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速攻レースインプレッション

叩き上げホースが見事に下馬評を覆してみせた

文/出川塁、写真/瀬戸口翔


京都芝1800mはディープインパクトが大の得意とするコースのひとつである。京都の芝では2000mと並んで施行数が多い主要なコースでもあり、過去3年(17~19年)で135戦36勝というディープインパクト産駒にとっての大票田となっている。

もちろん、このコースで行なわれる唯一の重賞であるきさらぎ賞でも好成績を収めている。11年に初年度産駒のトーセンラーが幸先よく勝利すると、昨年のダノンチェイサーまで9年間で5勝をマーク。トータルでは[5.5.2.11]と2頭に1頭は馬券圏内に入り、5頭に1頭は勝つ計算となっている。

きさらぎ賞で連対したディープインパクト産駒には、のちに3000m級G1で好走する馬が少なくない。11年①着のトーセンラーは菊花賞③着、春天②着。16年①着のサトノダイヤモンドは菊花賞①着、春天③着。18年②着のグローリーヴェイズは春天②着。12年①着のワールドエースはどちらにも出走せず現役を終えたが、全弟のワールドプレミアが昨年の菊花賞を勝った。3歳クラシックでいえば春の二冠より秋の菊花賞で着順を上げる傾向も見られるので、後々まで覚えておきたいところだ。

そして、加えて触れておくべきなのが、きさらぎ賞を制したディープインパクト産駒5頭のうち4頭が池江泰寿厩舎の所属だったことだ。ディープインパクト産駒が初出走した11年以降、池江厩舎きさらぎ賞[4.1.2.1]と絶好の相性を示しており、4勝のほか1回ある②着もディープインパクト産駒のサトノアーサーで記録している。

となれば今年、「きさらぎ賞×ディープインパクト産駒×池江厩舎」の方程式を完璧に満たすアルジャンナが単勝1.5倍の支持を集めるのも当然ではあったか。前走の東京スポーツ杯2歳Sでは驚異のレコードを記録したコントレイルに5馬身突き放されたものの、この馬も従来の2歳レコードを上回るタイムで走り、③着馬には4馬身の差をつけていた。また、ここで賞金を加算してクラシックに向かいたいはずだから勝負度合いも高そうだった。

ところが、終わってみれば③着どまり。中団待機は予定通りだったとしても、4コーナーから直線の入り口にかけての反応が悪く、先行勢との差がなかなか詰まらない。最後の100mになってようやくエンジンがかかったものの、前を捉えるには至らず、賞金を上積みできる②着も逃す痛恨の結果となってしまった。現在の京都の荒れた馬場への適性を疑問視する声はレース前から聞かれたが、どうやらその危惧が的中してしまったようだ。

勝ったのはコルテジア。前走のシンザン記念で10頭立ての9番人気から③着に好走。それでも評価は上がらず今走も8頭立ての7番人気に甘んじたが、見事に下馬評を覆してみせた。

必要最低限のレースしか使わないのが現在の主流で、この馬を除く7頭中6頭はキャリア2戦以下で、もう1頭もキャリア3戦。また、この馬を除く7頭は今年初戦でもあった。すでにキャリア5戦で年明けに1戦消化済みのコルテジアは、最近では珍しい叩き上げホースと言える。

レースぶりは渋太く、いかにも叩き上げといった感じ。1番枠から好スタートを決めると、鞍上の松山弘平騎手はラチ沿いではなく馬群の外に持ち出して3番手を追走する。壁を作らずともしっかり折り合い、しきりに首を上げながら走っている1頭後ろのグランレイとは対照的だ。

直線を向いて、最初に抜け出しにかかったのはストーンリッジ。POGファンにはお馴染みの母クロウキャニオンの産駒として11頭目の勝ち上がりというだけでも感嘆すべきところ、重賞でも好勝負できる能力まで備えているのだから恐れ入る。ディープインパクト産駒として6頭目のきさらぎ賞勝ち馬の座も見えてきた。

しかし、その背後にいたコルテジアも食い下がる。シンボリクリスエスの産駒らしくあまり切れ味はないが、そのぶん着実に脚を伸ばして一完歩ずつ差を詰めると、「残り150」という実況と同時に先頭に立ってそのままゴール。前述したコントレイルやビアンフェなど現3歳世代での活躍が目立つノースヒルズ勢(本馬の馬主名義は前田幸治氏)から、またしても重賞勝ち馬が誕生した。

圧倒的1番人気のアルジャンナが③着、朝日杯FS③着で2番人気のグランレイがしんがり⑧着という結果からすると、どちらかといえば人気馬が凡走したというほうが正確なのかもしれない。ただ、馬柱が綺麗な馬ばかりのレースでは、こういうキャリア豊富な馬を狙ってみるのはひとつの手。なにより、惜しまずレースに出続けて、舞い込んできたチャンスを逃さなかったコルテジアを評価するのがまずは先だろう。


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