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速攻レースインプレッション

人馬ともに悲願達成の準備完了、いざ本番へ

文/出川塁


「中京芝1200mのG2」といえばCBC賞を思い出す。06年からG3に格付けが戻ったこのレースが、最後にG2で行なわれたのは05年の年末のこと。「中京芝1200mのG2」が開催されるのもそれ以来になるのかなと思いきや、調べてみると翌年にセントウルSが行なわれていた。

40歳を過ぎて色々と思い出せなくなってきただが、言われれば「あったあった」となるぐらいの記憶力はまだ残っている(はず)。9月の雨が降りしきるなかで06年セントウルSを勝ったシーイズトウショウは、同年新設されたサマースプリントシリーズの初代優勝馬に。ちなみに、今年は同馬の3番仔であるトウショウピストが出ており(⑨着)、「母仔2代で中京開催のセントウルSに出走」という珍記録を達成したことになる。

シーイズトウショウから3馬身差の②着に入ったのがテイクオーバーターゲットだ。次走のスプリンターズSなどG1を7勝してオーストラリアの殿堂入りを果たすことになる名短距離馬は、膝に故障を抱えていたこともあって日本円にしてわずか11万円で取引されたエピソードでも知られている。

さらには盛岡のネイティヴハートが8歳にして③着に入っていたり、逃げ馬として鳴らしたギャラントアローがすっかり衰えて先行もできずに沈んでいたりと、結果を眺めているだけでも楽しいものである。ただ、14年前の「遅攻インプレ」をこれ以上続けると怒られそうなのでここまでにしよう。

いずれにせよ、中京改修後に芝1200mでG2が行なわれるのは今年のセントウルSが初めてのことで、過去のレース傾向は参考にしづらい。重賞5勝のダノンスマッシュが1番人気、高松宮記念の勝ち馬ミスターメロディが2番人気、1200m重賞2勝のビアンフェが3番人気という並びになったのも、実績を重視する予想をしたファンが多かったからかもしれない。

レースを引っ張ったのは、もう1頭のG1馬であるセイウンコウセイ。それに大外枠からラブカンプーもついていく。スタート直後は先行態勢をとったビアンフェは無理せず3番手に控えたため、先の2頭が引き離す展開になった。しかし、セイウンコウセイは最下位の着、ラブカンプーもひとつ前の着という結果という結果を見ると、この2頭はちょっと飛ばしすぎたと言わざるをえない。

さりとて差し・追い込み馬も届かず、4角通過順が10番手以下だった馬での⑦着のクリノガウディーが最先着。4角3番手から9番手までの馬が掲示板を占めた。つまり、飛ばした2頭を除き、ある程度の位置につけた馬に有利な流れとなり、なかでもビアンフェの外4番手につけたダノンスマッシュにとっては願ってもないレース展開となった。

馬群をさばく必要もなく、直線を向いてまもなく先頭に立つとミスターメロディを寄せつけず、外から追い込んでくるメイショウグロッケにも1馬身差の余裕をもってゴール板を通過した。ちょうどテニスの大坂なおみ選手全米オープンを制覇した直後だけに、見事なスマッシュを決めたといったところか。

大坂選手と違うのは、これがまだ前哨戦ということ。全米の前哨戦は怪我で決勝を棄権した大坂選手だが、そこで無理をしなかったことがG1、ではなく四大大会制覇につながった面もある。

翻ってダノンスマッシュは、前哨戦ではほぼ完璧な競馬をするのにG1になるとなぜか力を発揮できない。これまで国内の1200m重賞では、G2・G3の[5.1.0.0]に対し、G1では[0.0.1.2]。それも1番人気で④③着、3番人気で⑩着と人気を下回ってしまっている。このセントウルSは苦労の少ないレース展開になったが、これが激戦必至のG1に向けて活きるかというと別の話になるかもしれない。

ただ、G1に賭ける強い思いはダノンスマッシュだけでなく、安田記念からコンビを組む三浦皇成騎手も同じかそれ以上に抱いていることだろう。14年の全日本2歳優駿で交流G1勝ちはあるものの、中央G1にはいまだ手が届いていない。16年の大きな落馬負傷を克服し、昨年は自身初の年間100勝を達成した。人馬ともに悲願を達成する準備はできている。あとは幸運の女神の前髪をつかみとることはできるか。


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