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速攻レースインプレッション

父のような末脚を使えるならば、さらなる強敵相手になっても!?

文/浅田知広、写真/瀬戸口翔


9戦してすべて④着以下の[0.0.0.9]。今年のフィリーズレビューに関係する成績だが、これがなにを意味するのかすぐにピンと来た方はいるだろうか。

正解はフィリーズレビュー出走馬の重賞成績」である。どんなレースでも年によりレベルの違いは出るものだが、フィリーズレビューなら同距離のファンタジーSや、芝1200mの函館&小倉2歳Sで馬券に絡んだ馬くらいはいそうなもの。しかし今年はファンタジーSの上位馬不在、そして昨年の函館&小倉2歳Sは牡馬が①~③着を独占したことなどもあり、今年は重賞で馬券に絡んだ馬が皆無というメンバー構成になった。

そんな中、「中心」と言える存在になったのは前走・阪神JFで⑤着のヤマカツマーメイドだ。5馬身差で圧勝したレシステンシアからは離れたものの、②着からは0秒4差とまずまずの走り。同レース上位馬不在の一戦なら、まず好勝負には持ち込めそうだ。

そのヤマカツマーメイドは単勝3.8倍の2番人気。3.7倍とこれをわずかに上回り1番人気の支持を受けたのは、同コースの前走・万両賞2歳レコードで逃げ切ったカリオストロだった。2走前・好位を進んだりんどう賞ではヤマカツマーメイドの⑦着に敗れていたが、ハナを切る形なら逆転もありそうだ。

そして単勝4.7倍の3番人気はアヌラーダプラ。デビュー2連勝後、前走のフェアリーSは1番人気を裏切る⑥着。マイル戦はやや長いとのコメントもあり、距離短縮での巻き返しが期待された。この3頭からは離れ、オープン2勝のケープコッドが7.8倍の4番人気。5番人気のエーポスは13.8倍とさらに差がついた。

レースは1番人気のカリオストロ、2番人気のヤマカツマーメイドが揃って「少し」出遅れて、ゲートを出た直後は2頭とも後方から5番手あたり。どちらも押っつけて前へ上がり、カリオストロは前に取りついてからじんわりとハナへ。ヤマカツマーメイドは好位の一角を追走した。

4番人気のケープコッドヤマカツマーメイドを見て中団の外につけ、3番人気のアヌラーダプラは好発から控える形で中団の後ろ。そして5番人気のエーポスは、スタートがカリオストロヤマカツマーメイドと同じくらい、そこからスピードに乗るまでが2頭とは差があり、中団の追走になった。

前半の600m通過は稍重の馬場で33秒4と速い流れ。このペースを作ったカリオストロと、追走するヤマカツマーメイドは序盤に少々とはいえ脚を使ってしまっており、これが後半にどう影響するか、という展開だ。

直線に向くと、2番手からナイントゥファイブ(12番人気)がカリオストロに並びかけ、その外からヤマカツマーメイド。残り200m手前でこの3頭が後続に2馬身の差をつけ、アヌラーダプラケープコッドなど差し馬勢は突き放され気味だった。

しかし、そのまま前3頭での決着かという態勢も一瞬、そこに襲いかかったのが5番人気のエーポスだ。坂下では挟まれかけるちょっとした不利もあったが、その間を割ると最後の上りで末脚爆発。坂に苦しみながらも粘り込みをはかる前3頭との差は歴然としており、先行勢同士の争いに競り勝ったヤマカツマーメイドを外から一気に差し切ってみせたのだった。

エーポスは過去3戦とも芝1600m戦で①⑤④着。前走のエルフィンSは2番手から直線前半でいったん抜け出したものの、そこから粘れずに敗れていた。距離短縮の今回は、スタートひと息で差す形。これが功を奏したか、直線では1頭違う末脚を繰り出した。

さて、本番・桜花賞へ向けてはどうなのか。力関係はさておくとして、この馬自身の適性がどこにあるのか、この4戦からはかなり判断が難しい。まず今回の一戦が「1400mで勝った」のか「差す形で勝った」のか。前者なら本番は苦しく、後者ならなかなかおもしろい。

また、敗れた2戦は直線平坦の京都で、勝った2戦は阪神と中山。中山芝1600mの新馬戦でも今回同様に残り200mから鋭い脚を使っており、ゴール前に坂のあるコースが得意という可能性もある。ただ、桜花賞本番は外回りで直線が長くなるのがどう出るか。

なんとも考えどころの多い馬だが、冒頭にも触れたように、今回はかなり軽いメンバー構成。力関係では別路線組との比較で苦しいとみるのが妥当で、桜花賞ではさほど人気にはならないだろう。

ただ、もし未経験の「直線が長くゴール前に坂があるコースの芝1600mがベスト」なら? 父ジャスタウェイは、後になって考えれば「本格化前」に、アーリントンC(阪神芝外回り1600m)を豪快に差し切った。あの父のような末脚を使えるならば、さらなる強敵相手になっても大いに楽しみだ。


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