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速攻レースインプレッション

不安を払拭し、ハービンジャー産駒が待望の勝利

文/出川塁


過去5年の平均配当が馬連で8234円、3連単で19万3836円という荒れる重賞マーメイドS。牝馬限定のハンデG3という条件とあってはそれもむべなるかなというところだが、加えて、例年時計が遅いこともその一因となっていそうだ。

やはり過去5年で勝ち時計の平均を出すと1分59秒7。同様の数字を1週前に同条件で行なわれる鳴尾記念で出すと1分58秒5だから、1秒2も遅い。牡馬混合と牝馬限定の差もあるだろうが、それ以上に大きいのは馬場だろう。

気象庁によると近畿地方の梅雨入りは平年で6月7日。これは鳴尾記念マーメイドSのちょうど中間にあたる。今年は鳴尾記念当日も雨絡みとなって良発表ながらも2分0秒1と時計がかかったが、マーメイドSも2分1秒1で、1秒ほど遅い決着になる傾向は例年同様だった。

今の競馬では速い時計に対応できる馬でなければ出世しづらいし、馬柱も綺麗になるので人気に推されやすい。そうした馬が時計のかかるレースに出てくると苦戦するのは仕方ないだろうし、逆に普段は速い時計に対応しきれず人気を落とした馬が浮上すれば必然的に高配当を生む。

となればハービンジャーの出番、と言いたいところなのだが、このレースでは昨年まで[0.0.0.7]。パワーが活きる急坂阪神で、得意とするコーナー4つの芝2000mという舞台設定も絶好なのに、まさかの絶不調にあえいでいた。そのなかには18年に1番人気⑥着のレイホーロマンスや19年に2番人気⑥着のモーヴサファイアもいて、内容的にも褒められものではない。

そのため、1番人気のエアジーンを含む4頭出しとなった今年も、ハービンジャーマニアとしては不安が先立っていたのだが、しかし、とうとうやってくれた。そのエアジーンこそ⑤着どまりも、2番手を追走した7番人気の伏兵サマーセントが逃げた藤田菜七子騎手騎乗のナルハヤをかわして先頭ゴール。嬉しい重賞初制覇となった。

勝因としては位置取りに尽きる。スタートから押していって2番手の外。この日の阪神芝は午前中から、内を通った馬しかほとんど来ていなかった。ハービンジャー産駒は概して前に行くと案外だらしないのだが、サマーセントは珍しく先行力を備え、今年1月には逃げ切り勝ちを収めている。ちなみに、その北大路特別ハービンジャー産駒が上位3頭を独占し、①着サマーセントの勝ち時計は芝2000mで2分3秒1の低速決着。時計の遅いマーメイドSにはますます適したタイプでもあったし、もうひとつ付け加えれば軽ハンデの酒井学騎手はやっぱり恐い存在だ。

時計という点では、過去3戦中2勝が道悪だったエアジーンにもチャンスは十分あったはずだが、この馬は前半で余計な脚を使わないほうがいい典型的なハービンジャー産駒。1番人気の立場では冒険もしづらく、近走と同じく外を回って差してはきたものの届かなかった。

このレースで差し馬が上位に来るには、センテリュオのようにラチ沿いで息を潜めて直線に賭けるしかなかったのだろう。勝ち馬とは5キロのハンデ差もあって勝ち切るには至らなかったが、最後は際立った伸び脚を見せた。以下、③着には1枠1番のリュヌルージュ、④着には逃げ粘ったナルハヤと、掲示板に載ったのはエアジーンを除いてインコースを通った馬ばかりとなった。

この結果が大きく影響を及ぼしたと思われるのが、芝1400mの最終レースだ。どのジョッキーも前に行かないとチャンスなしとみたのだろう、前半3F34秒5、後半3F36秒1の前傾ラップとなって、カワキタアジンが大外を豪快に突き抜けて①着。以下、4角を12番手以降で回った馬が④着までを占める外差し決着となり、内を通った先行馬は全滅となった。よくあるパターンではあるのだが、これもまた人間が関わる競馬というゲームの面白さである。


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