③着以下の馬も粒ぞろいだった。

順に紹介していくと、③着ピークトラムは16年の中京記念で②着。8歳になった今年も準オープンで連に絡んだ④着ウインフェニックスは1億5000万円を超える賞金を稼いでいる。⑤着マーブルカテドラルは2走後に重賞のアルテミスSを勝ち、⑥着マイネルメリエンダ、⑧着モズハツコイにも準オープンの好走歴がある。

また、6歳12月の阪神Cで有終の美を飾ったイスラボニータを筆頭に息長く走った馬が多いのも特徴で、これは仕上がりの早さが問われる2歳重賞の好走馬としては異例の傾向とも言える。この好メンバーを向こうに回して4角18番手から全馬ごぼう抜き。のちの皐月賞馬に3馬身差をつけたハープスターというのは、改めてとんでもない牝馬だった。

そんなことを思ったのは他でもない、今年の勝ち馬となったウーマンズハートもまた、恐るべき末脚の持ち主だからだ。8月3日の新馬戦では、直線で外に持ち出して軽く仕掛けられると一瞬のうちに前を捕まえてデビュー勝ち。ムチが一発入ったのは左にもたれるのを矯正する意味合いが強く、実質的にはノーステッキで32秒0の上がりを繰り出した。

このウーマンズハートに関して、ひとつ気がかりだったのが出走間隔である。今回は前走の新馬戦から中2週。しかし、過去10年の新潟2歳Sにおいて中2週以内で出走した馬は[1.0.0.46]と大半は凡走に終わっていたからだ。全滅でないのは救いとはいえ、50頭近く走って好走したのが14年①着のミュゼスルタン1頭となると、さすがに有利なローテーションとは考えづらい。

それだけに馬体重は気になった。あれだけ強烈な末脚を使う牝馬だけに、消耗度もそれなりに高いだろう。中2週でマイナスとなるといい感じはしないなと思っていたのだが、果たして馬体重が発表されると増減なしの456キロ。これなら第一関門はなんとかクリアしたのかなと見ていた。

その結果はといえば、ご存知の通りだ。今回も馬群の中団を追走。直線を向いて、残り600mを切ったあたりですんなり前も開くとあとは自慢の末脚を炸裂させるだけ。内から伸びてきたペールエールが外にヨレたことや、自身もフラついて勢いを若干削がれたところもあるが、ゴール前でもうひと伸びしていたように余力は十分で、データを簡単に覆せるぐらい、ここでは力が抜けていたということだろう。

前回が道中8番手、今回も7番手で、そこまで極端ではない位置からレースを進められるのは大きな長所だ。ドンジリ強襲のハープスターはファンを魅了する反面、阪神JFオークスのように取りこぼしを避けられなかった。10番手以内で競馬ができるウーマンズハートは、その点ではだいぶ安心感がある。

あとは競馬場が替わってどうか。前半の流れが落ち着きやすく、直線が長くて平坦の新潟外回りがいかにもピッタリという印象もある。今回も前半600mは36秒1ならスローの範疇と言える。競馬場が替わって、もう少しペースが速くなったとき、同じ位置から同じような脚が使えるかどうかはまだわからない。かなりの好素材には間違いないが、真価を見極めるのは次走まで待ちたい気もする。

最後に触れておきたいのが、生産したダーレー・ジャパン・ファームについて。その生産馬として2歳重賞を制したのは17年京王杯2歳Sを制したタワーオブロンドンに次いで2頭目となるが、同馬は持ち込み馬。国内供用種牡馬の父を持つ生産馬の2歳重賞制覇は今回が初めてとなる。

早期育成という点では日本の競馬を知り尽くすノーザンファームに遅れを取っていた感が否めない。そのため、これまでは古馬になってから台頭する生産馬のほうが目立っていた。2歳戦での活躍馬が続けて出てくるようなら、早期育成にメドがついたというサインとも受け取れる。元よりダーレー・ジャパン・ファームには世界レベルの繁殖牝馬が揃っており、血統的なポテンシャルはノーザンファームにも決して負けない。その先鞭をつける存在という点でも、このウーマンズハート目を離せない存在となりそうだ。


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