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速攻レースインプレッション

快挙を達成した2頭の今後に期待したい

文/浅田知広、写真/川井博


7月下旬から続いた札幌開催も最終週。以前より開催期間が短くなっているとはいえ、今年は開催中盤あたりから雨が多かった影響か、芝コースは時計を要する馬場状態。この日は良馬場だった1レースの2000m戦こそ2歳レコードが出ていたが、その後の雨で芝コースは稍重となった。

その雨が上がった8レースの1勝クラス・2000m戦は2分3秒6。1000m通過は61秒4だったが、今の馬場ではそれでもやや速めということ。そして札幌2歳SはG3とはいえ、まだデビューしたての2歳戦。楽に行っているように見えても、実はハイペースで先行馬総崩れ、という展開もあり得るのではないかと考えていた。

さて、そのペースを作るのはどの馬か。前走、同コースの未勝利戦を「大差」で逃げ切り、2歳レコードの1分48秒3を記録したゴルコンダも、その候補の1頭だった。いや、単勝1.8倍の断然人気に推された馬が、そんなペースどうので大敗を喫するのかという疑問もあったが、果たしてどんな競馬になるのだろうか。

……、と思ってスタートを迎えてみれば。そのゴルコンダがなんと出遅れ。いや、ゲー自体は互角に出たものの、つんのめるような形になって、そのまま後方2~3番手の追走となってしまったのだ。一方、好ダッシュでハナを切ったのは、スタート直前にゲート内で飛び上がりそうになっていたコスモインペリウム。なにがどう転ぶかわからないものである。しかし、スタートを決めたからといって、それで良しとはならない可能性も十分にあるのがこのレース。ゴルコンダが結果オーライになっても、それはそれで不思議はない。

さて、逃げたコスモインペリウムは一見するとマイペース。ただ、12頭と少なめの頭数ながら馬群はやや縦長で、やはりちょっと速いのかな、と1000mの通過タイムに注目すると60秒6。8レースの61秒4-62秒2を考えると、いくら距離が200m短いといっても「ハイペース」の部類だろう。

そんな中、人気のゴルコンダは2コーナーで後方から掛かり気味に中団まで進出。そこでいったんは抑えたものの、前でコスモインペリウムを早めに交わしていったディアセオリーを目標に、4コーナーでは2番手の外まで上がっていったのだった。

思い返せば、昨年の札幌2歳Sを制したニシノデイジーがこんな競馬だった。3コーナー過ぎに先頭に立ったナイママを目標に、コーナー通過順は「10-11-8-2」。ほかに、2015年のアドマイヤエイカンなども似たような走りで勝っている。今年のゴルコンダ「10-7-7-2」なので、この動きそのものが特に間違っているということはないのだろう。

ただ、レース前に「先行馬総崩れ」もあるかと予想し、なおかつゴルコンダは道中の動きが怪しげだったことも考えると、これはちょっと危ないのではないか。実際、直線入り口で先頭に立つには立ったが、そこから突き放すほどの脚は見せられなかったのだ。

そして外から、そのゴルコンダを呑み込んでいったのがブラックホールだった。道中は中団を追走し、向正面前半でゴルコンダが外から交わしていったときも、動きにつられずその位置をキープしていた。そして3コーナー過ぎからスパートを開始し、残り150mでゴルコンダを捕らえて快勝。4コーナーで少し外にふくれた以外は、ほぼ完璧なレース運びだったと言えるだろう。

そして②着に入ったのは、ゴルコンダよりも大きな出遅れを喫し、道中最後方だったサトノゴールド。3コーナーでも馬群の1番後ろで鞍上の手が動いていたが、エンジンがかかってからは逆に加減しつつの追走。位置取りが後ろだった分、最後はブラックホールに迫るまでには至らなかったが、こちらも直線ではなかなかの伸びを見せていた。

レースの前後半800mは48秒3-49秒8のハイペースで、差し-追い込み決着。なんとなく予想した通りの展開にはなったものの、キャリアが浅く、なにが追いこんでくるのかはわかりづらい2歳戦。馬券に直結したかといえば……という結果だった。

ただ、前走の脚質などを気にせず、種牡馬だけ見れば当たったんじゃないの、というゴールドシップ産駒のワンツー決着だ。ゴールドシップ札幌2歳Sはグランデッツァの②着だったが、道中最後方から直線は内めを突いて素晴らしい伸びを見せていた。その後の活躍とレースぶりは、みなさんご存じの通りである。

その初年度産駒となるのが今年の2歳勢で、これまで中央競馬で勝ち上がったのは2頭。そう、このレースに出走したブラックホールサトノゴールドの2頭で①②着を独占するという快挙を成し遂げたのである。

今後、長い距離のレースが増えれば多くの産駒が勝ち上がってきそうだが、まず重賞で結果を出したこの2頭には、大きな注目が集まることになるだろう。もちろん、強い勝ち方を見せたブラックホールも楽しみだが、「父と同じ②着」というサトノゴールドにも心動かされるものがある。2頭がこれからどんな走りを見せてくれるのか、大きな期待を持って次のレースを待ちたい。


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