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速攻レースインプレッション

ケタ違いの末脚、あきれるほどの強さだった

文/後藤正俊(ターフライター)


「電撃の6ハロン」スプリンターズS。かつてのロードカナロアのような絶対的な存在がいないだけに、馬場状態が勝負の分かれ目になると考えているファンも多く、秋開催から発表されるようになった「クッション値」に注目が集まっていた。中山競馬場のクッション値は2日(金)10.7、3日(土)10.8、そして当日4日(日)は10.4。いずれも「やや硬め」で推移していたが、この開催は継続して「やや硬め」が続いていたにも拘わらずタイムが出ていなかった。

前日の勝浦特別(2勝クラス)は1分8秒8。スプリンターズSの勝ちタイムは1分8秒前後になることが予想され、軽い馬場を得意にしているディープインパクト産駒グランアレグリアは、当初は1倍台の単勝人気も予想されていたが、最終的には2.2倍までオッズが上昇。モズスーパーフレア3.9倍、ダノンスマッシュ5.1倍との差が縮まり、3強の様相を呈していた。

スタートはビアンフェのゲート入りに手こずり6分の遅れが生じ、大きな出遅れはなかったものの各馬の気合乗りなどには多少の影響があったかもしれない。ややバラついたスタートになり、位置取り争いが激しくなった。

内枠から快速モズスーパーフレアが逃げを主張したが、外からビアンフェが果敢に競り掛けて、前半3ハロンは32秒8。昨年モズスーパーフレアが逃げた時と同じラップだが、昨年との馬場差を考えると予想以上のハイペースになった。

この前のめりな流れにグランアレグリアは戸惑いを見せた。春に高松宮記念を経験しているものの、当時の前半3ハロンは34秒2。しかも直線の長い中京コースだけに後方追走でも焦る必要はなかったが、今回は先行馬が有利な中山1200m。スタート直後から後方2番手の位置取りとなり、ルメール騎手の手も動いていた。

2頭が後続を突き放したまま直線に入り、ビアンフェが脱落してモズスーパーフレアが先頭に立ったが、中山1200m戦で5戦3勝②着2回の同馬も、さすがにこのペースでは苦しかった。残り100mでミスターメロディに交わされ、その外から好位追走のダノンスマッシュが満を持して交わしにかかる。そのままダノンスマッシュが押し切るかと思われたところに、大外から飛んできたのがグランアレグリアだった。

スタート直後のもたつきから立て直して流れには乗ったものの、残り2ハロン標識でもまだ後方2番手。だがそこからの脚はまさにケタ違い。馬群を横目に、ダノンスマッシュも並ぶ間もなく交わし、あっという間に2馬身突き抜けてしまった。ルメール騎手の右手はゴール板前からもう上がっていた。スプリンターズSでの2馬身差以上の勝利は、2006年テイクオーバーターゲットの2馬身半差以来。日本馬では2004年カルストンライトオの4馬身差以来だった。これがあのアーモンドアイを2馬身半突き放した脚。あきれるほどの強さだった。

勝ちタイムは稍重だった一昨年のファインニードルと同じ1分8秒3だったが、中団から差し切った同馬の上がり3ハロンが34秒5だったのに対し、グランアレグリア33秒6ダノンスマッシュを1秒4、モズスーパーフレアを2秒9も上回っていた。もし父ディープインパクトが現役時にスプリンターズSに出走していたら、きっとこんな末脚を見せてくれたに違いないと楽しい想像をさせてもらえた。

ディープインパクト産駒のスプリントG1制覇はこれが初めて。天皇賞・春を勝って種牡馬となった馬の産駒がスプリントG1を制したのもグレード制導入後初めてのことで、父の経歴にまた新たなページを作ったことになるが、このレースぶりを見ていてもグランアレグリアにとって1200mが最適距離ではないことが明らか。次走はおそらくマイルCSなのだろうが、ファンの気持からすると天皇賞・秋でアーモンドアイ、クロノジェネシスと中距離最強牝馬決定戦を見てみたい気がする。

②着ダノンスマッシュのスタートでのもたつきは想定内で、考えられる最高のレースを見せた。今回ばかりは相手が悪かったとしか言いようがない。これまではポカを見せることもあったが、今日のような落ち着いたレースができれば、短距離G1制覇も時間の問題だろう。

モズスーパーフレアは⑩着。逃げなければ持ち味が発揮できないタイプだけに、今回のように徹底マークされると厳しくなる。ややペースが緩む重馬場が合うのかもしれない。驚かされたのは③着アウィルアウェイ。道中はグランアレグリアよりさらに後ろの最後方。そこからグランアレグリアの外を回って33秒7の末脚を爆発させた。桜花賞以降は1200m戦を専門に使われているが、インディチャンプの半妹で父がジャスタウェイなのだから、マイル戦でどんなレースをするのかも見てみたい。


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