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速攻レースインプレッション

レースぶりは強いのひと言、名牝誕生と言ってもいい

文/鈴木正(スポーツニッポン)、写真/川井博


勝負というものは非情だと感じた。2戦2勝。戦歴に傷のない3頭が出てきて、無敗を続けられるのは、ただ1頭。いや、3頭すべてに新たな傷がつく可能性だってある。そんなサバイバルを勝ち抜き、3戦無敗2歳牝馬の女王に輝いたのはレシステンシア。4番人気に過ぎなかったが5馬身差の完勝。来年、この馬を中心に牝馬クラシックが回っていくことが決まった。

好スタートから迷わずハナを切った。逃げたのは初めてだったが、馬は力むことなくペースを刻んだ。北村友騎手のこの馬への高い信頼が見えた気がした。

前走・ファンタジーSでは前半3F33秒7のハイラップの中、2番手追走から悠々と押し切った。差し、追い込み馬が②着以降を占める中、2番手で立ち回って勝ったことは、この馬の地力の高さを示すものだった。陣営の隠れた努力も見逃せない。新馬戦を快勝したが、2戦目はリングバミへと切り替え、操縦性をアップさせた。デビュー2戦とも1400m戦だったが、この能力、この操縦性ならマイルも大丈夫と判断したのだろう。北村友騎手の乗りっぷりからもそのような自信が透けて見えた。

直線ではまったく他馬を寄せ付けない。みるみる差をつけてセーフティーリードに持ち込んだ。父ダイワメジャーは勝負どころで主導権を奪い、力尽くで押し切る競馬を得意とした。レシステンシアもねじ伏せるような競馬で頂点をつかんだ。

北村友騎手はこの秋、秋華賞もクロノジェネシスで勝っているが、騎乗ぶりに自信が出てきたように思う。好ダッシュからの迷いのない逃走は美しかった。元々、騎乗技術は高く評価されていた。年齢を重ね、さまざまな人と付き合い、考え方、発想の仕方などが徐々に変化してきたのではないか。熟成と言ってもいい。雰囲気にまったくのまれていないし、いい意味での割り切りがあるように感じる。

1分32秒75馬身差。重ねて言うが、このレースぶりは強い。名牝誕生と言っていいだろう。よほどの新星が現れない限りは桜花賞までは安泰のように思う。血統からもパワーがありそうで、だいぶ早い話になるが海外に連れて行っても好勝負できる馬になれるはずだ。香港国際競走での日本馬の大活躍を見て、ふと思った次第だが、それだけの夢を託せる逸材であることは間違いない。

②着マルターズディオサは直線でしっかり伸びた。勝ち馬が強すぎただけで、この馬もしっかり走っている。最後の最後にクラヴァシュドールを抑えて②着を死守したのは勝負根性のなせる業。道悪も大丈夫なタイプなので、クラシックで降雨のシーンがあれば面白そうだ。

③着クラヴァシュドールもしっかり伸びているが、あと一歩。本音を言えば②着に上がりたいところだったが、やむなしか。追い切りの動きが抜群で仕上がりは完璧だったように思う。最後にもうひと押しが利くかどうかが来年の課題となる。

ウーマンズハートの3番手追走は自分の中では「まさか」だった。ただ、前めの馬がことごとく頑張っていた、この土日の阪神競馬。ビュイックの判断はよく分かるが、新潟で見せたような脚は3番手から使うことは難しかった。残り100mで止まった。ためたら伸びたかどうかは分からないが、今回はこの馬にとって勝つことが難しいレースになった。次走以降、状況設定が変われば勝つシーンもあるはずだ。

さて、単勝1.8倍の圧倒的1番人気に推されながら⑥着に散ったリアアメリア。逃げた馬が最速の上がりをマークしてレコードで逃げ切るレース。後方から脚をためるこの馬にとって勝ちようがなかったが、それでも見せ場がなさすぎたように思う。敗因はどこにあるのか。過去2戦、そんなに速いタイムで勝ったことがなかった。それがメンバーがそろった大一番でこの速い時計では苦しい。それでも、うーん…。なかなかいい表現が見つからない。

こんなことは思った。勝ちっぷりが良すぎたレースも、その中身を精査するセンスが必要。当たり前のことを改めて思い知った。自分を含めてマスコミ勝ちっぷりのいい馬に飛びつきたくなるが、そこで冷静に取捨選択できる人が勝ち組となる。自戒を込めて書いてみた。


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