独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

力で歴戦の古馬を一蹴、強烈なインパクトを残す一戦に

文/浅田知広、写真/森鷹史


斤量が過去の実績によって加増されない「定量戦」で行われる阪神C。芝1400mの古馬G2はほかに京王杯スプリングCスワンSが行われているが、どちらも別定戦、かつマイルG1の前哨戦という位置づけ。定量戦阪神Cは、この距離を得意とする馬にとっては、その年の最大目標にもなり得るレースだ。

そんな位置づけもあってか、過去13回ではキンシャサノキセキ、サンカルロ、そしてリアルインパクトの3頭が連覇を達成。さらにガルボ、イスラボニータ、そしてダンスディレクターが2連対を記録する。

もちろん、このすべてが「1400mのスペシャリスト」というわけではなく、中には他の距離のG1馬も含まれるが、少なくともこのコースが得意だったのは確かだろう。

そんな阪神Cだが、今回の出走メンバーで過去に好走歴を持つのは2016年の優勝馬シュウジ1頭で、今年は主にダート路線で奮闘中。その他では、同じ阪神芝1400mで行われるG3・阪急杯の今年の①~③着馬、スマートオーディンレッツゴードンキロジクライ。昨年の勝ち馬ダイアナヘイローは阪急杯も制しており、このあたりがコース実績からは気になる存在になる。

一方、これらコース実績馬など力で蹴散らしてみせましょう、といわんばかりの存在が、1番人気に推された桜花賞馬グランアレグリアだ。近年なら、2014年のNHKマイルC優勝馬ミッキーアイル(結果は蹴散らせず⑦着敗退)に少し近いタイプと言えるだろうか。

ただ、そのミッキーアイルは2走前にスワンSを制した距離実績馬。一方、こちらグランアレグリアは、一頓挫あったためにスプリンターズSを回避しており、1600m未満初出走になる。もっとも、短いところが合うとみてのスプリンターズS目標だっただけに、1400mならまったく問題なしというのが大方の見方だった。

さて、その「大方」が正しいのかどうか。レースはグランドボヌールメイショウショウブが先導し、前半12秒3-10秒5-11秒1の33秒9。速いというほどではないが、少なくとも遅い流れではなかった。

そんな中でもグランアレグリアは、中団で少し掛かり気味。1400mがどうという以前に、そもそも秋最初の目標だった1200m戦・スプリンターズSという選択がもっとも正しかったのではないか、と思わせるような序盤だった。

しかし、3コーナーあたりから落ち着いて、持ったままの手応えで直線へ。その抜群の手応えのまま前の各馬を一瞬にして交わし、そこから少し仕掛けただけで先頭のメイショウショウブも捕らえたのが残り200m。ここからはもう独壇場で、後続との差は開いていくばかり。強いのは知っていた、しかしこの相手ならこれほどの走りができるのか、という5馬身差の圧勝だ。

終わってみれば、適性云々を論じるのがばからしくなるような勝ちっぷり、まさに力で歴戦の古馬を蹴散らした一戦だった。これなら、来年のスプリント路線を引っ張る存在になるのは間違いない。いや、国内で引っ張るのではなく海外でも……という気もしてくるが、そのあたりは気性面などその他もろもろとの相談の上、ということになるだろうか。いずれにしても、ファン強烈なインパクトを残す一戦になったのは確かだ。

しかし、これほどの勝ちっぷりを見せられると「来年の阪神Cには出てこないだろうなあ」とも。残念、という言葉は適切ではないかもしれないが、このレースの優勝馬としては少し異質の存在である。

そんな視点からは、②着争いを演じたフィアーノロマーノメイショウショウブに期待がかかる。フィアーノロマーノは1600万条件、ダービー卿CTと連勝した後、G1の安田記念マイルCSはふた桁着順。休み明けにG1を使い、2戦目のここで一変したあたりに、その資質(?)が感じられる。

そしてメイショウショウブは、グランアレグリアと同じ3歳牝馬で、こちらも芝の1600m未満は初出走(ダート1戦1勝)。もともと前週のマイル戦・ターコイズSを予定していたが、除外になってこちらへ。僅差③着で賞金を加算できなかったのは痛いが、新たな一面を見ることができたのは収穫だろう。

さて、この2頭、来年はどんな走りを見せてくれるだろうか。もちろん、こちらの勝手な予想などあっさりと覆し、さらなる大舞台で活躍する可能性も十分にある。

そしてフィアーノロマーノメイショウショウブと大接戦の④着だったレッツゴードンキは、ここが引退レース。4歳夏あたりから、どんな条件でもほとんど大崩れすることなく走り続けたタフさには頭が下がる思いだ。これからは、自身がなし得なかった阪神C制覇……ではなく、桜花賞母子制覇を狙えるような産駒の登場を楽しみに待ちたい。


TOPページに戻る