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速攻レースインプレッション

ファンの期待に応える勝利、いざ史上初の父子無敗三冠制覇へ

文/出川塁


土曜の発売開始直後から1.1倍をつけていたコントレイルの単勝オッズは、深夜から日曜朝にかけて1.2倍に。そのあとは再び1.1倍で動かず、発走の30分前あたりから1.2倍との間を行ったり来たりになったが、最終的には1.1倍に落ち着いた。

父のディープインパクトも05年神戸新聞杯を勝ったときの単勝オッズが1.1倍だった。そして、相手関係も15年前と似たところがある。離れた2番人気に長期休養明けの馬(05年ストーミーカフェ、20年グランデマーレ)が推されたのは、未知の魅力に期待がかけられたのだろう。3番人気に続いたのが春の二冠で③着に入った経験のある馬(05年アドマイヤジャパン、20年ヴェルトライゼンデ)という点も一緒だ。

コントレイルこれほどの支持を集めるのも無理はない。なにせ過去10年、神戸新聞杯におけるダービー馬は[4.1.0.0]。唯一勝てなかったのは10年のエイシンフラッシュで、負けた相手がダービーでタイム差なしだったローズキングダムなら納得もできる。翻ってコントレイルダービーで3馬身の明確な着差をつけて勝っているのだから、不利なく回ってくればアタマは堅いと考えるのが普通だろう。

ただし、引いたのが1枠2番。不利なく走るという意味では、お世辞にも歓迎とは言えない枠だ。実際、スタート直後の福永祐一騎手からは、外に持ち出したいという意図が伝わってきたのだが、やはり2番枠でそれは容易ではない。スタートから出していくか、思い切り後ろに下げればできたかもしれないが、次に控える3000mを思えばリスクが高い。出していって引っ掛かる癖がついては元も子もないし、菊花賞は簡単に後方一気が決まるようなレースでもない。

結局、最初のホームストレッチを抜けて1コーナーに入るあたりでは、馬群の中でレースを進める覚悟を決めたように見えた。前半1000m通過は59秒9。比較的流れたほうだが馬群はそれほど縦長にはならず、一団となって3コーナーへと入っていく。コントレイルは先行集団を伺う7、8番手で、依然として馬群の真っ只中で4コーナーを回っていく。

ここで正直に書かなくてはならない。この速攻インプレを盛り上げるために、枠の不安をいささか大げさに書いてきたことを。最後の直線に入ってまもなく、コントレイルから買った多くのファンは安堵したことだろう。前を行くグランデマーレディープボンドの間にスペースができると、大本命馬がまったく楽な手応えで抜け出し、急坂を上がったところで先頭へ。福永騎手はステッキを振るったが見せムチにとどまり、残り1Fはほとんど惰性で走って2馬身差の楽勝だった。これで6戦6勝とし、1ヵ月後には父に続く史上3頭目の無敗の三冠達成に挑むこととなる。

ただ、②③着に入った2頭は結構不気味な存在だ。4角16番手から外を回って②着まで突っ込んだヴェルトライゼンデは上がり1位を記録。これにより、コントレイルの連続上がり1位は5戦でストップすることになった。ダービー後に骨折が判明し、当初予定していたセントライト記念を熱発で回避するなど順調さを欠くなかでもこれだけの脚を見せたのはさすがの地力だ。

昨年の菊花賞馬ワールドプレミアの半弟という血統に加え、大舞台に強い池添謙一騎手が鞍上を務め、菊花賞2勝の池江泰寿厩舎の所属とプロフィールは申し分ない。激走した反動は気になるところだが、本来は叩き良化型。状態を上げて本番に臨めるようなら、三冠阻止の筆頭候補になるかもしれない。

③着に1勝クラス②着のロバートソンキーが食い込んだのも驚いた。父ルーラーシップの代表産駒はもちろん17年菊花賞馬のキセキ。それ以上に見逃せないのが、祖母がトウカイテイオーの全妹ということだ。ご存知の通り、トウカイテイオー父シンボリルドルフに続く無敗の二冠を達成したものの、ダービー直後に故障が判明して菊花賞には出走も叶わなかった。そうした血統の馬が、史上初の父子無敗三冠が懸かる舞台に居合わせるというのは、ありふれた言い方だが競馬のドラマに感じ入る。


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