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速攻レースインプレッション

今年も「将来が楽しみな馬」が勝利を手にした

文/浅田知広


2歳世代にとって最初の芝1800m重賞となる札幌2歳S。過去には後のダービー馬・ジャングルポケットやロジユニヴァース、ジャパンCを制するアドマイヤムーンなどが、ここで重賞初制覇を飾ってきた。しかし、2013年の阪神JF・レッドリヴェールを最後に、札幌2歳S優勝馬によるG1制覇は途絶えている。

とはいえ、先のある馬ばかりが揃う2歳重賞。レース前、あるいは終了直後から「これはちょっと……」なんてことは(辛口評価をしない限りは)なく、「将来が楽しみな馬」が揃うレースなのは間違いない。今年も将来のG1制覇を目指す14頭が顔を揃えた。

単勝3.9倍で1番人気に支持されたのはバスラットレオン。ハナを切った新馬戦はラスト3ハロン11秒4-11秒0-11秒2と、いくら開幕週かつスローペースだったとはいえ、ちょっと札幌とは思えない上がり33秒6を楽々と出して快勝。これが最終週の重賞ではどうなるか、といったところだ。

続く2番人気はソダシ。白毛ということでも注目された馬だが、その内容も立派なもの。2番手から4コーナーで先頭をとらえると、迫力あるフットワークで2馬身半差の快勝。こちらは函館でラスト2ハロン11秒7-11秒6を差し切った。さて白毛だからその脚さばきが目立つのか、それとも毛色関係なしに大物感たっぷりなのか。

そして3番人気は新種牡馬リオンディーズ(その父キングカメハメハ)産駒のピンクカメハメハ。こちらの新馬戦は、スローで逃げていたところに向正面で②着馬が交わしにきたため、ロングスパート勝負になっての4馬身差圧勝だった。

さてこの3頭、どういう並びになるかという注目のスタートは、なんときっちり1~3番手を確保した。そこから最内枠のピンクカメハメハが先手を奪い、4枠6番バスラットレオンが2番手。外め13番のソダシはゲートから1コーナーまでが近いコース形態もあり、11番ウイングリュックに先を譲って4番手の追走となった。

ピンクカメハメハは、序盤スローだった初戦とは一転して速いペースの逃げを打ち、2ハロン目に11秒0を記録するなど前半600m通過は35秒0。後続からすれば、前を無視もできないが、積極的には追いかけたくもないような時計に思える。

しかし実際は、ほぼ最後方まで差のない展開となった。中でも、2番手につけたバスラットレオンは向正面で早くも前へと並びかけていき、残り1200mから12秒1の3連続と息の入るところがない流れ。加えて3コーナーで大外からソダシまでやってきたとなると、逃げたピンクカメハメハはさすがに苦しい。3~4コーナー中間でずるずると後退し、まず3強から1頭脱落となってしまった。

そして、残る2頭の勝負も意外にあっさりと決着がついた。ピンクカメハメハが後退した3コーナー過ぎ、まだ外で楽な手応えだったソダシに対し、バスラットレオンは激しく手が動きはじめたのだ。

4コーナー手前、ソダシ吉田隼人騎手も仕掛けにかかったが、これは対バスラットレオン半分、外からまくってきたユーバーレーベンへの対応半分といったところか。コーナーワークでバスラットレオンも盛り返したものの、そこから先頭を奪うまでの余力はなし。3強から1頭残ったソダシが外から迫り来るユーバーレーベンを抑え、2歳レコードタイムでタイトルを手中にした。

ついに、あるいはようやくと言うべきか。サンデーサイレンスが大種牡馬の地位を築きつつあった1996年、その産駒に白毛馬(後のシラユキヒメ)が誕生としたというニュースを目にしたときには、白毛馬による中央競馬初勝利はもちろんのこと、重賞、あるいはG1制覇まで期待した人もいたことだろう。しかし、そのシラユキヒメがデビューにこぎつけたのは5歳時の2001年。③着1回こそあったものの、9戦未勝利で現役を退いた。

こうして競走馬としてはファンの「勝手な」期待を裏切る形になったシラユキヒメだが、繁殖馬になって名誉挽回。産駒7頭が中央競馬で勝利を挙げ、3頭目の産駒ユキチャン関東オークス(川崎・Jpn2)などを制する活躍をみせた。さらに昨年には、孫にあたるハヤヤッコがレパードSJRA重賞制覇(世界初の白毛馬による国際重賞競走制覇)。そして今回、ソダシが芝の重賞をも手にするに至ったのだ。

今のところは切れよりは息の長い末脚が持ち味との評価で、その通りであれば今回は厳しい展開が味方した面もあるだろう。今後、果たして軽い芝でどんな走りを見せてくれるのか。競馬ファンならずとも注目する存在となりそうなだけに、ぜひ大舞台に有力馬として駒を進めるところまではいってほしいものだ。

また、仮に軽い芝が向かなかったとしても、そこで悪くない結果さえ出せれば、海外のパワーを要する芝で……という別の期待も広がってくる。いずれにせよ、今年も「将来が楽しみな馬」が勝利を手にした札幌2歳Sだったと言えるだろう。


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