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速攻レースインプレッション

強い馬が底力が問われるタフな展開で3冠を制覇した

文/木南友輔(日刊スポーツ)


ジェンティルドンナがハナ差、アーモンドアイが1馬身半差…、G1・7勝の名牝たちが楽には勝てなかったのが秋華賞の京都芝2000mだった。「史上初の無敗3冠なるか」と注目され、前日には「単勝1.1倍」の表示もあった。デアリングタクト松山騎手杉山厩舎、関係者がどれだけのプレッシャーを感じていたのだろうか。

レース前のパドックはかなりうるさく見えた。正直な感想を言うと、スタート前の待機所の輪乗りでは出走馬で一番イレ込んでいるように見えた。ただ、終わってみれば、久々のレースで馬が走りたがっていた、いい感じの前向きさが出ていた、ということだったのかもしれない。

スタートダッシュが決まったマルターズディオサ田辺騎手がハナヘ。押して押して2番手になったホウオウピースフルは終始力みながらの追走。外枠から前々に運んでいったのがオークス②着ウインマリリン。最内枠ミヤマザクラローズS勝ちのリアアメリアも好位を奪いにいった。1000m通過は59秒4。昨日今日の馬場を考えると、速めの流れになったが、好位勢は「デアリングタクトに勝つなら前々の競馬」という意識があったのだろう。

4コーナーから直線を向いたところでマルターズディオサが後続を突き放し、好位勢は失速。仮に先行馬向き、内有利の馬場だったら…、そう思わせてくれるだけの競馬をマルターズディオサはしていた。

ジェンティルドンナと同様にオレンジ帽(7枠)に入った幸運もあり、デアリングタクトは内で包まれる不安がなく、堂々と外をまわす競馬ができた。4角では外からかぶされかけたが、そこは手応えが違ったし、松山騎手の立ち回りには余裕が感じられた。内から迫ったマジックキャッスル、大外を大きくまわってきたパラスアテナ、向正面で最後方を走っていたソフトフルートが並びかけようとするが、ゴールではさらに突き放している。

自分はいつも「パトロールビデオのゴール後の脚色」をチェックするようにしているのだが、ぜひJRAのホームページで確認してもらいたい。ゴールを過ぎた後、1コーナーをまわるとき、デアリングタクトにはまだまだ余力があり、他の馬たちはゴール後に歩いてしまっている。ゴール後に勝ち馬より脚色がいい馬を見つけたときは「ああ、脚を余した馬がいる」と喜べたり、悔しがったりできるのだが、今日の秋華賞に関しては、どの馬も力を出し切って負けている。

デアリングタクトは今日のレースで記録上、上がり3ハロン最速がストップしてしまったが、ゴール後の脚を見れば、上がりで一番いい脚を使っているのは、やっぱりデアリングタクトだった。このレースで不完全燃焼だった馬を探すなら、それはデアリングタクトということになる。

限定的ではあるが、観客の入場が行われ、拍手が聞こえるなかでの3冠制覇。プラス14kgは成長分と久々の分か。ここが秋初戦であり、一昨年のアーモンドアイ、昨年のクロノジェネシスに続き、3年連続でオークスからの直行組が制した。次走があるとすれば、エリザベス女王杯、あるいはジャパンCで、間隔を空けて使ってきたことを考えれば、ジャパンCが濃厚になる。負担重量で3歳有利なのは明らかなレース。出走してくればチャンスは大きいし、そういうファンの期待に応えてくれそうなオーナー、厩舎だと思う。

②着マジックキャッスルオークスの直線のポジション争いでデアリングタクトに敗れた馬。当時はまだ距離不安を抱えながらのレース運びだったのに対し、今回は距離の不安がなく、しかも2週連続でテン乗りの大野騎手が手綱を握って感触を確かめていた。最終追い切りはアーモンドアイ相手に動いていた。アーモンドアイ、カレンブーケドールに続き、国枝厩舎3年連続で秋華賞連対。さすがの仕上げ、調整だった。先輩2頭がいるのでレース選択は難しいところだが、エリザベス女王杯はもちろん、陣営は「左回りがベスト」と話していただけに、こちらもジャパンCに出てきたら面白い。

さて、来週は菊花賞スプリンターズS秋華賞は結果的に強烈な追い込み競馬になった。天候の影響、馬場の影響もあるが、底力が問われるタフな展開でグランアレグリア、デアリングタクトという強い馬が勝利をおさめている。菊花賞「史上初の牡牝同時の無敗3冠」をコントレイルが達成するのか、来週の京都の馬場傾向はどうなるのか…、また1週間、頭を悩ませて楽しみたい。


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