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速攻レースインプレッション

1回などと言わず何度でも、今回のような走りを見せてほしい

文/浅田知広、写真/森鷹史


阪神競馬場のダート2000mを舞台に行われるシリウスS。地方競馬ではよく見かける距離設定だが、JRA重賞はこのレースだけ。また、ジャパンCダート(現チャンピオンズC)東海Sの距離短縮があり、1800mを超える距離の中央ダート重賞としても唯一のレースである。

さて、この「1800mではなく2000m」という距離がどんな影響を及ぼすのか。過去10年の優勝馬を見ると、本競走後に2戦しかしなかったマスクゾロを除く9頭は、後に再び2000m以上の距離で連対を果たしている。昨年の優勝馬オメガパフュームは、次走JBCクラシック(京都ダート1900m)で②着になると、暮れの東京大賞典、そして今年6月の帝王賞と、大井の2000mでG1(Jpn1)2勝をマークした。

しかし、あくまでも「後」のこと。今年の馬券検討にはあまり役に立たないが、あえていえば、ハンデ戦のこのレース一発だけではなく、長めの距離で少なくとも「もう1回」以上がありそうな馬、となるだろうか。

そしてもうひとつ、わざわざ「後」を持ち出さねばならないということは、「前」はあまり関係ない、ということでもある。今年のメンバーでいえばジョーダンキング(ダート2000m[3.1.0.0])のような、距離実績十分の馬は勝っていないのだ。

まず注目されたのは先行争い。1頭は、道中で他馬にハナを譲らなかったレースでは[3.1.0.0]メイショウワザシ。そしてもう1頭は本格化後、ほとんど他馬にハナを譲っていないヤマカツライデン。久々のダートとはいえ、慣れた芝コース上のスタートなら……、と思ったら少し出遅れてしまい、この時点でいったん勝負あり。メイショウワザシ先頭でスタンド前を通過していった。

しかし、ヤマカツライデンも行かねば持ち味が出ないだけに、そう簡単には引き下がれない。メイショウワザシもせっかく奪ったハナを譲る手はなく、そのまま競るような形で2コーナーに入るころには、前はバラバラ。4番手につけた1番人気のタイムフライヤーの後ろ、5番手のロードゴラッソまで10馬身以上はあっただろうか。

1000mの通過タイムは60秒3。不良馬場の昨年が60秒4、稍重の3年前が60秒5だったが、今年は良馬場。さすがにこのペースはかなり速い。

3コーナーにかかると、行けなかったヤマカツライデンはここで後退。すぐに4番手からタイムフライヤーメイショウワザシに並んでいったが、自ら「並びかけていった」というよりは、外からロードゴラッソジョーダンキングなどがまくってきてしまったために、「仕方なく」という動きにも見えた。

そして直線。逃げたメイショウワザシを、外からタイムフライヤーロードゴラッソが並んで交わしていく態勢だったが、タイムフライヤーはここからの踏ん張りが利かずに後退。かわってロードゴラッソの後ろから、アングライフェンが脚を伸ばした。

内では、このハイペースを作りながらメイショウワザシも粘りに粘っていたものの、残り100mにかかると勝負はロードゴラッソアングライフェンの2頭に絞られた。この展開なら、後から動いたアングライフェンがやや有利だったはず。ただ、直線前半で前が詰まり、追撃態勢を整えるまで少々時間を要したのが痛恨だった。ゴールへ向けて2頭の差は少しずつ詰まっていったものの、最後までロードゴラッソが抜かせず、アングライフェンをクビ差抑えて初の重賞タイトルを手中にしたのだった。

また、この勝利はハーツクライ産駒初のJRAダート重賞制覇となった。ただ、本馬の半姉・レディルージュ(京阪杯②着)は5歳2月にデビュー戦以来となるダートで勝利を収めると、以降はダート短距離で活躍。そして半兄のロードフォワードは、芝で10戦1勝(新馬)の後、やはりダートで1600万条件まで出世を果たしている。このロードゴラッソも芝では7戦1勝だったが、昨年12月の初ダートから3連勝。父はさておき(アメリカでヨシダを出してはいるが)、このあたりの成績は兄姉に通じるものがある。

ただ、オープン入り後は⑥②④着で、②着の大沼Sはリアンヴェリテに5馬身差の完敗。そして前走「2000mの」マーキュリーCは、3角過ぎに先頭に立ったテルペリオン(③着)を追いかけ、4角で外から交わして先頭に立ったものの、その後の踏ん張りがなく、同馬にも差し返されての④着。そこは強気に出ていった分なのだろうが、率直に言えば「残念な感じ」のレースだった。

しかし、同じ2000m、同じ4角先頭でも、今回はゴールまで粘り切っての重賞勝ち。②着アングライフェンに少々の不利があったり、ハンデ差が2キロあったりと、この馬に味方した面もあったのだが、「残念な感じ」のレースから一転「やるじゃないか」と。一度2000mでああいう競馬を経験したことも糧になっているに違いない。

そして、先にも触れたように、長めの距離で「もう1回」以上があるのがこのレースの優勝馬だ。前走のマーキュリーCこそ敗れたとはいえ、自ら動いていけるタイプだけに、地方競馬のダートグレード競走が向かないこともないだろう。1回などと言わず何度でも、こういった姿を見せてくれることを期待したい。


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