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速攻レースインプレッション

時代は変化しても、地位が下がったわけでもない

文/出川塁、写真/川井博


桜花賞の最重要トライアルとして知られるチューリップ賞だが、近3年は本番の勝ち馬を送り出していない。その前の5年間、12年から16年までは5年連続でチューリップ賞組桜の女王に輝いているだけに、これは大きな変化と言っていい。

特に近2年、18年のアーモンドアイはシンザン記念以来、19年のグランアレグリアは朝日杯FS以来と休み明けの馬が連覇した。昨年は皐月賞でもホープフルS以来のサートゥルナーリアが勝っており、牡牝の三冠初戦は休み明けで出走した馬こそが最有力という時代になったとみるべきなのだろう。しかも、この3頭にはルメール騎手が騎乗という共通点もある。

今年も桜花賞ルメール騎手が騎乗を予定するのは、シンザン記念から直行するサンクテュエール。阪神JFで1番人気だったリアアメリアもぶっつけでの出走となる。また、牡馬路線で主役を張るコントレイルも皐月賞で3歳初戦を迎える。そして、これらの馬の結果にかかわらず、休み明けで一冠目に挑む有力馬が今後さらに増えていくのは間違いない。

とはいえ、チューリップ賞の地位が下がったわけでもない。勝ち馬を出せなかった近3年にしても、桜花賞②③着馬6頭のうち5頭はチューリップ賞組で、前哨戦としてしっかり機能している。昨年②着から本番でも7番人気②着に入ったシゲルピンクダイヤのように意外な穴馬が見つかる可能性もあるので、馬券の観点からも見逃しは禁物だ。

変わったことがあれば、変わらないこともある。阪神JFの勝ち馬がチューリップ賞に出走するのは4年連続となり、過去3年の2歳女王はいずれも快勝で3歳初戦を飾っていた。となれば、昨年の阪神JFを5馬身差で圧勝したレシステンシアが単勝1.4倍の人気を集めるのも当然ではあった。

しかし、結論からいえば先輩3頭に続くことはできなかった。阪神JFに続いて逃げの手に出たものの③着まで。直線に入り、満を持して追い出されたようにも見えたのだが、一気に突き放した前走とは違って簡単に捕まってしまった。

阪神JFとの違いを挙げるとすれば前半1000mのペースだ。同コースなので比較しやすいが、阪神JFの前半57秒5に対して、今回は前半59秒3。数字だけを見れば今回のほうが遥かに楽な逃げと言えるが、結果は逆に出た。その前のファンタジーS①着時も前半57秒3を2番手で追走していたことを考えても、速めのペースで引っ張ったほうが持ち味を出しやすいのだろう。

なお、2歳G1が牡牝に別れた91年以降、3歳初戦が③着だった阪神JF(00年までは阪神3歳牝馬S)の勝ち馬は、桜花賞[0.1.1.1]という成績。同様に、3歳初戦が①着なら[2.2.1.2]、②着なら[2.0.0.2]、④着以下は[0.0.0.6]となっている。このデータを見る限り、レシステンシアとしては④着以下に落ちなかったのは幸いながら、できれば②着には入っておきたかったか。

代わってチューリップ賞を制したのが、阪神JFでは5馬身突き放されたマルターズディオサだった。レシステンシアとの位置関係は前走と同様で、今回はしっかり捕まえた。さらに②着クラヴァシュドールにハナ差で先着したのも阪神JFと同じだ。

上位3頭のタイムに着目すると、マルターズディオサクラヴァシュドール阪神JFからいずれも0秒2詰めており、3ヵ月での成長が数字にも表れている。対してレシステンシアは0秒8落としており、やはり今走は能力を発揮しきれなかった面はあるのだろう。

心配なのはウーマンズハートだ。阪神JF④着時はハイペースを先行し、なし崩し的に脚を使わされたという明確な敗因があったのだが、今回は遥かに脚を溜めやすい流れになりながら⑥着。昨夏の新潟で披露した末脚の片鱗も見られなかった。急坂コースが向かないのか、右回りが合わないのか、成長力の問題なのか。気が早いかもしれないが、みたび同コースとなる桜花賞の着順を問わず、左回りで急坂もないオークスないしはNHKマイルCで狙ってみる手はあるかもしれない。

なお、これでキズナ産駒の中央重賞勝ち馬は3頭目。北海道2歳優駿を勝ったキメラヴェリテや、故障離脱したものの若駒Sを制したケヴィンもおり、2勝馬も少なからず出している。種付け料は昨年の350万円から今年は600万円までアップしたが、それでも満口となるのも納得の活躍ぶりである。


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