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速攻レースインプレッション

ダービー組のワンツー決着…だったけど!?

文/浅田知広、写真/小金井邦祥


千葉県内には、台風が残した爪痕もまだまだ残る中で行われた今週の中山競馬。被災地では再び豪雨の可能性もあるといったニュースが流れており、芝コースは前日の良馬場から一転、今年は重馬場でのセントライト記念となった。

このレースの2000年以降19年間の結果を調べると、前走でダービーに出走していた馬が[9.7.6.28](複勝率44.0%)と、他を圧倒していた。ただもう少し細かく見ると、2000年~04年は[2.2.2.6](複勝率50.0%)、05年~10年は[1.1.0.8](複勝率20.0%)、そして11~18年が[6.4.4.14](複勝率50.0%)とけっこうムラがある。ともあれ、近年は前走日本ダービー出走馬が中心で、今年もおおむねそんな人気が形成された。

1番人気に推されたのは、ダービーで大逃げを打ったリオンリオン。道中2番手のロジャーバローズが優勝したレースで⑮着、と言ってしまえば物足りないが、1000m通過57秒8のハイペースで後続を離していただけに、この着順も致し方ないだろう。

続く2番人気は、今回全7頭が出走したダービー組で、最先着となる⑤着だったニシノデイジー。重賞2勝、昨秋のG1・ホープフルS③着の実績は、このメンバーに入れば一枚上だ。

ただこの2頭、リオンリオンが5.3倍、ニシノデイジーが5.8倍と、信頼されているとは言い難い単勝オッズである。続く3番人気に推されたザダルは6.8倍。プリンシパルSまで無傷の3連勝を飾り、ダービーの出走権は持っていた。そのプリンシパルSが雹で1週延期になったため、無理せず本番は回避したが、「準ダービー組」と言ってもいいだろう。これに、前走2勝クラスのオセアグレイト、そして1勝クラスを勝ったルヴォルグの5頭が単勝10倍以下に支持されてレースを迎えた。

まず最初の焦点は、リオンリオンがどんなペースで引っ張るか。500万、青葉賞と2連勝に導いた横山典弘騎手に戻り、その手綱さばきが注目されたが、今回は他馬の様子を見つつじんわりとハナへ……、と思ったら、ハナすら切らず、アトミックフォースナイママを行かせてインの3番手を確保していた。

他の人気どころはおおむね予想通り。3番人気のザダルは、前にリオンリオンを見て好位の一角、2番人気のニシノデイジーは後方待機。オセアグレイトルヴォルグは中団を追走した。

前半の1000m通過は59秒8。超スローで流れた9レースの2勝クラス・芝1800m戦は、ラスト2ハロン11秒0-11秒1。少なくとも「重」という字面から受ける印象ほど悪くはなさそうで、1分を切るペースでも速いとまでは言えないだろう。

と、数字からはそう感じたのだが。実際のレースを見れば、馬群がやや縦長になっている上、3コーナー過ぎに中団~後方の外からルヴォルグタガノディアマンテ、それを追ってニシノデイジーあたりも進出。特にルヴォルグは直線入り口で前が「射程圏」と言えるくらいの距離まで詰めており、数字と違って画面では差し決着なのか、という様相にも映った。

しかし終わってみれば、馬券に絡んだのはここでじっと我慢していた馬たち。中でも、後続をやや離して抜け出したのが、道中3番手のリオンリオンだ。

直線に向くと、リオンリオンは前を行くアトミックフォースナイママの間を割って一気に先頭。ここに外からルヴォルグが襲いかかるかという脚色だったが、残り200mを切ったところでピタっと止まってしまった。かわって、リオンリオンが切り開いた進路を争うように、サトノルークスザダルが激しい追い比べで2番手へ。外からはニシノデイジータガノディアマンテも差を詰めてきたものの、これらの争いを尻目にリオンリオンが余裕をもって先頭でゴールを駆け抜けたのだった。

優勝したリオンリオンは、ここにきて重賞勝ち鞍を一気に伸ばしてきたルーラーシップの産駒で、トゥザヴィクトリーの孫。血統的に3000mがベストではなかろうが、同世代同士なら十分に守備範囲内だろう。なにより、引き続き横山典弘騎手が手綱をとるようなら、なにかやってくれそうな雰囲気たっぷりだ。

そして接戦の末に②着を確保したのは「準」のザダルではなく、正真正銘「ダービー組」サトノルークスのほうで、ダービー組のワンツー決着となった。ただ、サトノルークスダービーは⑰着、今回出走した7頭の中では最下位だった。勝ったリオンリオンはそのひとつ上、6頭目の⑮着。いやいや。「ダービー組のワンツー」ではあるものの、「ダービー組のワンツー決着でした」では片付けられない、そんな今年のセントライト記念だった。


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