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速攻レースインプレッション

陣営の「我慢」が結実、さらに上のレベルでも!?

文/山本武志(スポーツ報知)、写真/森鷹史


もう10年以上、JRA賞の記者投票をさせてもらっているが、昨年ほど頭を悩ませる部門が多かった年は記憶にない。正直、スッと決まったのは3部門ぐらい。あとは色々と考えたが、特になかなか結論が出なかったのが最優秀3歳牡馬古馬牡馬。昨年1年を振り返ってみて、改めて感じたのが、今の日本競馬は「牝馬の時代」だということだった。

昨年、早逝してしまったウオッカが活躍していた頃あたりだろうか。牝馬が牡馬相手のG1でも互角以上の結果を出し、主役を担うことが増えてきた。ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ…。

そして、今もそうだ。有馬記念で圧巻の有終Vを決めたリスグラシューをはじめ、その有馬記念では初の完敗を味わったものの、圧倒的なポテンシャルは疑いのようのないアーモンドアイ。さらにはナッソーSで英国G1制覇という偉業を成し遂げたディアドラなどタレントは豊富で、昨年暮れの阪神Cではグランアレグリアが3歳牝馬ながら牡馬たちを相手に5馬身差の圧勝。今後を担うスター候補たちも誕生している。

今回の京都金杯混戦ムードだったが、終わってみれば牝馬のサウンドキアラが1馬身4分の1差をつける完勝だった。前半3ハロン34秒9、半マイルが47秒1という平均ペースの中、道中は枠なりに好位のインで脚をため、直線で前が開いてからは一気に脚を伸ばし、後続を突き放す「正攻法」で圧倒した。

先述した名牝たちに共通している大きな特徴のひとつに「成長力」があると思う。特にリスグラシューに関しては、4歳秋のエリザベス女王杯でG1初制覇を果たしたというのに、5歳だった昨年は国内外でG1・3勝。宝塚記念有馬記念は今までの詰めの甘さが嘘のように圧勝し、豪州のコックスプレートは絶望的な位置取りから驚異的な差し切り。驚異的なパフォーマンスを続けた。

サウンドキアラはアーモンドアイ、ラッキーライラックと同じ5歳馬。実力馬の多い世代ではあったが、デビュー戦で現オープンのエアアルマス、ライトオンキューに快勝するなど、早くから高い素質を買われていた。ただ、体質面の弱さがネックとなり、能力を出し切れなかった。

それが昨年から一気に本格化。1000万(現2勝クラス)を卒業するまで6戦を要したはずが、1600万(現3勝クラス)はわずか1戦で卒業した。その成長は馬体重が如実に物語っている。今回の458kgはデビューから20kg増。3歳時に感じた「弱さ」は現在、微塵も感じられない。

しっかりと「我慢」できた陣営の手腕も見逃せない。安達調教師はこの京都金杯を含めてJRA重賞を15勝しているが2、3歳限定重賞はわずかに3勝のみ。ダート王となったエスポワールシチーをはじめ、成長を阻害しないような慎重な起用で成績を出してきた。サウンドキアラも、まだキャリア15戦。さらに上のレベルで戦える下地は十分に整っていると言える。

大事に使ってきたことが功を奏したといえば、②着に入ったダイアトニックも同じことが言えそう。こちらも5歳でまだキャリア13戦。今回に関してはマイルという距離への対応がポイントだったが、折り合い面の問題もなく、進境をうかがわせる内容だった。最近の主流はレースを使って育てるよりも、放牧を上手に挟みながら、狙ったレースへ余力を残した状態で仕上げていくスタイル。今回の①②着馬は現代競馬の流れにしっかりと乗って、結果を出した形ではないだろうか。

あと、1分34秒0という勝ち時計にも注目したい。京都の開幕週といえば、時計の速い決着というイメージが強いが、今週の芝は全体的に時計がかかっていた。実は昨年も勝ち時計は1分34秒9だったが、今年に関して言えば、気になるのが昨秋の京都開催が、かなりの割合で雨の影響を受けていたこと。後半は良馬場でもかなり荒れた状態だった。寒さの増している時期だけに、そこから1ヵ月強でどこまで馬場が回復できたかは微妙だ。

今週の京都芝でサウンドキアラの父ディープインパクト産駒が2勝したが、他に2勝したのはダイワメジャー産駒オルフェーヴル産駒。今後も京都の芝はパワー指向の強い種牡馬を狙う方が得策かもしれない。


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