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速攻レースインプレッション

「同時期・同コース」ながらこの連覇達成は称賛に値する

文/浅田知広


毎年同時期・同コースの似たような馬場状態(雨さえなければ)で行われ、同じような力量のメンバーで争われることが多い重賞競走。前年の優勝馬、あるいは好走馬は、単なるコース実績馬以上に注目されることも少なくない。

また、レースが特徴的であればあるほど、その傾向は強いものだ。たとえば中山大障害グランドジャンプ、平地ならステイヤーズSあたりなら、他のレースで凡走が続いていたとしても「この条件なら」と人気にはなりやすい。京成杯AHステイヤーズSほどではないにしても、「秋競馬開幕週」という特徴を持つレースだ。

ということで。京成杯AHの登録馬が発表されたときには、昨年レコードで制したトロワゼトワルが人気になるのではないかと想像したが、僅差とはいえ4番人気にとどまった。前日まで雨があったとか、昨年よりハンデが3キロ増えたとか、あるいは同型との兼ね合いがどうかとか。確かに疑ってかかりたくなる材料も散在した。

そのトロワゼトワルを抑えて上位人気に支持されたのは、アンドラステルフトシュトローム、そしてスマイルカナの3頭。アンドラステ関屋記念トロワゼトワルの次位③着だったが、これまで馬券圏外は1度きり(④着)の安定株。ルメール騎手への手替わりも買われる材料になっただろう。

続く3歳馬ルフトシュトロームは4戦3勝。2走前にはこのコースでG2・ニュージーランドTを制している。そして同じく3歳スマイルカナはこのコース2戦2勝で年頭にフェアリーSを制覇。前走・阪神マイルの米子Sは初の古馬相手ながら快勝を収めていた。

こうして他馬の成績をみてみると、トロワゼトワルが4番目でも不思議なし。「どこからでも入れる」上位人気の面々で、それが1番人気のアンドラステがぎりぎり4倍を切る3.9倍、4番人気のトロワゼトワルで7.2倍という単勝オッズに現れたと言えるだろう。

枠入りに長い時間を要したシゲルピンクダイヤが、ゲートから開放されるとまず好ダッシュ。すぐにこれを交わしてボンセルヴィーソジャンダルムと、スタート直後は予想外の展開になったが、200mほどで大外からスマイルカナが先頭へ。その後からじわっとトロワゼトワルが2番手にあがり、前はスマイルカナ-トロワゼトワルの順で落ち着いた。

ボンセルヴィーソジャンダルム、そしてシゲルピンクダイヤが3~5番手。1番人気のアンドラステは好位から中団まで控え、ルフトシュトロームはその直後10番手あたりからの競馬になった。

前半の600m通過は昨年より1秒7遅い35秒0。それにも関わらずスマイルカナのリードは2馬身。続くトロワゼトワルも向正面では前も後ろもやや離れた単独2番手と、これは前2頭に楽な展開だ。

その一方で、内めで身動きが取れなくなってしまったのが、1、2番人気のアンドラステルフトシュトロームだった。後に発表された通過順はアンドラステが「6-9-13」、ルフトシュトロームは「9-12-13」。外からまくり気味に追撃する馬も出る中、内で包まれてずるずる後退。4コーナーでほぼ争覇圏外に落ちてしまったのだ。

これを尻目にすいすいと前を行く2頭。直線に向くと、スマイルカナトロワゼトワルが襲いかかった。そして、その外からはボンセルヴィーソが迫り、この3頭がほぼ1馬身間隔。4番手以下を少し引き離して残り200mを通過し、優勝争いはこの3頭に絞られた。

ゴールが近づくにつれ、それぞれ1馬身あった間隔が少しずつ少しずつ、4分の3馬身、半馬身、そしてクビと詰まって残り50m。この差がアタマからハナになり、さあひっくり返るかどうか、というところで3頭鼻面を並べてゴールイン。ゴール板があとわずかに手前ならスマイルカナ、もう少し後ろならボンセルヴィーソかという態勢だったが、この際どい勝負をモノにしたのは真ん中のトロワゼトワル。同じ良馬場ながら、昨年より3秒6も遅い1分33秒9で連覇を飾ったのだった。

ハナ+ハナ差で、②着はスマイルカナが確保し、③着にはボンセルヴィーソ。やや離れた④着にジャンダルム、そして⑤着は渋太く盛り返したシゲルピンクダイヤと、序盤から前にいた馬ばかりが上位を占めたこの一戦。トロワゼトワルに展開が向いたのは確かだが、それは上位馬みな同じ。「同時期・同コース」ながら前年とは違った部分もかなりある中での連覇達成、これは素直に称賛していいだろう。

これまでのトロワゼトワルは夏場に良績が多かった馬。サマーマイルシリーズを制してここでひと息入れるのか、それとも続戦か。個性派だけに秋の大舞台でもその姿をみたいところだ。気性面の成長はありそうなだけに、走れる時期にも幅も出るような変化があればおもしろいが、さてどうなるだろうか。

②着のスマイルカナは逆にここが休養明け、こちらは当然「次」がある。しかし、それが果たしてどこになるのか。速力からすればスプリンターズSもあり、もちろん3歳牝馬同士の秋華賞もあり。どこを使うにしても「その次」にはマイルCSを狙えるステップ、その選択が気になるところだ。

そして③着のボンセルヴィーソはこれで重賞では[0.3.5.1]複勝率88.9%、今年は3度のマイル重賞すべてふた桁人気で③②③着。2~3歳時とはいえG1で③着2回の実績馬でもあり、今後も人気がなければ積極的に狙っていきたい。


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