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速攻レースインプレッション

圧巻のパフォーマンスで芝G1・7勝目、いよいよ完成期へ

文/石田敏徳


ノームコアが勝った昨年のヴィクトリアマイルJRAレコード(1分30秒5)で決着した。AからBにコースが替わるうえ、芝の成長期とも重なるこの週は、1年のうちでもとりわけの高速馬場になりやすい。ヴィクトリアマイルでリピーターの活躍が目立つのは、"水準以上の高速馬場への対応"という特殊な適性が求められるからだろう。

前日にはけっこうな雨が降った東京競馬場の芝コースだが、当日は好天に恵まれ、稍重でスタートした馬場状態もお昼前には良に回復。第7レースに組まれた芝1400mの1勝クラス戦では、破格の勝ちタイム(1分19秒9。ちなみに前日の京王杯SCは稍重で1分19秒8)が記録された。かなりのハイペースでレースが進んだため、中団からでも差し届いた格好だが、上位を占めたのは4コーナーで内を回っていた馬ばかり。極端な追い込みは決まらず、コーナーで馬群の外々を回らされても厳しくなる──。高速馬場の"セオリー"が浮かび上がるレースを見て、ヴィクトリアマイルの馬券戦略は決まった。

アーモンドアイ「速い時計の決着が得意な馬」である。ドバイのようにタフな馬場でも勝っているとはいえ、その強さは日本特有の高速馬場でより際立つ。1周目のスタンド前でガツンと引っ掛かった有馬記念の敗戦(⑨着)は度外視できるし、ドバイへ渡った後に中止が決まり、レースを走らずに帰ってきた異例の臨戦過程についても、中間の調教で聞こえてくるのは「順調」のコメントばかり。おあつらえ向きの高速馬場が舞台なら、負ける要素はないと考えた。

問題は相手探しで"高速馬場のマイル適性"を考えれば、距離実績に乏しいラヴズオンリーユーと、少し時計がかかる馬場で連勝を重ねてきたサウンドキアラ(しかも大外枠)は迷わず消し。9番枠でクビ差②着の昨年に対し、5番枠を引いた今年はノームコア(=昨年は4番枠、今年は16番枠)を逆転可能と見たプリモシーンと、東京マイルに強いイメージがあるクロフネ産駒で、やはり絶好の2番枠を引いたビーチサンバを②着に固定した3連単を買ってみたのだが……。アーモンドアイの後塵を拝した馬たちともども、馬券はぐうの音も出ない完敗を喫してしまった。

レースを振り返ると、先手を奪ったトロワゼトワルが刻んだラップは34秒2-56秒7。アエロリットが先導役を務めた昨年(33秒7-56秒1)と比べても、遜色のないハイペースだった。五分のスタートを切ったアーモンドアイC.ルメール騎手は、馬の行く気に逆らわず3番手につけた(=外枠のハンディを消す好騎乗)松山弘平騎手サウンドキアラをすぐ前に見る形で好位を追走。一方、D.レーン騎手プリモシーンはスタートの反応がひと息で、リズムの悪い組み立てを余儀なくされたのが致命傷になった。

迎えた直線、持ったままの手応えで前との差を詰めたサウンドキアラだが、本格的に仕掛けるよりも早く、馬なりの手応えで背後に忍び寄ってきたライバルの加速にはまったく太刀打ちできなかった。軽く気合をつけられた程度でたちまち先頭へ抜け出したアーモンドアイがどんどんリードを開く。ルメール騎手は馬を追うかわりに何度も後続の動きを確認。それでいて4馬身差ものリードをつけてゴールに飛び込む大楽勝劇を演じた。

「メチャクチャ強かったです。今日はパドックからスタートまで落ち着いていて、彼女は大人になりましたね。いいスタートを切れたので、外からプレッシャーを受けることもなく、いい位置でリラックスして流れに乗れました。これなら負けません。最後はパワフルストライドを使ってくれました」

ルメール騎手のコメントを聞くまでもなく、まさに非の打ちどころのない完勝。最後の200mはほとんど流していたのに、勝ちタイムは昨年のレコードに0秒1差と迫る1分30秒6である。"ガチ追い"していたら確実にレコードが記録されていたはずで、29秒台のタイムも現実的と思えるほどの余力が、圧巻のパフォーマンスから伝わってきた。

余力といえば今年のドバイ遠征前、国枝栄調教師がこんな話をしていたことを思い出す。

「有馬記念では丸々1周、引っ掛かって走ってしまったから、さすがにレース後は背腰に疲れがあったけど、3、4歳時に比べると体質面は確実に強化されているよ」

先の「彼女は大人になりました」というコメントからも、いよいよ完成期に入ってきたということかもしれない。これで歴代最多タイの芝G1・7勝目。こちらの"記録更新"はまず不動と思える。

というわけでアーモンドアイの強さばかりが目立ったレースだが、サウンドキアラも非常に内容の濃い②着、ノームコアも昨年のレコードVが伊達ではなかったことを示した。相手が悪すぎただけで、ともに胸を張れる銀&銅メダル。上位は5歳馬が独占し、「5歳>4歳」の世代構図が浮かび上がったこととあわせ、覚えておきたい。




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