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速攻レースインプレッション

気合の逃走劇が机上の計算を覆した

文/編集部(M)


今年のアイビスサマーダッシュには、昨年の勝ち馬ライオンボスと一昨年の勝ち馬ダイメイプリンセスという2頭が二度目の制覇を目指して出走した。

ライオンボスは直線競馬が[4.1.0.0]で、敗れたのは斤量58kgを背負っていた昨秋のルミエールオータムダッシュ(②着)だけ。ダイメイプリンセスはこのコースが[3.0.1.1]で、馬券圏外となったのは1枠2番だった昨年のアイビスサマーダッシュ(⑥着)だけで、抜群の適性を誇っていたわけだが、ともに二度目の制覇は成らなかった。ダイメイプリンセスは⑤着、ライオンボスはアタマ差の②着までだった。

過去のアイビスサマーダッシュでは、前年以前の優勝馬が出走したケースが14回あり、連覇した馬が3頭出ている。04年カルストンライトオ、09年カノヤザクラ、16年ベルカントという3頭だが、このうちカルストンライトオは三連覇を目指して出走した05年が④着で、カノヤザクラも三連覇を目指した10年に⑩着に敗れている(カノヤザクラは故障を発症した)。

連覇を成し遂げた3頭は、斤量が56kg(04年カルストンライトオ)と55kg(09年カノヤザクラ、16年ベルカント)で、三連覇が成らなかった時の2頭は59kg(05年カルストンライトオ)と57kg(10年カノヤザクラ)。これまでに斤量57kg以上でアイビスサマーダッシュを制した馬はおらず、過去19回の優勝馬は、7頭の牡馬が斤量56kg以下で、12頭の牝馬が斤量55kg以下だった。

重斤量はこれまで積み上げてきた実績の証ではあるのだが、究極のスピード勝負になりやすいアイビスサマーダッシュでは、他馬よりも重い斤量を背負うと微妙にこたえる面があるのだろう。今回のライオンボスは他馬よりも重い斤量57kgで、ダイメイプリンセスは牝馬で56kgを背負っていたことも影響したのかもしれない。

優勝したジョーカナチャンはこれまでOP未勝利で、斤量54kgだった。しかし、直線競馬では[2.1.0.1]という成績で、半年ぶりで2枠4番だった昨秋のルミエールオータムダッシュ(⑩着)以外は連対圏を外していなかった。前走の韋駄天Sも②着とはいえ、ライオンボスとアタマ差の接戦だった。

その韋駄天Sは、ジョーカナチャン7枠14番でのハンデ53kgで、ライオンボス5枠10番でのハンデ57.5kgだったから、机上の計算では、今回は、7枠13番斤量57kgとなるライオンボスの方が5枠9番斤量54kgとなるジョーカナチャンよりも上位と考えられた。しかし、計算通りにことが運ばないのが競馬で、ハナを切ったのがジョーカナチャン、2番手追走がライオンボスという韋駄天Sの時と同じ隊列になったが、今回はジョーカナチャンが最後まで先頭を譲らずに押し切った。

いくつかあったうちのひとつのポイントが斤量だったと思うが、それともうひとつ、序盤の位置取りも勝敗を分けた要因かと思われる。

ジョーカナチャンの鞍上の菱田騎手は、レース後、「枠順を見た時は、正直、もう少し外の方が良かったと思った」とコメントしていたが、それでも5枠9番から二の脚を使い、ハナを奪い切った。外枠の馬がスムーズに先頭に立ったケースとは違い、傍から見ていても、気合の入った逃走劇に映った。ハナを奪い切る、というこの気合が馬自身にも伝わって、最後の粘りにつながったのではないだろうか。

過去の優勝馬とジョーカナチャンを比較すると、馬格面で異質の存在と言える。直線競馬はダート短距離と似た傾向があり、アイビスサマーダッシュも馬格のある馬がよく勝っている。昨年までの優勝馬19頭のうち15頭が馬体重480kg以上で、18頭が464kg以上だった。460kg以下の馬は[1.2.1.48]で、優勝したのは斤量51kgだった06年のサチノスイーティー(436kg)だけ。今回のジョーカナチャンは460kgで、歴代2番目に小さな優勝馬となった。

小さければ、それだけ歩数は多いのが普通で、ジョーカナチャンは1000mをかなりの回転数を使って走りきったことが想像できる。460kgという馬体重は、今回の18頭の中で、ラブカンプー(442kg)に次いで2番目の小ささだった。それでいていちばん大きかったライオンボス(538kg)を抑え切ったのだから、競馬は大きさだけじゃないということも痛感させられた。


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