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速攻レースインプレッション

前走で味わった蹉跌を見事に糧として完勝

文/出川塁、写真/井立和


レースが終わって「よし書くか」とテレビから目を離したら、つけっぱなしにしていた画面から「外国産馬の勝利はトーヨーシアトル以来24年ぶり」というコメントが聞こえてきた。

その途端、書き始めたばかりの原稿がいきなりストップしてしまった。「はて、そんなことあったかな?」と思い出せず、どうにも気になって仕方がない。もちろん、トーヨーシアトルがダート路線で活躍したことは覚えている。なのにレースの光景がさっぱり思い浮かばない。40歳を過ぎて記憶力がますます減退している自覚はあるが、24年前といえば競馬を熱心に見始めた時期で、あの頃のことはよく覚えているはずなのに。

そこでトーヨーシアトルの戦歴を確認してみたところ理由がわかった。同馬が勝った24年前は、12月に中京ダート2300mで行われていた頃の「ウインターS」だったのである。当時は冬の中京における名物レースとなっていたが、その後の変遷は目まぐるしい。翌97年にG2昇格を果たしてレース名が「東海ウインターS」に改められると、さらに00年からは5月に移動して「東海S」に。10年から12年にかけては中京改修の影響で京都開催が3年続いた時期もあった。

現在の1月開催となったのは13年のこと。それから昨年までの7年間で勝ち馬3頭がフェブラリーSも制し、有力な前哨戦として定着しつつあったが、今年は京都改修に伴う変則日程で再び京都開催となった。この「1月京都でダート1800mの重賞」という条件は12年までの平安Sと同じだから、これも記憶が混沌とする原因になったのかもしれない。

と、意図せずして中年男性の哀しいボヤキになってしまい、甚だ恐縮である。ここからはきちんとレースを振り返っていこう。

このレースの大きな焦点となったのがスタート直後の先陣争いだ。これまた同条件で行われた昨年のみやこSで超ハイペースを生み出す一因となり、共倒れに終わったインティスマハマが再び顔を合わせることになったからだ。

ところが、この争いは意外な展開を迎える。いつも通りにハナを主張したスマハマに対し、インティ武豊騎手は手綱を押さずに出たなりの競馬。意外にもあっさり控えて中団の外を追走している。ただし、これでスマハマは楽になったかといえばそんなこともなく、終始アイファーイチオーに外からプレッシャーをかけられる展開。直線では脚を失い、⑮着大敗を喫することになってしまった。

一方のインティはといえば、レース前半はすこし首を上げつつの追走で戸惑いが見え隠れしていたが、馬群の外を追走するリズムは悪くない。3コーナー過ぎからマクリ気味に進出し、スマハマをかわして先頭に立ったエアアルマスに並びかけていく。先に脚を使ったぶん、最後の直線ではエアアルマスに突き放され、外から来たヴェンジェンスにもかわされてしまったが、それでも③着に踏ん張った。

1番人気だっただけに、逃げ切りを想定していたファンには不服もあろうが、これができるのが前哨戦ではある。脚質転換初戦としては十分の内容で、このレースぶりが板につくようなら今年はより安定した結果を収められそうだ。なにより、次を見据えた競馬をしたときの武豊騎手は、必ずといっていいほど本番で結果を出してきたことを忘れてはならない。

このインティみやこS大敗から復調を遂げたのと同様に、勝ち馬のエアアルマス武蔵野S⑪着で味わった蹉跌を見事にとした。砂を被って脆さを露呈した前走の轍を踏まぬよう、スタートを決めて先行馬群の外につけた時点で大方の仕事は終わったといっても過言ではないかもしれない。勝負どころでの手応えも抜群で、②着のヴェンジェンスとは着差は半馬身でも見た目以上の完勝だった。

前述の通り、揉まれると駄目というわかりやすい弱点を抱えるだけに、G1になるとライバル陣営も容赦なくそこを突いてくるだろう。それでも跳ね返せるだけのポテンシャルは持っているはずだし、武蔵野Sで敗れたとはいえ血統的に東京ダート1600mはいかにも合う。とにもかくにも、欲しいのは外枠だろう。


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