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速攻レースインプレッション

コントレイルの強さが際立つレースだった

文/出川塁、写真/小金井邦祥


クラシックの登竜門としてお馴染みの東京スポーツ杯2歳S(以下、東スポ杯)。今年は8頭立ての少頭数となったが、その中身は例年にも増して濃いものとなった。

勝ち時計の1分44秒5は、イスラボニータが13年にマークした東京芝1800mの2歳レコードを1秒4も上回り、ダノンキングリーが制した今年の毎日王冠にわずか0秒1差に迫った。前半1000m通過が58秒7(のちのJRAの発表では58秒8)という実況を聞いて結構なペースになったなとは思ったが、さすがに驚きの数字だった。

もっとも、このレースを制したコントレイル強さは、タイムを見るまでもなく明らかだったろう。残り400mの手前あたりから追われ始めると一瞬にして先頭に立ち、完全に突き抜けたあとも緩めずに追うムーア騎手の騎乗も相まって、ゴールでは②着アルジャンナに5馬身の差をつけていた。

近年の東京競馬場の芝コースは高速化が著しく、時計だけでは何かと語りづらい面もある。ただ、見ればその強さがひと目でわかるレースというものはあって、今年の東スポ杯もそうした類いに含まれる一戦だろう。掲示板に載った5頭の着順は完全に人気順で、1頭ずつポツンポツンとゴールに入ったのはレースの厳しさを物語る。少頭数になったのはレース予想という点では物足りなかったかもしれないが、コントレイル強さを際立たせるためにはかえって都合がよかったかもしれない。

この通り、終わってみればまったく紛れのないレースになったわけだが、スタート直前には波乱ムードも漂った。ゲート前の輪乗りで、ムーア騎手が振り落とされて落馬。無事に騎乗できたものの、うずくまるような場面もあり、実際に左肩を痛めていたようだ。

この影響で発走が若干遅れたものの、馬体検査などはなく全馬ゲートイン。そして、レース展開を決めることになるのがマイネルデステリョの動きだ。スタートダッシュは8頭のなかでいちばん悪かったが、そこから押して一気に先頭へ立つ。勢いがついたままハナに立った関係ですぐにスピードを緩めるのは難しく、2F目が11秒0、3F目が11秒4と速いラップを刻む。その後も1ハロン12秒を上回ることがない締まった流れとなった。

ハイペースらしい縦長の隊列で3~4コーナーを回って、レースは最後の直線へ。そこから先は前述の通りなので、②着以下の馬に触れていこう。5馬身突き放されてしまったものの、アルジャンナも従来の2歳コースレコードを0秒6も更新しており、③着馬には4馬身差をつけている。例年なら十分にクラシック候補生と呼ばれるだけの走りを見せており、相手が悪かったとしか言いようがない。

ちなみに、この東スポ杯の上位2頭は「母がアメリカ系主体の血統構成」Lyphardのクロス」という共通項がある。ひとつ上の現3歳世代からもロジャーバローズダノンファンタジーダノンキングリーといった活躍馬が同様の血統構成を持っている。最近の高速馬場への適性が高く、早期からの活躍も見込める配合として注目したいところだ。

三冠牝馬アパパネの産駒ということでも注目されたラインベックは、都合9馬身離された③着まで。先行勢には厳しい流れになっただけに、2、3番手を追走したこの馬にとって不利だったのは間違いない。とはいえ、勝ち馬から都合9馬身となると展開ひとつで逆転できる差ではない。来年に向けては、さらなる成長が求められることになりそうだ。

さて、気になるのは破格の走りを見せたコントレイルの今後で、管理する矢作芳人調教師によると年末のホープフルSへと向かうようだ。2歳馬がこれだけのタイムで走ったとなると反動などは気になるところで、正式な出否はレース後の状態を見て判断されることになるのだろう。いずれにしても次にどんな走りを見せてくれるのか、とにかく楽しみな馬が現れた。


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