独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

順調に「次」を迎えられれば牡馬相手の大レースでも!?

文/浅田知広、写真/小金井邦祥


春のG1馬2頭が人気を集めた今年の富士S。単勝2.1倍で1番人気に推されたのは、NHKマイルCの優勝馬アドマイヤマーズ。そして4.8倍の2番人気は、ヴィクトリアマイルを制したノームコア。単なる「春のG1馬」ではなく、ともにこの東京芝1600mでG1を制した馬だ。

アドマイヤマーズは2歳時に4連勝で朝日杯FSを制覇。年明けは共同通信杯②着、皐月賞は④着に終わったものの、1600mに戻ったNHKマイルCではきっちり巻き返し、この距離5戦5勝とした。適性から「ダービーへ」ということにはならなかったが、この世代の中心的な存在だったのは間違いない。

一方のノームコアはひとつ上の4歳馬。こちらも2歳時は2戦無敗だったが、3歳春は重賞連続③着でオークス出走はかなわず。そして秋は紫苑Sを圧勝したものの、今度はその疲れが抜けずに秋華賞回避と、牝馬三冠は不出走。仮に出走してもアーモンドアイから主役の座を奪うのは難しかっただろうが、紫苑S後も⑤②⑦着に終わり、そのころにはこの世代の主力とは言いづらくなっていた。

というところで、出走したのが2歳戦以来となる1600m戦・ヴィクトリアマイル。ここでG1初制覇を飾り、さあ、ここからさらに、となるかと思いきや、そのあとに軽い骨折が判明。G1を勝つには勝ったが、どうにも流れに乗り切れない印象が否めない、ここまでの足跡だ。

このように、それぞれ歩んだ道はまったく違うものの、マイル戦無敗馬同士、かつ、東京芝1600mのG1馬同士というこの対決。次のG1タイトルへ向けて前進するのは果たしてどちらの馬か。

スタートはカテドラル1頭が2馬身ほどの出遅れ。その他はほぼ揃ったものの、カテドラルの次に悪かった馬をあえて挙げるとすれば、これが1番人気のアドマイヤマーズだった。ここで少し押っつけて中団グループの直後あたりには取りついたものの、その押して出たことに加え、休み明けの影響もあったか、向正面から3コーナーにかけて掛かり気味の追走になってしまった。

一方のノームコアは、最初の1~2完歩にかぎれば全18頭中最速か、という飛び出しを見せ、そこからじわじわと控える形。アドマイヤマーズを1馬身半ほど前に置いて、これをマークして進んでいった。

前半の800m通過は47秒0、後半は46秒0でやや遅めの流れ。通過順としては10番手以下になった人気2頭だが、前との差はさほどなく、上がり勝負になっても差し切れる程度の差で4コーナーを通過していった。

そして迎えた直線。逃げたトミケンキルカスや、好位を追走したキャンベルジュニアエメラルファイトなどが横に広がったが、その争いも直線半ばまで。残り200mを切って差し馬勢がまとめて押し寄せる展開になり、その中でも抜群の伸びを見せたのがノームコアだ。

内にもたれて反応が悪かったアドマイヤマーズを残り300mあたりで交わすと、そのまま同馬を置き去りにして一気の伸び。馬群からはレッドオルガ、外からはレイエンダあたりもいい脚を繰り出したものの、ノームコアは2頭の②着争いの一歩前でゴールを駆け抜け、マイル戦3戦全勝としたのだった。

先にも触れたように、これまでなかなか思い通りにはレースを使っていけなかったノームコア。秋初戦の好スタートも昨秋、紫苑S優勝と同じだけに、力云々以前に、まずは順調に「次」を迎えることが重要だろう。

ただ、その「次」が果たしてどこになるのか。この勝利でマイルCSへの優先出走権を手にはしたものの、そこには同厩舎で毎日王冠を制したダノンキングリーも出走予定とのこと。同厩舎でも馬主が違うのだから、となるのか、それとも昨年⑤着のエリザベス女王杯など、他のターゲットを探るのか。多少なりとも間隔をとったほうがこの馬には良いようにも思えるが、いずれにしても良い状態を保って、次の大舞台に立って欲しいもの。それさえかなえば、牡馬相手の大レースでも勝つだけの力はあるはずだ。

一方のアドマイヤマーズは「中団まま」の⑨着と、思わぬ大敗を喫してしまった。スタートからゴールまで終始、力を出し切るような競馬にならなかった感もある上、3歳馬ながら背負った斤量は57キロ。この時期、古馬相手に活躍する3歳馬は斤量利があることが多く、④⑤着に入った3歳勢のクリノガウディーカテドラルは54キロだった。いくつもの要因が重なっての結果と思えるだけに、その分、すぐに巻き返す余地も大きい敗戦だったと考えたい。


TOPページに戻る