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速攻レースインプレッション

文句なしの世代最強馬、近い将来、ファンの前で走る日が来ることを願う

木南友輔(日刊スポーツ)


17年のサラブレッド生産頭数が7083頭、17年生まれで海外から輸入された外国産馬が179頭、合計7262頭の頂点に立ったのはコントレイルだった。父ディープインパクト以来の無敗2冠馬。父と同じ馬番から3馬身差の圧勝。文句なしの世代最強馬だ。

76年ぶりの無観客ダービーファンがいない。馬主牧場関係者もいない。メディアの数も制限された。記者クラブ加盟の新聞社は1社2名まで。自分はこの目でダービーを見させてもらった。朝、京王線の東府中駅で乗り換え、府中競馬正門前駅から競馬場へ。午前9時台、東府中駅で正門前行きに乗り換えると、例年ならギュウギュウ詰めのはずの先頭車両に乗客はたったの3人。府中競馬正門前駅で降りたのはわずか6人だった。無観客ダービーを実感した。静かな競馬場の周辺。レースでは騎手同士の掛け声が聞こえ、直線はステッキの乾いた打音が響いた。

コントレイルが単勝1.4倍の圧倒的な支持を集めたダービーは大方の予想どおり、ウインカーネリアンの先導で始まった。1000m通過は61秒7。8Rの古馬2勝クラス、青嵐賞が61秒4の通過だったことを思うと、ややスローか。大観衆がいればおそらくどよめいていたであろう、コントレイルの3番手。サリオスは中団やや後方に構えた。

好位にいくと見ていたビターエンダーはつまずいて後方から。コルテジアディープボンドノースヒルズグループの馬が好位を固め、ヴェルトライゼンデワーケアコントレイルをマークする形になった。向正面ではマイラプソディが一気の上昇を見せたが、他陣営は動揺せず。4コーナーで馬群は凝縮していった。池添騎手「3コーナーで取りたいポジションをコントレイルに取られた。ただ、手応えが違いすぎたので」と振り返り、ルメール騎手「3、4コーナーでコントレイルの後ろだったけど、手応えが違いすぎた」と振り返った。この時点で騎乗していた騎手たちの多くはコントレイルの勝利を感じ取ったのかもしれない。

唯一、迫ったのがダミアン・レーン騎乗サリオスだったが…。抜群の手応えで直線を向いたコントレイルサリオスが後ろから来るのを待っているかのように馬場の真ん中へ。坂を上がってからは突き放し、決定的な3馬身差をつけた。サリオスも上がり3ハロンはメンバー2位タイの脚を使っているが、勝ち馬に好位からそれ以上の脚を使われてはなすすべがない。

勝ちタイムは2分24秒1でコントレイルの上がり3ハロンは34秒0。8Rの青嵐賞、セントレオナードが2分24秒6で同34秒2。前日の3歳1勝クラス、アンティシペイトの勝ちタイムが2分24秒1。前週オークスのデアリングタクトが2分24秒4、上がりは33秒1だった。詳細な分析が必要だが、この数字だけ見ると、この世代の牡馬のレベルを問う声が必ず上がってくるだろう。

忘れずに覚えておきたいのは、2R終了後~3R発走前に一時的に降った強い雨。良馬場発表で時計はまずまず出ているのだが、競馬場のスタンド席にははっきりと水分を含んだ「ヌチャ、ヌチャ」という蹄音が聞こえてきた。最終レース後に話した某騎手は「昨日の馬場だったらコントレイルはもっと楽勝していたと思う」と私見を語ってくれた。

こうなると、秋以降、デアリングタクトとコントレイルの直接対決を見たくなるのが心情だ。桜花賞後は回復の度合いによってはダービー挑戦も噂されたほどの牝馬。コントレイルが秋に国内専念の場合、3冠を目指す可能性は高いが、その後、ジャパンCで古馬に挑むのか、そこでデアリングタクトとの牡牝頂上決戦が実現する日がくるのか、そんな秋を早くも想像してしまう。

皐月賞ダービーともに②着のサリオスも見事だった。コントレイルとともに3戦無敗の2歳G1制覇から年明けぶっつけで皐月賞を走り、ダービー。このローテを可能にした放牧先の育成牧場の調整、厩舎の最終仕上げ、いずれもたたえたい。

明日6月1日は英国や南アフリカで競馬再開が予定され、フランスでは仏2000ギニー1000ギニーがドーヴィル競馬場で行われる。2週目からはアイルランドも競馬再開予定。続々と世界の競馬が動き始める。無事にダービーを終えたという点で、今年は世界の競馬カレンダー、その先頭に日本の競馬がある。かつてないほど世界が注目していた日本ダービーだった。コントレイルが近い将来、ファンの前で走る日が来ることを願っている。




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