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速攻レースインプレッション

敗者復活戦を制して重賞5勝目、秋にG1制覇を目指す

文/出川塁


藤沢和雄厩舎といえば京王杯SC、というには他の大レースを勝ちすぎているのだが、京王杯SCといえば藤沢和雄厩舎ではあるかもしれない。97年にタイキブリザードで初制覇を飾ると、翌年もタイキシャトルで勝利。1年あけて00年と01年にはスティンガーで連覇を果たし、18年、19年にも再び連覇するなど、このレース歴代最多の8勝を挙げている。

3連覇が懸かる今年も2頭を送り出し、そのうち1頭は昨年の勝ち馬であるタワーオブロンドン。しかし、今年に入ってからはオーシャンSで③着に敗れ、高松宮記念では⑫着の大敗を喫してしまった。昨秋のセントウルSスプリンターズSを連勝したときはもはや短距離路線に敵なしかと思ったのだが、どうも調子が上がってこない。それでも、過去3戦負けなしの芝1400mにして昨年レコード勝ちを決めたレースで期待は大きく、1番人気の支持を集めることとなった。

この馬に限らず、今年の京王杯SCでは春のスプリント王決定戦で掲示板を載れなかった馬が上位人気を占めた。2番人気のダノンスマッシュ高松宮記念⑩着で、3番人気のグルーヴィットは同⑥着。4番人気のステルヴィオも同⑨着と、さながら敗者復活戦の様相を呈していた。

ゲートが開いて、まず飛び出したのは意外にもダノンスマッシュだった。テン乗りのレーン騎手を背に大外13番枠から飛び出すと、逃げ予想もあったセイウンコウセイをかわして一気にハナに立つ。デビュー以来18戦目にして初めて逃げの手に出たことで、後続馬たちを戸惑わせる効果もあったのか、テンの3Fは35秒2という遅めの入りとなった。

このペースなら追走は楽で、人気どころの馬たちも軒並み先行。ただし、タワーオブロンドンルメール騎手が手綱を絞り気味で、いまひとつ息が合っていないようにも見えた。そのまま馬順の大きな変動はなく、淡々とした流れのまま3、4コーナーを回って直線へ。

もっとも、直線の攻防も淡々としていたなあ、というのが率直な感想である。前に行った実力馬たちが十分な余力を残しているのだから、止まらないのも道理だろう。ダノンスマッシュレーン騎手は残り2F地点まで仕掛けを待っていたが、レース後に発表されたラップを見ると残り3F目と2F目はいずれも10秒9と同じ。つまり、残り3F目はほぼ馬なりのまま10秒台のラップを刻めるほど楽な展開だったわけで、最後の1Fも11秒3にまとめて逃げ切った。

これでダノンスマッシュ重賞5勝目。3歳秋の京阪杯以降に限ると、G1以外は[5.0.0.0]、G1では[0.0.1.3]という成績になった。レース後の安田隆行調教師によると、安田記念には向かわず、秋にセントウルSからスプリンターズSで念願のG1制覇を目指すようだ。

一方、タワーオブロンドンは直線でまったく伸びず⑧着に終わった。レコード勝ちを2回記録しているようにパンパンの良馬場が合うタイプで、ルメール騎手も馬場を敗因に挙げていた。もっとも、稍重とはいえダノンスマッシュの勝ち時計は1分19秒8とそこまで悪化していたわけではないし、昨年の北海道戦では洋芝の稍重で③②着と一定の結果は出していたことを思うと、そもそも本調子にないのかもしれない。

これによりタワーオブロンドン自身は連覇を、管理する藤沢和厩舎3連覇をそれぞれ逃すこととなった一方で、昨年の勝利ジョッキーであるレーン騎手連覇を達成している。

代わって、1馬身4分の1差の②着に入ったのはステルヴィオ。短距離路線に参入した今年、過去2戦は結果につながらかったものの、3戦目にしてひとつのメドをつけた。前半のペースが緩んだことで追走が楽になった面もあるのだろう。

③着のグルーヴィットは昨年の中京記念を勝ったあと、やや迷走していた印象もあったが、初ブリンカーだった前走の高松宮記念でも⑥着ながら最後にちょっといい脚を使っていた。今回は前が残る流れに上手く乗った展開に恵まれた部分もあるが、復調の兆しは見せた。なお、ロードカナロア産駒は①~③着独占は重賞では初めてのことである。




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