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速攻レースインプレッション

世代の王者であることを証明、次走はどこに!?

文/出川塁、写真/森鷹史


菊花賞トライアルの神戸新聞杯だが、本命視されるサートゥルナーリアの本番への出走は微妙な情勢だった。父がロードカナロアという血統で、出遅れもあったとはいえ2400mのダービーで④着に敗退。加えて皐月賞以来で騎乗するルメール騎手菊花賞ではニシノデイジーに乗ることが、同馬のオーナーである西山茂行氏のブログで明かされていた。

もっとも、神戸新聞杯に出ながら菊花賞に進まないのは最近では珍しいことでもない。過去2年の勝ち馬に関しても、17年のレイデオロはジャパンCを次走に選び、18年のワグネリアンも天皇賞・秋に向かう予定だった(実際は体調が整わず出走を回避)。こうした実態を鑑みるに、菊花賞の前哨戦であると同時に、有力3歳馬が秋の初戦として出走し、春からの成長度や適性を図るためのレース、というのが現在の神戸新聞杯なのかもしれない。

そう考えると、菊花賞に進まない可能性も高そうなサートゥルナーリアがこのレースを選んだ理由も納得できる。乗り替わりや出遅れの影響も大きかったと思われるダービーだけで、2400mの適性を正しく計るのは難しい。これまでも一緒に走ってきた同世代の馬とのレースなら成長度の把握もしやすい。3年連続で神戸新聞杯の勝ち馬が本番に出ないことになったら寂しい面もあるが、合理的なレース選択であることは間違いなかった。

8頭立ての少頭数戦となった西の菊花賞トライアルは、全馬横一線のスタートを切った。これといった逃げ馬はおらず、最初のホームストレッチは他馬の様子を伺いながら手探りで進み、最終的には条件戦を連勝中のシフルマンがハナに立つ。これにサートゥルナーリアが続き、春に京都新聞杯を勝ったレッドジェニアル皐月賞②着、ダービー③着のあと最後の一冠に賭けるヴェロックスと、実績上位馬たちが先団を形成。人気馬では唯一、ワールドプレミアが後方からレースを進めることとなった。

必然的にスローの流れとなり、1コーナーを回るあたりでヴェロックスが頭を上げる場面もあったが、川田将雅騎手がなだめてすぐに折り合った。前半1000mの通過は1分3秒4。4ハロン目から7ハロン目まで13秒台のラップが刻まれ、我慢比べの様相を呈した。レースが徐々に動き始めたのは残り800mを過ぎたところ。サートゥルナーリアが逃げ馬に並びかけ、4コーナーの手前では早くも先頭。これに呼応して後続も接近し、一団になって直線を向く。

だが、それも一瞬のことだった。先頭を行くサートゥルナーリアの手応えは素晴らしく、先に激しく手綱が動き始めたヴェロックスレッドジェニアルを寄せつける雰囲気すらない。残り300mでルメール騎手が軽く仕掛けると一気に突き放して3馬身差の圧勝。ゴール前では明らかにスピードを緩めていたので、その気になれば5馬身差になっていてもおかしくはなかった。まさしく圧勝完勝である。

無敗が途切れたあとのサートゥルナーリアに対して、どこか鼎の軽重を問うような雰囲気もあった。しかし、ダービーは力負けではなく、世代の王者がどの馬なのかを訴えるには十分すぎるほどの結果となった。いかんせん、このスローペースだと2400mの適性を証明したとまでは言い切れないが、軽く走って上がり32秒3の脚力。あとはペースが上がってどうかだが、ひと夏越して大幅なパワーアップを果たしている。結局、次走はどこになるのだろうか。

それほど速い上がりを使えるタイプではないヴェロックスにとっては展開が向かなかったが、サートゥルナーリア皐月賞で接戦を演じた身として今回の着差は不本意ではあるだろう。それでも②着は危なげなく確保し、秋の初戦として決して悪い結果ではない。本番では前々で勝負したいところか。

③着のワールドプレミアは、菊花賞に出走するには賞金面が心許なかっただけに、ここは優先出走権を獲得することが大命題だったのだろう。そういう競馬に徹したときの武豊騎手の仕事人ぶりは間違いのないところで、なるべく負担のかからない直線だけの競馬で最低限の着順を確保した。半年ぶりで馬体重マイナス2キロの出走となったのは多少引っかかるところだが、全兄ワールドエースも得意とした京都の外回りはこの馬も2戦2勝。鞍上の武豊騎手も知り尽くした舞台で一発を狙う。

④着のレッドジェニアルも京都とは好相性で、本番でも圏内と思われるのはここまでか。終わってみれば⑤着と⑥着が入れ替わったのを除き、あとは人気通りの決着で、現時点での仕上がり込みで紛れのない結果。あとは本番への上積みと適性をどう読み取るかだろう。


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