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速攻レースインプレッション

オーソリティが夢舞台へ希望をつないでみせた

文/出川塁


強い勝ち方をしなければ本番で通用せず、さりとてあまり速いタイムで走りすぎると反動が残る。そんなジレンマを抱えるのが、ダービートライアルの青葉賞というレースだ。

オープン特別時代を含め、これまでに8頭のダービー②着馬を送り出してきたが、いまだに勝ち馬はなし。のちに年度代表馬に輝く02年のシンボリクリスエスや03年のゼンノロブロイでも戴冠には至らず、12年はフェノーメノがハナ差まで迫ったものの蛯名正義騎手とともに涙をのんだ。17年には皐月賞組を差し置いてアドミラブルが1番人気に推されるも、③着という結果に終わった。

中3週で東京の2400mを2回走ることの過酷さをよく言われるが、では、中2週で輸送も必要な2200mの京都新聞杯より特別厳しい条件かといえば、いい勝負だろう。その京都新聞杯が現在の時期に移ったのは00年のことで、ダービーの前哨戦としては後発なのだが、すでに昨年のロジャーバローズまで3頭の勝ち馬を出している。この西のG2と比べられると、青葉賞はどうにも立つ瀬がない。

今年こそといったところだが、皐月賞上位の2頭はどう考えても強い。ダービーで勝ち負けに加わるためにはインパクトのある勝ち方が求められるところで、叩き台だからといってだらしのない競馬はできない。物差しになりそうなのが3番人気に推されたオーソリティで、前走の弥生賞ディープインパクト記念では③着に入っていた。そして、このレースを勝ったサトノフラッグは皐月賞でも注目されたが、⑤着に終わっている。

つまりはこうなる。まずオーソリティにとっては、ダービーの出走権を逃すようでは何のために皐月賞をスキップしたのかわからなくなる。一方、残りの17頭にとっては、オーソリティのかなり先に皐月賞組がいるわけだから、この馬に負けるようでは本番どうこうとは言えなくなる。机上の計算ではあるものの、理屈としてはそういうことになる。

結果からいえば、希望をつなぐことに成功したのはオーソリティだった。3番枠からスタートを決めると、道中はラチ沿いの5、6番手を追走。直線に入って馬群を割るのが難しいとみるや、すぐさま切り替えて外に持ち出してロスを最小限にとどめる。そして、視界が開けてからはヒューイットソン騎手のアクションに応えて脚を伸ばし、残り200mでは横一線の追い比べ。一瞬、最内を突いたフィリオアレグロが先頭に立ったシーンもあったが、最後はヴァルコスとの併せ馬のかたちでひと伸びして先頭ゴール。ホープフルS弥生賞と強いところとやってきた貫禄を見せつけることとなった。

②着のヴァルコスは、2角12番手から向こう正面で一気に4番手まで押し上げた三浦皇成騎手の好判断も光った。レースラップを見るといちばん緩んだところでポジションを上げており、早仕掛けのようでも実際にはさほど脚を使わずに済んでいる。惜しくもクビ差敗れたとはいえ、ダービーの出走権はしっかり確保。それにしても、オーナーの「大魔神」こと佐々木主浩氏は次から次へと走る馬を見出してすごいものである。

さらにクビ差で③着のフィリオアレグロは、上がり1位の脚を使って決してバテてはいないのだが、先頭に立ってからは1頭になってしまい、ソラを使った部分もあったかもしれない。以前は③着でも出走権を得られたが、収得賞金400万円では夢舞台は厳しくなった。

話をオーソリティに戻す。その勝ち時計は2分23秒0で、これは17年のアドミラブルを0秒6更新するレースレコードとなった。もっとも、青葉賞以外のレースも軒並み高速決着だったことを思えば、このタイムを額面通りに受け取っていいものかどうか。それはよく考えてみる必要がありそうだ。

都合のいいことに、17年も今年も同条件のレースが組まれていたので勝ち時計を比べてみたい。ひとつは古馬2勝クラスの秩父特別(芝1600m)で、17年が1分34秒2、今年が1分32秒3。もうひとつは3歳未勝利(芝1800m)を見ても、17年が1分49秒4、今年が1分47秒2となっている。

これをそのまま2400mに換算すると、今年は17年より約3秒ほど速い馬場だったことになる。もちろん、これもまた机上の計算にすぎないし、そもそもダービーが時計の勝負になるとも限らないわけで、あくまで参考資料のひとつでしかないことも理解している。本番までの1ヵ月弱、このレースレコードの意味をしっかりと考えてみたい。




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