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速攻レースインプレッション

明白な力差があったと考えるのが妥当な5馬身差V

文/出川塁


今年のラジオNIKKEI賞はオープンで連対実績を持つ出走馬がおらず、トップハンデでも54キロという珍しい一戦となった。過去10年、牡馬の54キロは[6.2.2.32]、勝率14.3%、単勝回収率121%とアタマで狙って面白いハンデなのだが、それはよりハンデを背負った馬がいる状況におけるもので、トップハンデとなると話が違ってくると考えるべきだろう。

データも興味深い傾向が出ていて、55キロは[2.5.2.9]と、詰めが甘いものの複勝率50.0%、複勝回収率153%と安定。しかし、56キロ以上は[2.1.1.20]、複勝率16.7%、複勝回収率33%と冴えない。56キロ以上を背負う馬は実績上位で人気にもなりやすいのだが、3歳春の激戦後で余力が残っていない恐れがある。結果、54キロと55キロの組が主力となり、1キロ差を活かして前者が勝ち切る構図となっている。

そのほか、53キロは[0.1.5.33]、複勝率15.4%、複勝回収率141%。好走率が高いとはいえず、馬券になっても③着までという傾向だが、ヒモ穴が多く要注意。しかし、52キロ以下は10走して好走なしとなっている。以上はすべて牡馬に関するデータで、牝馬は全部合わせて[0.1.0.16]という成績。唯一の②着好走は53キロで、これは牡馬に換算すれば55キロ相当となり、やはり②着になりがちなハンデのようだ。

以上のデータを、トップハンデが54キロの今年にどう応用するか。それが2020年のラジオNIKKEI賞におけるデータ予想の肝とも考えられた。55キロに対して①着を獲るという点で有利だった54キロはそのアドバンテージを失い、53キロ以下の馬に追われるような立場となった。これがどう影響するか。

結果からいえば、53キロのバビットが①着、54キロのパンサラッサが②着で、52キロのディープキングが③着。過去10年のデータを再掲しておくと「54キロが①着を獲りやすく、55キロは②着、53キロは③着が多い」というものだったから、55キロ以上の馬がいなくなったぶん、昨年までのハンデ傾向からそれぞれ1キロずつスライドしたような結果となった。

もっとも、勝ったバビットは5馬身差の圧勝。人気を背負ったパラスアテナ(牝馬の52キロで1番人気④着)、ルリアン(54キロで3番人気⑤着)、グレイトオーサー(54キロで2番人気⑩着)や、実際に②着に入ったパンサラッサに対して、1キロ差だけで5馬身も突き放すのは不可能だ。逃げて上がり1位を記録したとなれば、この条件、この日の馬場では明白な力差があったと考えるのが妥当だ。

バビットはデビュー2戦こそいずれも②着と勝ち切れなかったが、3戦目の未勝利戦から一気の3連勝で重賞勝ち馬の仲間入り。父ナカヤマフェスタという血統も嬉しいところだ。一時は種付けが激減して活動を休止した時期もあっただけに、18年日経賞のガンコに続く重賞2勝目は大きな意味を持つ。

このガンコとバビットには父だけなく、配合面での共通点もある。ガンコの母父Singspielに入るGlorious Songバビット母父タイキシャトルに入るDevil's Bagは全姉弟の関係にあたり、この両者を通じてHaloのクロスが発生している。ガンコは4角先頭、バビットは逃げ切って重賞制覇という脚質の共通項もあり、成功パターンが明確というのは種牡馬として売りになる。

そんななかで残念だったのが、騎乗予定だった団野大成騎手が同日7Rの落馬負傷によって内田博幸騎手へと乗り替わりとなったことだ。机上の空論かもしれないが、5馬身差ならば騎乗さえできれば勝っていた可能性は高かったはず。直前のCBC賞で同じく2年目の斎藤新騎手が重賞初勝利を決めていただけに、ますます複雑な心境だろう。その後、骨盤骨折の診断が下ったと報じられ、復帰には今しばらくの時間を要すことになりそうだが、この悔しさを胸に復帰の折りにはますますの活躍を期待したい。


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