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速攻レースインプレッション

“名優の一族”から、主役候補がまた1頭

文/編集部(T)、写真/瀬戸口翔


新型コロナウイルスへの対応策として、今週からJRAでもいわゆる“無観客競馬"に。阪急杯はそういった状況で行われる初めてのJRA重賞ということで、いろいろな意味でも注目を集める一戦となった。

そんな今年の阪急杯は、フルゲート18頭のうち、OP勝ちや重賞連対実績がある馬が実に14頭にのぼるメンバー構成となった。G1馬こそステルヴィオ1頭だけだったが、近2走がG1で⑭⑧着と崩れていて、さらにここが約9ヵ月ぶりの実戦ということもあり、死角もありそう。文字通り“馬券はどこからでも入れそう"な一戦だ。

人気面では混戦ムードの中、1番人気に推されたのはダイアトニック。昨年のスワンSを強烈な末脚で差し切り、今年緒戦の京都金杯でも②着に好走。過去6戦で5勝②着1回、重賞勝ちのある芝1400mに戻って、得意距離で重賞2勝目を狙う形となった。

レースはスタートからニシノラッシュマイスタイルクリノガウディーがハナを窺い、午後に入って良馬場に回復したとはいえ、馬場を考えるとそれなりに速い前半3F34秒1というタイムで入る。ダイアトニックはこれに続き、2番人気フィアーノロマーノは中団インで脚を溜め、ステルヴィオベストアクターは後方寄りに控えた。

4コーナーを回ったところで前を行くマイスタイルが少し外に膨れ、そこで空いたスペースを、直後にいたダイアトニックフィアーノロマーノが突き、この2頭が交錯ダイアトニックフィアーノロマーノを内に押し込めて伸びてきたが、外からベストアクターがまとめて差し切り、先頭でゴール。ダイアトニックは2位、立て直して伸びてきたフィアーノロマーノは3位入線となったが、この直線の事象について長い審議となり、フィアーノロマーノは②着繰り上がり、ダイアトニックは③着降着となった。

勝ったベストアクターは、これで2勝クラス、3勝クラスに続いて3連勝を飾り、OP実績がある馬がほとんどというメンバー構成の中、OP初挑戦で重賞初制覇。手綱をとった浜中騎手も、昨年の京阪杯での落馬事故から復帰した週で、嬉しい重賞制覇となった。

この勝利によって、ベストアクター全6勝を芝1400mで挙げたことに。6番人気と人気の面ではさほどでもなかったが、人気を集めていたダイアトニックの芝1400m実績に注目が集まったことで、意外な盲点となっていた面もありそうだ。

そうなると、高松宮記念安田記念、どちらの路線に進むとしても、1Fの違いに対応できるかどうかがポイントだろう。祖母ダイナアクトレス88年スプリンターズS(当時はG2で、3月の東京芝1400mで行われた)、京王杯スプリングCを連勝し、安田記念でも②着に好走。同じ鹿戸厩舎所属で、本馬のいとこにあたるスクリーンヒーローは重賞初制覇となったアルゼンチン共和国杯の次走でジャパンCを制していて、勢いに乗ると格や距離の違いをあっさり越えていく血統なだけに、本馬もそれに続く可能性は十分にありそうだ。

ベストアクター『最高の男優』という意味で、祖母ダイナアクトレス(冠名+女優)、母ベストロケーション(最高の撮影)、いとこのスクリーンヒーロー(銀幕のヒーロー)などから受け継いだのだろう。“名優一族"の一員として、G1の舞台でも最高の演技を見せてくれることを期待したい。

一方、人気を集めて敗れた2頭も、内容のある敗戦だったと言える。ダイアトニックは降着にはなったものの、差し馬が台頭する流れの中で2位入線というのは立派。フィアーノロマーノも直線で立ち上がるほどの不利がありながら、諦めずに伸びて半馬身差まで詰めた。

ちなみに、降着の基準が『不利がなければ被害馬が加害馬に明らかに先着していた場合に着順を変更する』となった2013年以降、JRA重賞で馬券対象となった馬が降着となったことと、半馬身差を付けられたケースでの降着はいずれも初めてとなった。この制度そのものへの批評はここでは避けるが、こういう結果になったのは、それだけフィアーノロマーノの盛り返しが強烈だったからだろう。

今回の上位馬が集うレースもまだありそうだから、次はスッキリした形で決着を付けることを期待したい。


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