独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

速攻レースインプレッション

馬場や展開では片付けられない、本物の強さを示した

文/編集部(T)、写真/瀬戸口翔


日曜は全国的に雨模様で、東京も昼過ぎまで雨が降っていたことで、共同通信杯稍重馬場でのレースとなった。2月といえば雪や雨が降ることが多く、悪天候の影響を受けた共同通信杯といえば、エルコンドルパサーが勝った98年(積雪のためダート1600mに変更になった)を思い出す方もいらっしゃるのではないだろうか。

ただ、近年の共同通信杯はそうでもなく、2010年以降に道悪で行われたのは2016年(稍重)だけ。その時は前半1000m通過が60秒0というペースで流れ、レース上がりが35秒6かかって差し決着となり、ディーマジェスティが勝利している。勝ち時計は1分47秒4で、良馬場で行われた翌年(勝ち馬スワーヴリチャード)が1分47秒5だから、例年に比べても特に遅いものではなかった。

同じようなことをされる方も多いと思うが、自分はレースを予想する際、ある程度の決着時計も予想することにしている。この2レース前に同じ芝1800mで行われた初音S(15頭立て、3勝クラス)が1分48秒2で決着しており、こちらは9頭立てではあるが、重賞のここならもう少し速くなっても不思議はなさそう。つまりは例年くらいか、少し遅いくらいの時計で決着するかなあ……と想定し、それくらいならペースが流れているはずだから、マイラプソディフィリオアレグロの差しもある程度届くだろう、と予想した。

ところが、レースが始まってその想定が崩れる。川崎で逃げて2戦2勝だったエンが行く構えを見せず、好スタートを切ったココロノトウダイも控え、前走で差す競馬をしていたビターエンダーが押し出されるように先頭に立つ形に。映像で1000m通過が63秒1(実際は63秒2)と出た時には、買った馬券がハズれることを早くも覚悟した(笑)。

果たして、逃げたビターエンダーの脚がなかなか衰えない。先団追走から勝負所で仕掛けたダーリントンホールが伸びてきて、直線半ばからはこの2頭の一騎打ちに。ダーリントンホールが食い下がるビターエンダーをゴール前でねじ伏せるように交わして、先頭でゴール。③着フィリオアレグロとの差は4馬身付いて、後方から進めたマイラプソディは伸び切れず④着に敗れた。

勝ち時計が1分49秒6かかったのは、ペースと馬場、両方の要因があるだろう。英国産馬ダーリントンホール父ニューアプローチ(サドラーズウェルズ系)で、その半弟に稍重馬場の高松宮記念を制したシンコウフォレストがいる血統。今回の馬体重が526kgという馬で、こういった馬場はやはり味方になったのだろう。

ただ、ダーリントンホールにとって、今回は馬場やペースだけでは片付けられない、“本物”と思わせる強さも示した。自身の上がりはマイラプソディより速い34秒1で、メンバー最速。2010~2019年の共同通信杯でメンバー最速の上がりを使って馬券圏内に入った馬は7頭いて、そのうち5頭がG1馬になっている(10年ダノンシャンティ、12年スピルバーグ、15年ドゥラメンテ、16年ディーマジェスティ、17年スワーヴリチャード)。

レース後のコメントでルメール騎手も触れていたが、2走前の葉牡丹賞(中山芝2000m)は掛かる面を見せて③着に敗れている。それだけに、クラシックに向けては距離が延びてどうかだが、ローブデコルテ(07年オークス)以来2頭目となる外国産馬によるクラシック制覇となるか。気性面を含め、さらなる成長に期待したい。

一方、完敗を喫したマイラプソディ。初の東京輸送、馬場などもあったが、最大の敗因は展開が向かなかったことだろう。京都2歳Sで2馬身差②着に下したミヤマザクラが前日のクイーンCを勝利しており、牡牝の違いを考慮しても、3歳の中でも上位の力を持っているのは間違いないはず。

父のハーツクライも3歳春までにOPを2勝して、早くから頭角を現していたが、それでも3歳時はG1で不安定な競馬を続けていた。父の成長曲線を考えると、まだまだ見限るのは早計のはずだ。


TOPページに戻る