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速攻レースインプレッション

極端に渋った馬場で、ストームキャットの血が全開

文/編集部(T)


明け方から降り続いた雨により、この日の札幌芝は終始重馬場での施行に。札幌の芝コースの運用が開始された1990年以降、不良馬場でレースが行われたことはまだなく、重馬場も17年8月12日以来3年ぶりとなった。

特に重賞が重馬場で行われるのはそれ以上のレアケースで、99年札幌3歳S(当時)の1回だけ。その時は8番人気のマイネルコンドルが勝利、12番人気のジョウテンブレーヴが②着に入り、馬連2万8450円(馬単、3連複、3連単は未発売)の大荒れになっている。

今回はそれ以来、21年ぶりとなる重馬場での芝重賞。“何かが起こりそう"な感じがプンプン漂う中でレースを迎えることになった。

ただ、1番人気に推されたダイアトニックは稍重のスワンSを制し、重馬場の高松宮記念で致命的ともいえる不利を受けながら③着に入っている。斤量58kgも前走の函館スプリントS(①着)で克服済みとあって、そこまでマイナスとも思いづらかったが……。

レースは逃げたクールティアラを勝負所でアスタールビーが交わし、その外から進出したライトオンキューが直線で一旦先頭へ。そのまま押し切りを図るライトオンキューに対し、後方で脚を溜めていたエイティーンガールが一気に差し切り、1馬身4分の1差を付けてゴールに飛び込んだ。

上位に入った馬の馬番は、①着14番、②着12番、③着15番、④着13番、⑤着16番だから、馬番12番より外枠の5頭が掲示板内を占める結果に。内枠、特に自分で進路を選びづらい差し馬にとって、それだけ辛い馬場だったということだろう。

そんな中、今回はエイティーンガールに騎乗した坂井瑠星騎手の落ち着いた騎乗が光った。前走のUHB賞は中団で運んで⑦着に敗れたが、今回は一転して後方待機。前走で位置を取ったことで今回は行きっぷりが良化したとのことで、それを存分に活かす腹を括った騎乗はさすがといえるだろう。

坂井瑠騎手はこれがJRA重賞4勝目となったが、その人気は12番人気(19年フィリーズレビュー)、11番人気(19年京都大賞典)、8番人気(19年中日新聞杯)、そして今回が5番人気。そろそろ“令和の穴男"襲名も近いかもしれない?

また、上位に入った馬の血統を見ると、勝ったエイティーンガールヨハネスブルグ産駒、②着ライトオンキューシャマーダル産駒で、ともにストームキャットに繋がる。そして、ヨハネスブルグ産駒はここまで芝重賞を5勝しているが、そのうち3勝が重馬場でのものとなっている。

ストームキャットの系統はアメリカのダートを主戦場とする血統だけに、芝ならこのような力の要る馬場で能力を発揮しやすいはず。この系統はアメリカを中心に現在でも隆盛を誇っていて、日本でも来年産駒デビューのドレフォン、今年から供用が開始されたブリックスアンドモルタルなどがスタンバイしている。まだまだ使えそうな傾向だから、覚えておきたい。

一方、ダイアトニックはまずまずのスタートを切って中団に付けたが、前半から武豊騎手が促しながらの追走で、いかにも手応えが良くない。最内枠とあって外にも出せず、勝負所で早くもムチが入る形になり、ブービー負けを喫してしまった。

ダイアトニックが勝った前走の函館スプリントSの決着時計が1分7秒5、重馬場だった高松宮記念1分8秒7、今回が1分10秒6で、同じ重馬場でも1秒9違う。これだけ状態が違うと、どちらでも結果を残すのは至難の業ということなのだろう。

今回は4頭出走していたロードカナロア産駒がすべて馬券圏外に敗れたが、同産駒は芝重賞が良馬場で[24.9.7.114](複勝率26.0%)稍重で[6.7.1.16](同46.7%)なのに対し、重~不良馬場だと[0.0.1.15](同6.3%)となった。サンプル数が多くないだけに、これからは渋った馬場でも結果を残す産駒が出てくるのだろうが、今回敗れた馬たちも、次が良馬場に替われば見直したい。


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