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速攻レースインプレッション

今年は「ふたつのジンクス」が崩れた

文/出川塁、写真/小金井邦祥


カタカナ語の「ジンクス」は縁起がいい意味でも悪い意味でも使われるが、英語の「jinx」という単語には本来、悪い意味合いしか含まれていないという。では、競馬における大波乱というのは、いい意味、悪い意味のどちらで受け取る人が多いのだろうか。

いきなりの問いかけになって恐縮ながら、こんな書き出しになったのも今年のターコイズS「ふたつのジンクス」が崩れてしまったからだ。

ひとつは荒れる重賞というジンクス。格上げ初回の15年から3連単295万馬券が飛び出し、昨年も馬券圏内に10番人気以下が2頭入って3連単69万。シーズン末、牝馬限定、ハンデ戦といかにも荒れる条件が揃っていて、その通りに荒れてきた。今年も1番人気の単勝オッズが4倍を超えていたように確たる主役は不在で、波乱の目は十分にあった。

ところが、終わってみれば3、2、1番人気の順でゴールイン。人気上位の3頭が馬券圏内を占めるのは第5回にして初めてのことで、3連単も重賞となってからは最低の1万5280円にとどまった。これとて決してやさしく的中できるわけではないが、どことなく拍子抜けしたというか、ターコイズSはこうじゃないというか、肩透かしに感じた人もいるかもしれない。

もうひとつのジンクスは、3歳馬が上位を独占したことだ。というのも、今年の3歳はあまり強くないというのが定説になりつつあった。確かに、古馬混合の平地重賞を勝った3歳馬は17年と18年がいずれも10勝だったのに対し、今年はこのターコイズSで5勝目。まだ有馬記念阪神Cが残っているとはいえ、一挙に半減してしまっている。

これには合理的な理由が考えられて、今年から降級制度が廃止された。そのため格上の4歳馬がいなくなった1勝クラス、2勝クラスでは3歳馬が有利でも、元々層が厚い3勝クラスやオープンになるとにぶつかってしまう。

ちなみに、ここまで古馬混合重賞を勝った顔ぶれを見ると、ダノンキングリー(毎日王冠)とコントラチェック(ターコイズS)はクラシック戦線でも人気になった実力馬。ロードマイウェイ(チャレンジC)とクリソベリル(チャンピオンズC)は怒涛の連勝で突き抜けた馬。もう1頭、夏の中京記念を制したグルーヴィットもいるが、今後しばらく重賞で3歳世代を狙うとしたら、前記のどちらかに当てはまる馬がいいのではないかと考えている。

前段がだいぶ長くなってしまったが、レースを振り返っていこう。ポイントとなったのはスタートだ。ハナに行きそうだったのは、同じ中山のフラワーCを逃げて圧勝のコントラチェックと、前走の京成杯AHを超ハイペースで押し切って世界レコードを記録したトロワゼトワル。ただし後者は大外16番枠を引いたことに加えてスタートダッシュもいまひとつ利かない。結果、2番手からレースを進めるも、直線ではズルズルと下がってまさかのシンガリ負け。レース後に横山典弘騎手「息遣いがあまりよくなかった」というコメントを残している通り、本調子ではなかったのだろうか。

一方、過去の6戦で通過順に全部「1」を並べたら3戦全勝、そうでなければ3戦全敗コントラチェックにとっては理想的な展開となった。1000m通過57秒3と結構なペースで飛ばしているが、もっと大事な自分のリズムで走ることができている。それができなかったオークス秋華賞では不本意な結果に終わってしまったが、今回は直線に入っても余力はしっかりと残っていた。肉を切らせて骨を断つ、牝馬にしては珍しいタイプの逃げ切りで重賞2勝目を飾った。

1馬身4分の3離れた②着にエスポワール。3番人気と期待された秋華賞では⑨着に敗れたが、それを糧にした次走の3勝クラスを快勝し、重賞でも通用するところを証明した。来年はG1戦線でも期待できそうだが、アドミラブルなど兄、姉たちは能力を秘めながらも脚元に泣く血統だけに、なにより順調にいってほしい。ちなみに、中央重賞での「デムルメ(ルメデム)」ワンツーは昨年のホープフルS以来、交流重賞でも昨年の東京大賞典以来で、いずれにしてもほぼ1年ぶりのこととなる。

③着のシゲルピンクダイヤ桜花賞②着、秋華賞③着と今年の牝馬三冠路線で活躍を見せた馬。やはり、このクラスの馬であれば古馬混合重賞でも問題なく狙っていけそうだ。


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